2018年02月22日

二月大歌舞伎 夜の部


201802kabukiza.jpg高麗屋三代襲名披露 二か月連続興行の2ヵ月目。
今月は出演する役者さんの数が新しい歌舞伎座のお披露目興行以来の大人数なのだとか(口上での幸四郎さん談)。

当初2月8日(木)に昼夜通しで、と考えていたのですが、「七段目」の平右衛門、お軽の役替りが発表されて「どちらか一方しか観られないならそりゃ奇数日でしょ」と予定変更。
夜の部から拝見することと相成りましてございまする。


歌舞伎座百三十年
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎  襲名披露
二月大歌舞伎 夜の部


2018年2月7日(水) 4:30pm 歌舞伎座 1階1列センター



一、一谷嫩軍記 熊谷陣屋
出演: 松本幸四郎  中村魁春  中村雀右衛門  中村芝翫  中村歌昇  
中村萬太郎  坂東巳之助  中村隼人  中村鴈治郎  市川左團次  尾上菊五郎 ほか
(上演時間: 1時間25分)



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熊谷直実のmy top 2といえば仁左衛門さんと吉右衛門さんですが、染五郎時代の幸四郎さんの直実も観たことあるぞ、と調べてみたら2010年5月の新橋演舞場 五月花形歌舞伎でした。
そうそう、旧歌舞伎座が建て替えのため閉場した翌月だったなぁと懐かしく思い出しました。
もう8年も前なのかぁ~と感慨深いのと同時に「藤の方:尾上松也」にオドロキ。
当時、吉右衛門さんの熊谷を「なぞるだけで精一杯」とおっしゃっていた染五郎さん。
ひと回りもふた回りも大きくなって幸四郎さんとしての「熊谷陣屋」です。


染五郎さん時代から「線の細さが課題」と言われていた幸四郎さんですが、年を重ね、とりわけ2014年に「勧進帳」の弁慶を初役で演じて以来、それは払拭されたのではないかと私は思っています。
今回の熊谷直実も、重厚で豪快かつわが子への情も絶ち難い立派な直実で、家の芸でもある「熊谷陣屋」で、高麗屋の後継者としての矜持を示してくれました。
力が入り過ぎて、もう少し台詞に緩急がほしいかなと思う場面もありましたが、子を持つ今の年代だからこその等身大の直実でした。
隈もよく似合い、「制札の見得」では長袴が美しく翻り、型や所作の美しさに見惚れました。

魁春さんの相模がとてもよかったです。
わが子の身を案じる母の愛情、わが子がが身代わりになった嘆き、悲しみをオーバーアクションではなくいかにも武家の妻らしい節度で、でも切々と演じて胸に迫りました。
そこにいるだけで品格がある菊五郎さんの義経、いかにも手に入ったお役という感じの左團次さんの弥陀六。

物語のはじめの方に出てくる梶原景高が芝翫さんで、「この役、芝翫さんなの?!」と驚いて二度見。
さらに堤軍次には鴈治郎さんと、襲名披露ならではの豪華さでした。
豪華といえば四天王も歌昇くん、萬太郎くん、巳之助くん、隼人くんという花形揃いの豪華さ。
ひと言ずつくらいの台詞ながらいずれも口跡よく。
後ろに控えながら隼人くんが目線で幸四郎さん直実をガン見していて、以前にも(多分 吉右衛門さん熊谷の時?)にもこんなことあったなぁと、ちょっと笑ってしまいました。



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三階から見た草間彌生さん作の祝幕と両花道



二、壽三代歌舞伎賑  木挽町芝居前
二代目松本白鸚  十代目松本幸四郎  八代目市川染五郎  襲名披露口上
作: 今井豊茂
出演: 松本白鸚  松本幸四郎  市川染五郎
尾上菊五郎  片岡仁左衛門  坂東玉三郎  市川左團次  中村又五郎  中村鴈治郎  
中村錦之助  尾上松緑  市川海老蔵  坂東彌十郎  中村芝翫  中村歌六  中村魁春  
中村時蔵  中村雀右衛門  片岡孝太郎  中村梅枝  市川高麗蔵  大谷友右衛門  
中村東蔵  片岡秀太郎  大谷廣太郎  松本錦吾  市川猿之助  坂東楽善  片岡我當  
中村梅玉  中村吉右衛門  坂田藤十郎
(上演時間: 25分)



菊五郎さんの座元、吉右衛門さんの太夫元、仁左衛門さんの芝居茶屋の亭主、我當さん町年寄、楽善さんの鳶頭、さらには藤十郎さんの芸者と重鎮が居並ぶ中にところに、高麗屋の三人と番頭の猿之助さんが登場し、両花道には上手に左團次さん筆頭に男伊達、下手は魁春さんを先頭に女伊達がズラリと勢ぞろい。最後に玉三郎さんの茶屋女房(仁左衛門さんの奥さま設定ね)が梅玉さん町奉行を案内して出てくるというオールスター一座。

いや~、楽しいったらありゃしない。
右見て左見て正面向いて、忙しいったらありゃしない。
ずーっとヘラヘラ笑いながら観ていたと思います、ワタシ。
染五郎くんは花道登場の時、「巷では美少年と言われておりますが・・・」とカマしてましたね(誰の入れ知恵だか(^^))

男伊達、女伊達の名乗りの時、仁左衛門さんとにこにこ笑いながら上手下手と名乗る人の方をご覧になっていたのが印象的。幸四郎さんも同じように交互にご覧になっていましたが真剣な表情。
一月の口上に出られなかった猿之助さんが控えめな「高麗屋番頭」に徹してらっしゃる姿に胸熱だったり、藤十郎さん芸者の変わらぬ艶っぽさに驚いたり、我當さんのお声と退場される姿に思わず涙がこみあげたりも。

最前列だったので、花道に並ぶ男伊達、女伊達の後ろの方の人たちは振り返って見る形だったのですが、誰が出ているか把握していないまま、名乗りの第一声聞いただけで全員誰だかわかった自分の成長を褒めたい。

賑やかな芝居前と打って変わって、大セリで舞台中央に登場する高麗屋三代の凛とした口上も素敵でした。




三、仮名手本忠臣蔵  祇園一力茶屋の場
出演: 松本白鸚  市川染五郎  大谷友右衛門  坂東彌十郎  
中村松江  松本錦吾  坂東玉三郎  片岡仁左衛門 ほか
(上演時間: 1時間40分)
  


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37年前の高麗屋三代襲名の折には初代白鸚さん由良之助、七代目染五郎さんが力弥を演じた演目。
その二つの役をそのまま一代ずつ次の世代が演じて、いずれも祖父-孫の関係というあたり、歌舞伎の凄みを感じます。


一力茶屋の女衆、男衆にはやし立てられながら目隠しをして千鳥足で出てくる白鸚さん由良之助が、映像でしか観たことがない初代白鸚の姿と重なってびっくり。
上述したように37年前のことを思い浮かべながら観たせいでしょうか。
大星由良之助という人物の大きさ、胎のすわり方、時折垣間見せる本心、そして色気。「高麗屋の由良之助」がそこにいました。

染五郎くんの力弥は教わったことをきっちりやっている印象。
一月の義経の時にも感じましたが、出てくるだけで客席の耳目を惹きつける華は天性のものですね。
芝居心があり所作は美しく、声もかなり落ち着いてきたように感じましたので、台詞まわしや滑舌、精進を続けていただきたいです(←何様?)。

平右衛門、お軽は奇数日、偶数日で仁左衛門・玉三郎/海老蔵・菊之助の役替り。
両方観たいのはヤマヤマですが、遠征ではそうもいかず、以前に観たことがある(2010年の南座顔見世でした・・・力弥が当時17歳の種之助くんだったこと、すっかり忘れていました)仁左衛門さん玉三郎さんペアがとてもすばらしくてまたいつか観たいと思っていましたので奇数日を選びました。

仁左衛門さんの平右衛門は、奴にしては見た目カッコよすぎるのですが(笑)、忠義一途で一本気な男を細部にわたって演じ込んでいて、本当に魅力的。
対する玉三郎さんのお軽が可愛さ百万倍で、平右衛門が由良之助の意を汲み取ってお軽を斬りつけるあたりからの二人の息の合ったやりとりはユーモラスでありつつたっぷり芝居を見せてくれて、しかも絵のように美しいという・・・。
平右衛門が勘平の死を知らせる時の言いにくそうな様、その切なさ。
それを聞いたお軽の衝撃と「わたしゃどうしよう~」という嘆き。
この七段目が由良之助の物語であると同時に、平右衛門、お軽兄妹の物語であると感じる所以です。


期せずして初午の日の二月大歌舞伎 夜の部 大変堪能いたしました のごくらく度 (total 1878 vs 1883 )



posted by スキップ at 23:24| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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