2018年02月06日

めでたや 「初春文楽公演」 第1部


初春と咲甫太夫さん改め 六代目竹本織太夫さんの襲名披露が重なったおめでたい公演。
さらには、八代目竹本綱太夫 五十回忌追善でもあります。

昨年、チケット取っていたのに観に行けなかった公演の中に文楽が3回もあって、なぜか文楽と相性がよくない不肖スキップ。
「あら、文楽劇場、なんだか久しぶり」と思ったら、2016年の錦秋公演以来でした(うめだ文楽とかは観たけれど)。


初春文楽公演 第1部 
2018年1月25日(木) 11:00am 国立文楽劇場 1列センター



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初春公演恒例のにらみ鯛と東大寺の狭川普文別当の絵馬。
私の席からは右の画像のような目線(ズームなし)。


花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)  
万才・鷺娘
太夫: 豊竹睦太夫  竹本津國太夫  豊竹咲寿太夫  竹本小住太夫  竹本文字栄太夫
三味線: 鶴澤清友  野澤喜一朗  鶴澤清丈  野澤錦吾  鶴澤燕二郎
人形: 吉田玉勢  桐竹紋臣  吉田文昇 
(上演時間: 21分)


初春らしくおめでたい「万才」と冬にぴったりの「鷺娘」を続けて。
「鷺娘」は雪の舞い散る中、白い着物から薄いピンク色の着物に引き抜きがあって(人形:吉田文昇)「ひょ~」と驚き。
歌舞伎でも観たことのある舞踊ですが、文楽のお人形って、ほんと、人間ができることは何でも全部できるのね。

足元にたくさんの雪が舞い降りてきたのですが、休憩から戻るときれいになくなっていたのでお掃除されたのかと思っていたら「後ろの席の人たちがいっぱい拾いに来た」と隣席のおじさまが教えてくださいました。
ま、私も何枚かいただきましたけれども。


平家女護島  鬼界が島の段
太夫: 豊竹呂太夫
三味線: 鶴澤清介
人形: 吉田玉男  吉田清五郎  吉田文司  吉田簑助  吉田玉志  吉田玉輝 ほか
ほか
(上演時間: 1時間6分)


歌舞伎では何度も観た「俊寛」ですが、文楽で拝見するのは初めてでした。
「俊寛」といえばラストの、岩によじ登り、都へと去っていく赦免船を消えるまで見送るシーン。
「岸の高みに駆け上がり、爪立てゝ打ち招き、浜の真砂に伏し転び」という語りで俊寛が岩の斜面からずり落ちてしまうところがすごい勢いで、俊寛の必死さと無念さが痛いほど感じられました。
さらにもう一度岩を上ると岩場が回転してぐっと客席の方にせり出してくるという迫力。
取り残される俊寛の未練も悲哀もダイレクトに伝わってきます。

俊寛を遣う玉男さんが苦み走った男前で、俊寛も雄々しく力強い。
長い離島暮らしの悲哀というより、凛とした雰囲気が先に立つ印象でした。
何だか強そうで、瀬尾との斬り合いなんて絶対負ける訳ないと思えましたし(笑)。

そして、何といっても簑助さんの千鳥。
配役をよく確認していなくて、千鳥が簑助さんとともに現れた時(逆か?)思わず腰が浮きかけたもんね。
何とも愛らしくいじらしい千鳥。
うつむいたり、相手を上目づかいのように見つめたり、俊寛の加勢をして一生懸命瀬尾に石を投げつける仕草、赦免船に乗り込んで俊寛に目一杯手を振ったり・・・どの仕草も本当に可愛い。そして何とも言えない色気もあって。
いついつまでも観ていたい千鳥でした。



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八代目竹本綱太夫 五十回忌追善
豊竹咲甫太夫改め 六代目竹本織太夫 襲名披露
口上

豊竹咲太夫  竹本織太夫


文楽の襲名披露口上は襲名するご本人は何も話さず、まわりに居並ぶ技芸員さんたちが代わる代わる口上を、というのが通例ですが、今回は竹本綱太夫 五十回忌追善も兼ねているため、咲太夫さん、織太夫さんのお2人だけが舞台に正座して、口上を述べられるのは咲太夫さんのみでした。

咲太夫さんは24歳の時にお父様である綱太夫さんを亡くされ、その頃、歌舞伎座で十七代目中村勘三郎さんがお父様の三代目中村歌六さんの五十回忌追善興行をされたのをご覧になって、「いつかこういうことができたらいいな」と思っていた、その夢が今回叶ったということでした。
織太夫は、その綱太夫さんの前名。由緒ある名跡を愛弟子である咲甫太夫さんに継がせる咲太夫さん。
時にユーモラスなエピソードもまじえながら、お父様への尊敬の念、お弟子さん(織太夫さん)への愛情にあふれたとても素敵な口上でした。


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お父様もさぞかしお喜びのことでしょう。



hatsuharubunraku2018.jpg追善/襲名披露 狂言
摂州合邦辻  合邦住家の段
中 太夫:竹本南都太夫/三味線:鶴澤清馗
切 太夫:豊竹咲太夫/三味線:鶴澤清治
奥 太夫:竹本織太夫/三味線:鶴澤燕三
人形: 吉田和生  桐竹勘壽  桐竹勘十郎  吉田簑二朗  吉田一輔   ほか
(上演時間: 1時間41分)


合邦道心:吉田和生、合邦女房:桐竹勘壽、玉手御前:桐竹勘十郎、奴入平:吉田玉佳、浅香姫:吉田蓑二郎、高安俊徳丸:吉田一輔

咲太夫さんから織太夫さんへと語り継ぐという、襲名披露狂言ならでは。
咲太夫さんと三味線の鶴澤清治さんの組み合わせってあまり記憶にないなぁと思って、後で文楽通の友人に聞いたところ、清治さんは織太夫さんの伯父様で、咲太夫さんと清治さんが組んだのは何十年ぶりというレアな公演なのだそうです。ちなみに鶴澤清馗さんは織太夫さんの弟さんなのだとか。

こちらも歌舞伎で何度か観たことがあって文楽では初めて観る演目。
咲太夫さんも織太夫さんも大変に力の入った熱演。
浅香姫という許嫁がいる継子 俊徳丸に横恋慕した玉手御前の傍若無人からの合邦による娘の玉手殺し、そして明らかになる玉手の真実のクドキ、とドラマチックなお話をたっぷり聴かせていただきました。

清治さん、燕三さんの三味線もすばらしかったです。
特に燕三さん。
ワタシ、上演中、何度も「えっ?!」と思って床の燕三さんを見てしまいました。
何ていうでしょう。糸に感情が乗っているというか。玉手にとっては(合邦にとっても)怒涛の展開だと思いますが、その感情の起伏や心の動きが三味線の音色で感じられるなんて。

玉手を遣う勘十郎さん、合邦の和生さんもすばらしく、まさに三業一体。
新しい織太夫の誕生を三業皆で盛り立てようという気概が感じられる熱演でした。
にしても浅香姫に敵意むき出しの玉手、さすが勘十郎さんといった気の強さ。飛び蹴りしてたよね?
浅香姫に対する時と俊徳丸への態度の落差、切ないクドキからの腹かっさばき、と実に表情豊かな玉手御前でした。
玉手は俊徳丸を本当はどう思っていたかについては色々な解釈があるようですが、勘十郎さんは母性一途という解釈でしょうか。
浅香姫への仕打ちや俊徳丸に言い寄る態度の向うに、全身全霊でわが子(継子だけど)を守ろうとする母の姿が重なって、何とも切なかったです。



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襲名披露興行らしくお祝いでロビーも華やか。
松本幸四郎さんや野村萬斎さんのお名前を見つけて開演前からテンションあがりました。



第2部も観たかったけど時間がなかったのよぉ の地獄度 (total 1871 vs 1876 )



posted by スキップ at 23:03| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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