2017年11月30日

吉例 顔見世大歌舞伎 夜の部


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「あら、今日は歌舞伎座に櫓があがってるのね」と思ったら、顔見世だからなのだと気づきました。
祝樽も飾られて、新春のような雰囲気。
やはり顔見世は「芝居の国のお正月」なのだと再確認した次第です。

吉例 顔見世大歌舞伎 夜の部
2017年11月12日(日) 4:30pm 歌舞伎座 3階2列センター



一、仮名手本忠臣蔵
 五段目  山崎街道鉄砲渡しの場   同 二つ玉の場 
 六段目  与市兵衛内勘平腹切の場
出演: 片岡仁左衛門  片岡孝太郎  市川染五郎  坂東彦三郎  
片岡松之助  上村吉弥  坂東彌十郎  片岡秀太郎 ほか
(上演時間 1時間35分)


仁左衛門さんの勘平を観るのはもう何度目だろうというくらいよく観ているのですが、「一世一代」とは銘打っていないものの今回で最後、と漏れ聞くとやはりまだまだ観ていたいと思わずにはいられません。
特に六段目、勘平は着物を着替えたり腹を切ったり、ドキドキしたり嘆いたり覚悟したり、物理的にも精神的にもいろいろな所作や約束事が多いと感じるのですが、歌舞伎の様式美ともいうべき動きの中に、繊細な心理描写、細やかに変化する表情で勘平が息づいています。

「色に 色にふけったばっかりに・・」という心の底からの悔恨が何とも痛々しく、最期、こと切れる前にふっと浮かべる微笑を見せられて、どうして涙をこらえることができるでしょう。
何とも色気のある勘平。
不破数右衛門と千崎弥五郎がやって来た時、2人を待たせておいて、刀を少し抜いて刀身を鏡代わりにササッと髪の乱れを整えるところがとても好きなのですが、観た記憶がない。
多分、意識失っていたと思われ・・・一生の不覚であります。昼夜の間にビールなんて飲むんじゃないっ!とあの日の私を叱ってやりたい。

もう一つのお楽しみは染五郎さんの斧定九郎。
初めてこの演目を観た時から定九郎の「ごじゅう~りょううぅ~」という低い声の台詞が大好きでいつもとても楽しみにしています。
染五郎さんは昨年、尾上右近くんの「研の會」で初めてこの役をやった時もすごくよかったのですが、歌舞伎座ではお初となった今回も「そうよ、そうよ、定九郎はこうでなくちゃ」な悪くて色っぽい「五十両」でした。
九月秀山祭の「再桜遇清水」でも予行演習してたしね(わかる人にはワカル(^^ゞ)


二、恋飛脚大和往来 新口村
出演: 坂田藤十郎  中村扇雀  中村歌六
(上演時間 51分)


勘平でもアレだったから「新口村で寝ないようにしないと」と気合入れ直して臨んだのですが、意外にもと言っては失礼ながら、とてもよくて全然眠くなりませんでした←
藤十郎さんの「新口村」も何度も観ていますが、今回が一番よかったな。
扇雀さんはどちらかといえばキツい女性のイメージが強いのですが、藤十郎さん忠兵衛と並んだ梅川はとても儚げでたおやか。
そして、歌六さんの孫右衛門が絶品。降り積もる雪のように、断ち切れない親子の情が溢れているようでした。

ラストの雪景色の美しさも特筆モノです。
歌舞伎の美術って本当にすばらしいと改めて感動しました。


三、元禄忠臣蔵 大石最後の一日
作: 真山青果
演出: 真山美保
出演: 松本幸四郎  市川染五郎  中村児太郎  松本金太郎  
松本錦吾  大谷桂三  大谷友右衛門  坂東彌十郎  片岡仁左衛門 ほか
(上演時間 1時間20分)


苦手感漂う真山青果作の新歌舞伎。
以前にも観たことがあるのですが、磯貝とおみのの逸話なんてきれいさっぱり忘れていました。
「前に観たの、南座の顔見世だったかな~。梅玉さんの内蔵助で」と幕間に友人に話したのですが、後で調べたら梅玉さん大石内蔵助なんてやってないし、完全に「将軍江戸を去る」とごっちゃになってるよね。
(2008年の南座顔見世 吉右衛門さんの大石内蔵助で観ていました。)

結論から言うととてもおもしろかったです。
前回何を観ていたんだとあの頃の私を叱ってやりたい(本日二度目)。

悠然とした中に、理知的で実は情にも厚い幸四郎さんの内蔵助がすばらしい。
朗々とした台詞に、大きく重厚な舞台ぶりでまさにこの人が内蔵助とうってつけ。
ラストはこれが松本幸四郎として最後の舞台ということも知らず知らず重ね合わせて観ていたかもしれません。

染五郎さんの磯貝十郎左衛門。
心ならずもおみのを騙すことになってしまい、なお心に秘めた本当の気持ちを言えない実直な武士が、最後の最後に大石の言葉で本心を吐露するに至るところに泣かされます。その時は旅立つ時、心が通じ合ったおみのとの永遠の別れの時なのですから。
児太郎くんの一途なおみのもとてもよかったです。児太郎くんは本当にいい女方さんになったなぁ。

やはりこれは今の名前では最後の舞台の松本金太郎くんは細川内記。
パッと舞台に走り出て来た時の御曹司感ハンパない。
実際 細川家の御曹司の役なのですが、出て来ただけで舞台が明るく感じるような華と品は天性のものと思われ。

仁左衛門さんが荒木十左衛門でつきあってくださっているのも高麗屋贔屓としては嬉しい限り。
この荒木が上使なんだけど颯爽としてカッコいいんだ。


三代同時襲名も大変なことだと思いますが、それ以上にこうして三代揃って同じ舞台を勤められること、それがまたすばらしい舞台となっていることが役者のお家にとってどれほど幸せなことでしょう。そして、それを客席から見守ることのできる私たちもまた幸せだと感じた高麗屋三代 今の名前で共演する最後の舞台でした。



何で勘平のあそこだけ記憶ないんだろう のごくらく地獄度 (total 1844 vs 1845 )


posted by スキップ at 22:54| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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