2017年11月24日

始まりは未来へ  スーパー歌舞伎Ⅱ 「ワンピース」


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2015年に初演されて大評判となり、2016年に松竹座、博多座と続演されたスーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」。
大きな期待を集めて再演となった今年、初日が開いて4日目の10月9日 思いもよらない事故で主演の市川猿之助さんが休演する事態となってしまいました。

このニュースが流れた時、歌舞伎ファンは猿之助さんのお怪我の具合をとても心配したけれど(それは今ももちろん心配でならないけれど)、公演が続けられるのか、とか代役をどうするのか、といった声はほとんど聞こえてきませんでした。
「右近くんがルフィやるのね」と誰もが思っていたから。


スーパー歌舞伎Ⅱ 「ワンピース」
原作: 尾田栄一郎
脚本・演出: 横内謙介
演出: 市川猿之助
スーパーバイザー: 市川猿翁
美術: 堀尾幸男   照明: 原田保   
映像: 上田大樹  衣装: 竹田団吾
出演: 尾上右近  市川右團次  坂東巳之助  中村隼人  坂東新悟  
市川弘太郎  市川寿猿  坂東竹三郎  市川笑三郎  市川猿弥  
市川笑也  市川男女蔵  市川門之助  市川右近  市川猿/
平 岳大  嘉島典俊  浅野和之 ほか

2017年11月23日(木) 11:00am 新橋演舞場 1階5列下手/
11月24日(金) 11:00am 3階3列センター
(上演時間 4時間10分/幕間 30分・25分)



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猿之助さん直筆のメッセージ


この公演は、市川猿之助さんがルフィ/ハンコックを演じる通常公演とは別に尾上右近くん主演の「麦わらの挑戦」という特別マチネが上演されることが発表されていました。
11月23日はその「麦わらの挑戦」の千穐楽となる日で、その日に合わせてチケットを取り、翌日、猿之助さん主演の通常パターンも観て帰ろうと目論んでいたのですが、毎日が「麦わらの挑戦」になっちゃったので同じものを2回観ることに・・・とはいえ、座席が違えば見え方も違いますし、1回目と2回目では感じ方が変わるとこもあって、2回観ても全く興味つきることはありませんでした。


登場人物や構成、ストーリー展開は初演と大きな変更はないようですので詳細は省略。
2016年3月 松竹座で2回観て、その後シネマ歌舞伎を見た感想はこちら→   


また開幕する前、ある新聞のインタビューで「麦わらの冒険」について、「僕がやっていいんですか?という感じですがとてもうれしい。とても猿之助のおにいさんのようにはできないので僕なりのルフィを精一杯勤めたい」と語っていらした右近くん。
大きなチャンスでもあり本当にうれしかったと思いますが、猿之助さんの代わりに毎日やるとなると話は別。
その覚悟もプレッシャーもいかほどか、凡人の私には想像もつきません。
代役となって2週間後くらいの面差しの痩せっぷりは、チョッパーでなくても「肉食べて~」と言いたくなるくらいでした。

そんなサブテキスト的なエピソード(・・というにはあまりにも重いけれど)が加味されたために冷静には観られないかなと思ったのですが、物語が始まってしまえばすっかり没入できて、泣いたり笑ったり、金テープや桜の花びらや水しぶきや紙吹雪やらいっぱい浴びて、タンバリン鳴らして目一杯拍手して、存分に楽しみました。
物語自体に力がある原作と、役者さんの力の賜物でしょう。


尾上右近くんは若手の中でも実力は誰もが認めるところであり、代役と決まる前にすでに一度「麦わらの挑戦」をやっていたことも功奏したかもしれませんが、全く堂々たる主演ぶり。
むしろ年齢が近い分、「ああ、ルフィって本当はこうなんじゃ?」と思いところが多々ありました。ルフィって麦わらの一味の船長ではあるけれど、年は若くて基本的に弟キャラだと思いますが、そういう面でもよくハマっていました。
右近くんは女方の美しさにも定評がありますのでハンコックもとても綺麗な女王様でしたが、こちらはカリスマ性というか、傍若無人ぶりがまだ遠慮がちだったかなぁ。早変わりで声だけで2人を表現する時にあまり差が感じられなかったのも今後の課題でしょうか。

歌舞伎の演目は元々何度も繰り返し上演されているものを、役者によって、あるいはその家によって、演じ方が違ったり、観る方の印象も変わったりするのが面白さでもあるのですが、はからずもこの新作歌舞伎で、役者が変わると印象も違うということを改めて感じたのでした。

右近くんを支え盛り立てる周りの役者さんたちもすばらしいです。
通常公演と麦わらの挑戦で役が違う(というか今回の場合加わった)のは、

中村隼人: サンジ・イナズマ に加えて マルコ
坂東新悟: ナミ・サンダーソニア に加えて サディちゃん
平岳大: エース に加えて シャンクス

隼人くんはまたひと回りガタイが大きくなったように思いますが、イケメンは健在。
サンジの時は人魚にフラレてがっくりする仕草やイナズマではイワンコフを触った手を後で拭いたり、と脇の小芝居をあれこれやっていました。
本水の立ち回りでは一番高いところから「ハッ!」という掛け声をともに飛び降りて、文字通り水もしたたるいい男っぷり。
マルコもかなりイケメンマルコで長身を活かした宙乗りもダイナミックでした・・・が、マルコは右近くんの方が好きだったな。

新悟くんは今回からワンピースチームに加入したメンバーですが、ナミもサディちゃんももうずっとやっているような馴染みっぷり。相変わらずよく通るいい声です。

平さんのエースはますますカッコよさを増したように感じましたが、シャンクスもとてもよくお似合い。
シャンクスがルフィに麦わら帽子を預けるくだり(TVスペシャル版「エピソードオブルフィ」で描かれている)が大好きなので、ラストのあのシャンクスの台詞は胸にしみます。ここは猿之助さんよりも平さんの言い回しの方が好みではありますが、千穐楽あたり、猿之助さん登場してこの台詞言いそう、と現実とドラマが重なるようにも感じられたり。


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同じキャストで2回観ることになりましたが、チョッパー役はダブルキャストコンプリート。
右近くんの可愛らしさはこのまま大きくならなくてもいいのよ、と思うレベルでした。
市川猿くんの回は3階で花道がほぼ見えなくて、声だけ聴くような状況だったのですが、本当に台詞上手いなぁと感心。
階段も定式幕色でした。



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上演中に手拍子とかスタンディングとか、ましてや鳴り物グッズとか甚だ苦手な不肖スキップ。
とはいうものの、開演前にはこんなふうにマーガレットとスイトピーが「スーパータンバリン買え買え」と推してくるし、周りの人ほとんど持ってるし、で、やっぱり買って、ファーファータイムにはノリノリで鳴らして、カマーランドの皆さまといっぱいハイタッチしたよね。
宙乗りルフィが投げたタンバリンが隣の席の人のところへだったのがちょっぴりザンネンだったけれども。


ゾロ、ボン・クレー、スクアードの3役どれも完成度ピカイチの巳之助くん、重厚に舞台を支える白ひげの右團次さん、イヤな奴も男気もお手の物の猿弥さん、「でかしゃった、でかしゃった」と歌舞伎にもすっかり馴染んだ?浅野和之さん・・・あげればキリがないくらい、「ワンピース」号の総力結集舞台。

カーテンコールで手をつないで出てくる右近くん、巳之助くん、隼人くん、新悟くんのやりきった感あるれる笑顔。
ファーファータイムに流れるゆずのTETOTEのラストの歌詞 ♪始まりは未来へ~ 
の通り、今回の頑張りが彼らの輝かしい未来の始まりとなることを物語っているようでした。



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幕間の食事は「ルフィの歌舞伎弁当」と迷った末にこちらの「麦わらの一味海賊弁当」を。
骨付き唐揚げやゴルゴンゾーラのペンネ入りで具だくさん。おいしかったです。すぐ完売してた。




いよいよ明日千穐楽。最後まで目一杯悔いなく勤められますように ごくらく度 (total 1841 vs 1842 )


posted by スキップ at 22:57| Comment(2) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スキップさま

こんばんは。2日連続の「ワンピース歌舞伎」、お疲れさまでした。

猿之助さんの怪我という大変な事態に見舞われましたが、「麦わらの挑戦」のバージョンを作っていたのが幸いとしか言えないですね。
その挑戦がとんでもない大挑戦になりましたが、少年らしいキラキラしたルフィでした。

楽から一週間たちましたが、まだちょっと夢の中にいる気分です。

あ、右近くんのタンバリン、私の時は前の列に落下していきました。残念。
Posted by 花梨 at 2017年12月02日 02:50
♪花梨さま

こんなことを想定して訳ではないと思いますが、
本当に「麦わらの挑戦」を準備していたお陰で公演が
続けられたのだと思います。
尾上右近くんはじめ出演者の皆さんにとっては大きな試練
でありチャンスであり、猿之助さんの偉大さを肌で感じる公演
ともなったと思いますが、あのがんばりには胸熱で、心からの
拍手を贈りたいです。
本当に少年らしい、活き活きとしたルフィでした。

右近くんの落としたタンバリン、お互いにちょっぴり残念でしたね(^^ゞ


Posted by スキップ at 2017年12月03日 00:45
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