2017年09月27日

秀山祭九月大歌舞伎 昼の部


shuzansai2017.jpg「秀山祭」は中村吉右衛門さんの力の入った舞台を観ることができる大切な機会。
「極められた歌舞伎がここ(秀山祭)にあると常に感じています」と染五郎さん。
これまで他の役者さんで観たことがある歌舞伎の代表的な演目も新たな気づきがあったり、勉強にもなりますのでできるだけ観に行くようにしています。
来年襲名を控える染五郎さんは「市川染五郎」として最後の秀山祭です。


秀山祭九月大歌舞伎 昼の部
2017年9月21日(木) 11:00am  歌舞伎座 
3階1列センター (上演時間 4時間12分/幕間 30分・20分)



一、彦山権現誓助剱  毛谷村
出演: 市川染五郎  尾上菊之助  中村吉之丞  上村吉弥  中村又五郎 ほか


毛谷村六助を染五郎さん、って少し意外な気がしましたが、とてもよかったです。
気はやさしくて力持ち、を地でいくようなやさしくておおらかな六助。
実は剣豪なのに騙されているのにも気づかないほどお人よしの感じもよく出ていました。
ラスト近くで微塵弾正こと京極内匠(又五郎さん)の正体が露見して、サッと表情が変わるとこも、本気出したら実はコワイ感じでゾクッとしました。
吉弥さんお幸とのピシッパシッと短剣を投げ合うやり取りも息ぴったり。

菊之助さんがお園と聞いて、これまた「綺麗すぎでは?」と思っていたのですが、綺麗なのはそのままに、キリリとした女剣豪でした。
臼を持ち上げるところは案外あっさりしていて、「わお!力持ち!」感は少な目でしたが、六助が許婚だどわかった後のもじもじ照れたり、急にお料理始めたりするところが可愛かったです。

父親が討たれた場面を涙ながらに六助に語っているところへ忍びが現れて、語るのをやめず泣きながらも相手をやっつけるのもおおしろかったな。
あの忍びは音蔵さんかな?キレッキレの動きで、お園ちゃんの立ち廻りが一層引き立っていました。

それにつけても、染五郎さん、菊之助さん、吉弥さんの並び、華やかで絵面の美しい毛谷村でございました。


二、仮名手本忠臣蔵  道行旅路の嫁入
出演: 坂田藤十郎  中村壱太郎  中村隼人


許婚である大星力弥の元へ向かう娘 小浪(壱太郎)とその母 戸無瀬(藤十郎)の京都 山科までの道行を描く舞踊。
「おー、藤十郎さん、ゆっくりながらちゃんと踊ってらっしゃる」と思ったきり意識をなくし
・・・(^^ゞ
時折ふっと我に返って、「隼人くん出てる。奴かぁ。何やっても綺麗な顔だな」と思ったりもしたのですが、上演時間33分のうち、多分29分くらいは寝ていたと思います。ごめんなさ~いっ!!

でも、最後 花道で藤十郎さんの「娘っ おじゃっ」は直前にパシッと目が覚めて、ちゃんと聞けましたことよ(自慢にならん)。



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三、極付 幡随長兵衛 「公平法問諍」
作: 河竹黙阿弥
出演: 中村吉右衛門  市川染五郎  中村錦之助   中村松江  中村亀鶴  中村歌昇  中村種之助  中村米吉  中村児太郎  中村又五郎  中村歌六  中村魁春 ほか


この演目は何度観ても苦手・・・というか好きになれません。
江戸・花川戸の侠客 幡随長兵衛と旗本 水野十郎左衛門との男の意気地をかけた対決・・・というけれど、要するにだまし討ちじゃん、水野卑怯!といつも後味悪い思いをしています。

もっとも、長兵衛の方は死を覚悟している訳ですから、厳密にいうと「だまし討ち」とはならないのかもしれませんが。
長兵衛が肚の座った大人物でひたすらカッコよく、水野が身分は高くても姑息で性根の悪い奴という黙阿弥の描き方の術中にまんまとハマっているともいえます。

江戸村山座で「公平法問諍」が上演されている場面から始まります。
この場面が劇中劇ながら又五郎さん、児太郎くん、米吉くんたちが大歌舞伎風な演目をきっちり演じていて、なかなか見応えあっておもしろかったです。

舞台上に乱入した水野十郎左衛門の家臣を諫める幡随長兵衛は客席から登場。
通路側のお客様と握手したりしながら通路歩く吉右衛門さん。

物語の好みは別として、吉右衛門さんの長兵衛にホレボレ。
よいお声で台詞は名調子。これぞ播磨屋、当代一の幡随長兵衛を見せていただきました。
度量が大きくて、人々に慕われ一目置かれる人物であると納得させる存在感。
無礼な水野の家臣に対してもあくまでも丁寧な物腰。
水野の屋敷に一人乗り込んでも旗本に一歩も引けを取らない風格。
自分の死に場所を見定めた覚悟。
侠客としての自負と矜持。
こんな親分のためなら、と私が子分でも思います。


長兵衛の家に武士がやって来て、それが水野の遣いとわかると子分たちが一気にいきり立つ場面がこの演目で私が大好きな場面です。
さっきまで穏やかにしていた子分たちが一瞬で裾をまくり上げたり、鉢巻きしたり腕まくり
したりの臨戦態勢に入っていて、いつもその瞬間を見逃してしまって後悔するのですが、今回も、出尻清兵衛の又五郎さんはじめ、松江さん、亀鶴さん、歌昇くん、種之助くんたち子分のイキのよさに思わず笑ってしまいました。
特に種之助くの眼光鋭く口元やさしいイケメン小仏小平にヤラレましたワ。

子分たちや女房お時が止めるのにも耳をかさず、水野の屋敷へ出向く長兵衛。
やっぱり切ないなぁ。

以前、子分たちの一人で観たことがある染五郎さんが初役の水野十郎左衛門。
美しいお顔立ちに冷酷な人間性が映えます。
「芝居の上では対等に見えないといけないので、叔父に『勉強させてもらってる感』がお客さまにはみじんも感じられないよう勤めたい」とインタビューでおっしゃっていた染五郎さん。
勉強させてもらっている、はともかく、「対等」までにはもう一息かなという気もしますが、水野の卑怯なヒールっぷりは十分伝わってきました。

体調不良で休演されていた魁春さんがこの日から復帰。大事なくてよかったです。
魁春さんの女房お時はあまり感情を表に出さないながら、黙って長兵衛の着替えを手伝う様に、行かないでほしいと願いつつも侠客の女房として夫の覚悟を受け止めている心が伝わって切ない。
代わりに行くという兄弟分の権兵衛の歌六さんが短い出番ながら存在感を見せていました。


悪役フェチのワタクシではありますが、水野十郎左衛門はキライ の地獄度 (total 1815 vs 1823 )




posted by スキップ at 22:06| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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