2017年09月23日

知盛ができるまで  「白糸縅碇朱染彩 大物裏合戦」


image1.jpg知盛好き、大物浦好き、そして染五郎贔屓としてはこの情報が公開された時から「観たい~」と思っていました。
うまくタイミングが合って、今回上京時に拝見することができました。


歌舞伎座ギャラリー特別映像
「白糸縅碇朱染彩 大物裏合戦」
(しろいとおどしいかりにしきえ だいもつうらのたたかい)
出演: 市川染五郎/ナレーション 杉山真也アナウンサー
2017年9月22日(金) 10:15 歌舞伎座ギャラリー
(上映時間 24分)



昨年6月の歌舞伎座公演「義経千本桜」-渡海屋・大物浦-の舞台裏に迫った映像。
2016年6月「義経千本桜」 第一部の感想はこちら

とても見応えありました。
知盛の正体を顕し、白糸縅に身を包んだ「渡海屋」の場から引込み、揚幕に入って階段を降り、奈落で「大物浦」の支度をする様子をずっとカメラが捉えています。

まず顔をする染五郎さん。
隈を描き、眉を描き、血のりをつけ、目にも紅い色を入れて、どんどん悲壮な知盛へと変貌していきます。
驚くくらい迷いなく、サササッと筆を運んでいました。
これでもか、というくらいアップもあったり。

次に衣装。
3人の衣装係さんとお弟子さんの1人がつきっきりで着せかけ。
上に重ねて衣装を着るため見えない部分もしっかりきつけて帯紐も綺麗に結んで。
驚いたのは、血のりのついた白糸縅の鎧をつけた後、もう一度上の白装束を着て、それを脱いでいい形になるところ(腰のあたり)に縫い付けていたこと。
脱げた着物を表現するにも細かい作業があったのね~と感心することしきり。
しかも毎回縫い付けるなんて。
衣装をつける時、「長刀をはく」だったかな?ちょっと忘れてしまったのですが、独特の言い回しも印象的でした。


最後に鬘。
床山さんがいい頃合いに鬘を持ってきてつけてくださいます。

この間、染五郎さんはじめどなたもずっとほぼ無言。
奈落には舞台の音声がずっと流れていて、典侍の局(猿之助さん)の悲痛な声も聞こえてきました。
舞台裏なのだけれど、ずっと舞台とともにあるように感じる空間でした。

前の場が終わって、大物浦へと移る舞台転換は上方のカメラから。
たっつけを着た大道具さんたちが一斉に動いて瞬く間に場面が変わって行きました。

そして鳥屋へ上がり、気持ちを集中させてから花道へ出ていく知盛。
クライマックスの入水シーンは舞台裏の映像も。
知盛が碇を持ち上げ、海に放り投げるとスルスルと落ちていく綱は大道具さんが下から引っ張っているのだと初めて知りました。

そして、背中越しに海に飛び込むと知盛を待ち受けるクッションにはちゃんと海の絵が描かれ、それを支える黒衣さんたちも海と同じ青色の装束。
客席からは決して見えないけれど、ここでは青色を着るのが黒衣さんの心意気なのだそうです。

「出番を終え、知盛から染五郎という役者に返っていく」というアナウンスとともに、憑きものが落ちたような表情になる染五郎さん。

一つの役、ひとつの舞台をつくり上げるためには、役者さんは元より本当にたくさんの人々の力が結集されているのだと知っていたけれど改めて実感。
歌舞伎特有のマンパワー中心の仕掛けも見ることができてとても貴重な映像でした。
録画して残しておきたいくらいです。


知盛にまた逢いたくなりました のごくらく度 (total 1814 vs 1820 )


posted by スキップ at 22:15| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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