2017年08月15日

古典に挑戦 第三回あべの歌舞伎 晴の会 「東海道四谷怪談」


soranokai3.jpg松竹・上方歌舞伎塾 第一期生の片岡松十郎さん、片岡千壽さん、片岡千次郎さんの三人で結成された「晴の会」。
2015年に始まって今年はもう3回目です。
第1回、2回と上方落語を題材にした新作を上演されましたが、今年は古典に挑戦。
しかも 「東海道四谷怪談」ですって。


第三回あべの歌舞伎 晴の会
「東海道四谷怪談」
作: 四世鶴屋南北   改訂: 亀屋東斎
監修: 片岡仁左衛門  片岡秀太郎
演出: 山村友五郎
出演: 片岡松十郎  片岡千次郎  片岡千壽  片岡りき彌  
中村翫政  片岡當史弥  片岡佑次郎  片岡當十郎

2017年8月4日(金) 11:00am 近鉄アート館 Aブロック6列
(上演時間 2時間50分)



第一回(2015年)
第二回(2016年)


「四谷怪談」と聞いた時、どうなるの?と思いました。
舞台装置も大がかりなものはできませんし、出演者の数(8名)も上演時間も限られていますので、ダイジェスト版のようなものか、いくつかの場面の見取り上演になるのかな、と。
(だって、5月に観た木ノ下歌舞伎の「東海道四谷怪談」は6時間、2015年12月に国立劇場の通し上演も5時間近かったはずだもの。)

ところが、しっかり通し上演で、戸板返しなかもちゃんとあって、さすがに仁左衛門さん、秀太郎さん監修だけあって皆さん所作もきっちり。歌舞伎の色濃い正統派の「東海道四谷怪談」でした。
怪談としての恐ろしさ、仕掛けやケレン味がクローズアップされがちな演目ですが、この戯曲は南北の描いた人間ドラマだと改めて感じました。

片岡千次郎さん演じる噺家さんのような戯作者(「牡丹灯籠」でいう圓生さんのような役回り)が冒頭にざっと物語を説明されるのですが、その後も折にふれて登場して人間関係やカットした場面を語る、という趣向。
千次郎さんの語りもお上手で、途切れることなく物語世界が展開していきました。
お袖ちゃんが直助権兵衛と佐藤与茂七の二人から斬られるに至るくだりは少し端折りすぎで、「知らない人、これでわかるのかな?」とも思う部分もありましたが、全体の流れもよくできていて「通しで四谷怪談を観た」感あって大満足でした。


そして役者さんはやっぱり皆うまい。


千次郎さんは落語家の他に直助権兵衛と小汐田又之丞も。
口跡よい役者さん揃いの中でも際立ってよく通る声で、それを役によってきちんと使い分け。
晴の会のリーダー格で今回も脚本も担当(改訂の亀屋東斎さんが千次郎さんの筆名)。多才な役者さんです。

千壽さんはお岩fと佐藤与茂七。
千壽さんの女方といえば結構気の強い女のイメージ(笑)があるのですが、儚げで哀れなお岩さんでした。
時間が短いので仕方ない部分もありますが、髪梳きの場面は意外とあっさりしていたかな。
もう一役の佐藤与茂七もすっきりとした二枚目できりり。

民谷伊右衛門を演じるのは松十郎さん。
仁左衛門さんから直接ご指導を受けられたそうで、あちこちに仁左衛門さんの面影が。
「仁左衛門の旦那が演じると、悪い男なのに男の僕ですら心惹かれてしまう。醸し出す恐ろしい雰囲気のなかにも、好きになってしまう魅力がありますよね」と製作発表でおっしゃっていましたが、骨太でありながら色っぽい伊右衛門になっていたと思います。
演技が少し楷書すぎる気もしましたが、初役でこれだけできれば上々。


私が観た回は仁左衛門さんが2階正面でご覧になっていました。
時には厳しい視線で、時にはやさしい笑みを浮かべて。
役者さんたちはさぞ緊張されたことでしょう。
私の席の前列の方とお知り合いみたいで、こちらに向かって「やあ!」という感じで微笑みを投げかけてくださった時にはとなりましたよ。
しっかし、仁左衛門さん、スーツのパンツの右ポケットに手を入れて幕間に階段を昇り降りするだけで何て絵になるんでしょ。


今回は東京から三味線の杵屋栄津三郎さんと鳴物の田中長十郎さんも加わってくださったとか。
周りの方々の期待の大きさも伺えます。
新作、新作、古典ときて来年は何をやるんだろうと今から楽しみ。
また、上方歌舞伎の若い役者さんたちのこのがんばりが本興行でも発揮できることを期待もお祈りもしています。


「晴の会」が誰からも「そらのかい」と間違わずに読んでいただける日まで のごくらく度 (total 1260 vs 1262 )


posted by スキップ at 22:27| Comment(2) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しい記事をありがとうございます。〈晴の会〉今年も伺いました!予想外の四谷怪談。「どのくらい怖いのか?見に行けるのか?」とドキドキして行きましたが、濃密なドラマに引き込まれ、お岩様やお袖に感情移入。とてもぜいたくな歌舞伎時間を過ごせました。晴の会でこれからどんな歌舞伎が見られるのかなぁ。と、これからもとても楽しみです!
Posted by なでしこ at 2017年08月16日 20:18
♪なでしこさま

こちらこそ、いつも読んでいただいてありがとうございます。

「晴の会」とても充実していましたね。
私も最初に「四谷怪談」をやると聞いた時は、できるのかな?
どんなことになるんだろう、とちょっぴり不安だったのですが
見事な「歌舞伎の四谷怪談」になっていましたね。

新作も古典もどんと来い!の晴の会。
もうすっかり毎年夏のお楽しみになりました(^^)v
Posted by スキップ at 2017年08月17日 00:06
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