2017年07月25日

ロベール・トマ 二度目なのにヤラレタ! 「罠」


wana.jpg2009年に加藤和樹さん初主演作として上演され翌年再演。
今回が7年ぶり三度目の上演ということですが、私は初見でした。

「ラストまで犯人が分からない・・・謎が謎を呼ぶ推理劇の決定版!」というキャッチコピー。
「演劇界のヒッチコック」と呼ばれたロベール・トマの名作サスペンス劇です。

「罠」
作: ロベール・トマ   訳: 平田綾子   
演出: 深作健太
美術: 朝倉摂
出演: 加藤和樹  白石美帆  渡部秀  初風緑  山口馬木也  筒井道隆

2017年7月15日(土) 5:00pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 
1階F列センター  (上演時間 2時間)



物語は新婚3ヵ月のカップルが滞在するフランス郊外の山荘の一室で展開します。
妻のエリザベートが行方不明になり、夫のダニエル(加藤和樹)はカンタン警部(筒井道隆)に捜索を依頼しますがなかなか見つかりません。
そこへ、マクシマン神父(渡部秀)に付き添われて戻って来たエリザベート(白石美帆)は全く見知らぬ別人でした。ダニエルは、激しく抵抗しますが状況証拠は彼女が妻だと裏付けるものばかり。ただ一人真実を証明してくれるはずの絵描きメルルーシュ(山口馬木也)も殺されてしまい、ダニエルは精神的に疲弊しエリザベートとマクシマンにより病院へ送られることになって・・・。


これ、雰囲気が昨年観た「一人二役」に似てるなぁ似てるなぁ、と思いながら観ていました。
メルルーシュを除いて周りの人たちが全部共犯っぽいところとか、主役が陥れられてじわじわ精神的に追い詰められていくところとか、同じ展開じゃんと思っていて、ふと気づきました。
あの作品もロベール・トマだったことに。


「ははーん。ということは、この警部も実は共犯で真犯人だな」と思っていたらその通りになって、「やっぱりね」としたり顔になっていたところへラストのどんでん返し。
「ヤラレタ!」となりました。あの時の客席のザワッと感ね。

カンタン警部はダニエルに「妻を失って傷心の夫をよく演じ切っていた。我々も騙されそうになった」と言っていて、警察を罠にかけようとしていたダニエルが逆に警部の罠にかかってしまったのですが、この舞台で一番罠にかかけられたのは私たち観客だと思います。
「罠」というシンプルなタイトルの意味を観終わった後に知ることになる私たち。
おもしろかったです。

ただ、一つ感じたことは、原作上はどうなのかよくわかりませんが、この日の舞台を観る限りでは、ダニエルは元々は冷酷な悪人だったけれども、遺産目的でエリザベートを殺してしまった後、自分がどれほど彼女を愛していたかということに気づいて、その後悔と自責の念から無意識に記憶を塗り替えてしまったのではのではないか、ということです。
最後にエリザベートの遺体を埋めた場所を告白した時の表情は、罪が暴かれてしまったという落胆より、妻が死んでしまったこと、その妻を殺したのは自分自身だという事実が改めて心に突き刺さって茫然自失といった態に見えました。

このあたり、アフタートークで加藤さんや白石さんが「深作さんが今回はダニエルのエリザベートへの愛という新しい演出を加えて・・・」的なニュアンスのことをおっしゃっていて、初演を観ていないのでその違いは比べようもありませんが、その影響もあるのかな、と。


どんどん追い詰められていく迫真の演技の加藤和樹さんはじめ役者さんは皆よかったです。
和樹くん、ミュージカルでの活躍が目立ちますが、声もよく通ってやっぱりストプレもいいな。
いつまでも「あすなろ白書」のイメージがある筒井道隆さんが無精ひげやヨレヨレのトレンチコートが似合う“ちょっとくたびれた中年男”がうまくハマるお年頃になったのかと感動。

山口馬木也さんのメルルーシュがこれまであまり観たことない雰囲気の役で新鮮でした。
メルルーシュおじさんが描く加藤和樹くんダニエルの肖像画(上手かった!)は本当に馬木也さんご自身が描いていらっしゃるのだとか。
「稽古場からずっと和樹見て描き過ぎて、もうフリーハンドで描けるようになった」とアフタートークでおっしゃっていました。

アフタートークといえば、渡部秀さんが兵庫に来ること自体初めてで「兵庫ヤッホー!」とおっしゃっていて可愛かったです。
そして兵芸の舞台に初めて立つ役者さんが皆さん「とてもいい劇場」とほめてくださるのが、兵芸好きとしてはいつ聞いてもうれしいことです。




ロベール・トマ 侮りがたし のごくらく度 (total 1247 vs 1256 )




posted by スキップ at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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