2017年05月26日

團菊祭五月大歌舞伎 昼の部


kabukiza20175.jpg今年の團菊祭は七世尾上梅幸 二十三回忌ならびに十七世市村羽左衛門 十七回忌の追善公演。

加えて、初代坂東楽善、九代目坂東彦三郎、三代目坂東亀蔵の襲名披露と彦三郎さんのご長男「倅マン」こと侑汰くんが亀三郎を名乗っての初舞台。
さらには、尾上菊五郎さんお孫さんであり寺島しのぶさんのご長男 眞秀くんの初お目見得と、話題も見どころも満載です。


團菊祭五月大歌舞伎 昼の部
七世  尾上梅幸   二十三回忌
十七世 市村羽左衛門 十七回忌   追善

2017年5月20日(土) 11:00am 歌舞伎座 3階5列センター
(上演時間 4時間17分)



一、初代坂東楽善 九代目坂東彦三郎 三代目坂東亀蔵 襲名披露狂言
  梶原平三誉石切  鶴ヶ岡八幡社頭の場
出演: 坂東彦三郎  坂東亀蔵  尾上松緑  尾上菊之助  坂東巳之助  
尾上右近  市川團蔵  坂東楽善 ほか


昼の部の襲名披露狂言。
「石切梶原」自体は何度も観た演目ですが、初役で梶原平三景時を演じる彦三郎さんをはじめ、楽善さん、亀蔵さん親子3人でこの演目を観るのはもちろん初めてですし、この先また観られることがあるのか、と考えたらとても感慨深いものがありました。

「石切梶原」といえば、幸四郎さんや吉右衛門さんのイメージが強くて、彦三郎さんはそれに比べたらずい分若くて小粒感はあるものの、定評のある朗々とした美声を響かせ、キレのよい所作で颯爽とした武者ぶりでした。
一つひとつをきっちりと演じていて、楷書の演技という印象でしたが、そこにゆとりや遊びを入れることができるようになるのが今後の課題でしょうか。台詞についても、ずーっといい声なので、もう少し緩急があればな、とつい欲張ってしまいます。


赤っ面の俣野五郎は弟さんの亀蔵さんで、ほんとにご兄弟揃っていい声だなぁと改めて聴き惚れました。
お父様の楽善さんの大庭三郎はさすがに大きく、大名らしい風格もありつつ嫌みもにじませて、上手い。

この3人以外の配役をあまり把握していなくて、ずい分美形の奴だなぁと思ったら菊之助さんだったり、團蔵さん六郎太夫(とてもよかった!)と一緒に出てきた娘の梢が、綺麗だしいい声だし、誰?とオペラグラスあげたら「右近くんじゃん。そりゃ綺麗で上手いはずだわ」となったり。

その最たるものが、剣菱呑助。
二つ胴の試し斬りをされる罪人で、この役、かなりつくり込んだメイクなので、出て来た時、客席でちょっと笑いが起きたのですが誰だかわからず。
しゃべり始めて「松緑さんなの?!」と気づきました。
その台詞もいつもの酒づくしではなくて、「羽左衛門、梅幸のおじ」とお二人の追善や、三人襲名のめでたさを「嬉し涙があふれるわい」とか、またその上に「音羽屋の孫 眞秀の初お目見得、亀三郎の初舞台」とお祝いを並べて、「俺は引っ立てられ、團蔵の兄貴と並べられ・・」とおーんおーんと泣いて客席を沸かせてくれてお見事でした。


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襲名披露特別ポスター 4人とも凛々しい。



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祝い幕。



ニ、義経千本桜 吉野山
出演: 市川海老蔵  市川男女蔵  尾上菊之助 ほか


海老蔵さん狐忠信に菊之助さん静御前という当代きっての美形カップル。
満開の桜の中、二人並ぶ姿は本当に絵から抜け出たようなる美しさです。

舞台装置がいつもと違っていて、吉野山全景で下手には吉野川。
静御前は花道から出てくるのでも舞台に板付きでもなく、竹本の演奏が終わると舞台奥からゆっくり出てきました。
菊之助さんの静は惚れ惚れするくらい綺麗ですが、何となくお人形さんのようで、あまり感情がないというか、淡々としている印象です。

海老蔵さん忠信は颯爽としてめちゃ男前ですが、頬のあたりがかなりシャープで痩せた印象で、「やっぱりいろいろ大変なんだろうなぁ」と別のこと考えちゃったり。

逸見藤太は男女蔵さん。与えられた役回りをきっちり。
ラスト、花道から忠信が投げた笠が少し低めながらまっすく藤太のところに飛んで、男女蔵さんもナイスキャッチでした。


三、新皿屋舗月雨暈  魚屋宗五郎
作: 河竹黙阿弥
出演: 尾上菊五郎  中村時蔵  尾上松緑  中村梅枝   初お目見得 寺嶋眞秀  河原崎権十郎  市村萬次郎  市川團蔵  市川左團次 ほか


菊五郎劇団盤石。

いろんな人で観る魚宗ですが、やはり菊五郎さんの宗五郎が一等好き。
酒癖が悪くて喧嘩っ早くて、情に厚くて涙もろい・・・私たちがイメージする「愛すべき下町の江戸っ子」を目の前に描き出してくれる菊五郎さん。
宗五郎が菊五郎さんなのか、菊五郎さんが宗五郎なのか、という感じです。
お酒の力を借りて一気に爆発する宗五郎の怒りや悲しみ、やりきれない気持ちが、とても切なく心に響いて、笑いながらウルウルしてしまいます。

この菊五郎に寄り添う女房おはまの時蔵さんがまた息ぴったりで。
いつもの美しさを封印した下町のおかみさん。
口うるさく言いながら誰よりも宗五郎のことを理解し宗五郎の心の痛みを知っていることが伝わってきます。

團蔵さんの太兵衛、権十郎さんの三吉、梅枝くんのおなぎ、萬次郎さんのおみつ。
みんなが役どころを心得てイキイキと物語の中にいて、まるで江戸時代の長屋の一間を覗き見しているようです。
暴君ぶりより真面目さが印象的な松緑さんの主計之助 酸いも甘いも噛み分けた老練な左團次さんの家老 浦戸十左衛門。

役者も揃って、菊五郎劇団盤石(二度目)。

そして眞秀くん。
やんやの拍手に動じることもなく、酒瓶抱え歌舞伎座のあの長い花道を一人で歩いて出てきてまた一人で帰っていきます。
台詞も三階までよく通る大きな声でしっかりはっきり。
それだけでも立派で感心するのに、戸口で待たされている間、正面を向いて客席に笑顔まで見せるのだから、寺嶋眞秀、おそろしい子。

「酒が好きだから酒屋に奉公してるんだ」という丁稚くんは、同じく酒好きのお祖父様から、大物ぶりもお芝居の才能も間違いなく受け継いでいるようです。



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追善と初お目見得、初舞台。
こうして歌舞伎は脈々と継承されていくのですね。




時間がなくて夜の部 倅マンの初舞台は観られなくてザンネン のごくらく地獄度 (total 1221 vs 1224 )




posted by スキップ at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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