2017年05月19日

あの朝陽の向うへ 今 旅立とう 雪組 「幕末太陽傳」 


現在の宝塚でイチバンのbakumatsu.jpg人気トップコンビ 早霧せいなさん・咲妃みゆさん退団公演。
トップ就任お披露目公演 「ルパン三世」(2015年1月)から前作「私立探偵ケイレブ・ハント」(2016年10月)まで、宝塚大劇場では異例の4作連続動員100%を達成している早霧さん率いる雪組。
さよなら公演も聞きしにまさるチケット難で、5作連続100%は確実という勢いです


宝塚歌劇 雪組公演
かんぽ生命 ドリームシアター
ミュージカル・コメディ 「幕末太陽傳」
原作: 映画「幕末太陽傳」
脚本・演出: 小柳 奈穂子
出演: 早霧せいな  咲妃みゆ  望海風斗  彩風咲奈  鳳翔大  香綾しずる  
彩凪翔  星乃あんり  永久輝せあ  真彩希帆/汝鳥伶  悠真倫 ほか

2017年4月23日(日) 11:00am 宝塚大劇場 1階26列センター/
5月14日(日) 3:00pm 1階12列下手
(上演時間 1時間35分)



1957年公開の映画「幕末太陽傳」(川島雄三監督)をベースにした作品。
古典落語の「居残り佐平次」「三枚起請」「品川心中」「お見立て」などを散りばめながら、実在した品川の遊廓 相模屋を舞台に繰り広げられる人情喜劇です。

一文無しのまま相模屋を訪れ、女郎おそめ(咲妃みゆ)を揚げて大尽遊びに興じた佐平次(早霧せいな)は、支払いの代わりにここで働くと翌朝飄々と居残りを決め込みます。番頭まがいの仕事を始めた佐平次は次々起きる騒ぎを持前の度胸と機転で解決してお礼のお金をせしめながらも廓の人気者となります。相模屋に逗留し攘夷の計画を練る高杉晋作(望海風斗)はじめ長州藩士たちとも交友を深める佐平次ですが・・・。


60年も前の映画をなぜ今宝塚で?しかも遊郭が舞台だなんてすみれコード大丈夫なの?と思いましたが、明るく楽しく、そしてちょっぴりペーソスも漂う群像劇に仕上がっていました。
すごくドラマチックな展開があるとか、カッコいいヒーローが大活躍したり苦悩に身悶えするといったタイプの話ではなく、どちらかといえば佐平次は狂言回し的な役回りなので、「サヨナラ公演なのにこんなのでいいの?」と思わなくもないですが、いろんな人に少しずつ活躍の場があって、明るさの中に終始温かさも漂っていて、ちぎちゃんらしいといえばらしいかな。

長州藩士と外国人たちとの間で一悶着ある路上から大せりが回ると二階建の相模屋が舞台いっぱいに現れて、いろんな身分の遊郭の客たち、色とりどりの着物に身を包んだ女郎、長州藩士、店で働く者たちなど登場人物全員で総踊りとなるオープニングがとても華やかで、幕末の江戸の庶民のエネルギーに満ちあふれているようで観ていてワクワクしました。
音楽がジャズやタンゴなど時代劇っぽくないのもこの雰囲気にはよく合っていました。

映画を観たことがないのでわからないのですが、基本的には映画通りの展開のようです。
小柳先生にしては宝塚アレンジ少なめ?と思いましたが、著作権上のしばりがあったのかもしれません。


エピソードとしては、
・長州藩士の異人館爆破計画
・相模屋の放蕩息子 徳三郎(彩風咲奈)と大工の娘おひさ(真彩希帆)の恋
・おそめとこはる(星乃あんり)の大喧嘩
・おそめが金造(鳳翔大)と起こす心中事件
といったところでしょうか。

これらにいちいち関わってはヒョイヒョイと収めていく佐平次は早霧せいなさん。
軽妙さを全面に出している感じですが、肝も座っていてどんなことにも動じない佐平次。
実はあまりよくない肺の病を抱えていて、一人の時に見せる孤独の影。
自分の命を見限っていた佐平次が相模屋で人々が生き抜くパワーとたくましさに接して、「もう一度生きて行こう」と前を向くラストはとてもよかったです。

羽織をふわりと上に投げて手を使わずに着るところ、4/23に観た時は落ちている羽織を拾って「あれ。これ裏向きになってる」とちゃんと表にしてから投げていました。当たり前だけど冷静かつ順応性バツグンです。
5/14は母の日スペシャル。長州藩士たちの部屋からくしゃみをしながら去る佐平次さん。「ハー、ハー、母の日っ!」と言っていました。

おそめの咲妃みゆさんもイキイキ。
自分の欲望に忠実で無責任。でも底抜けに明るくて憎めないキャラクター。
海千山千の女郎らしさはありつつ品を落とさず演じていて好感。
こゆきとの取っ組み合いの喧嘩も思い切りよく、その後のジャジーなソロも聴かせてくれました。

金造をそそのかして心中する場面は、鳳翔大さんの好演もあって爆笑となりましたが、最初に観た時、「これって去年10月 名古屋で観た歌舞伎の『品川心中』まんまじゃん!」と思っていたら、落語の「品川心中」から題材を採った同じものだと後で知りました。
大ちゃんもこれが退団公演(涙)。

おそめのライバルこはるの星乃あんりさんも今回が退団公演ですが、一気に花開いた印象でとてもよかったです。
美しさ、着物の着こなしや女郎っぽい雰囲気は咲妃さん以上かも。
起請文連発して文句言う仏壇屋の親子(悠真倫・永久輝せあ)を手玉に取ったかと思えば、高杉さんのお座敷で詮議のピンチを助けてあげたり、手練手管に長けた女郎すばらしい。

この作品の中でクール&カッコいい担当の高杉晋作は望海風斗さん。
とは言いながらそれほどしどころがあるという訳ではない役をさすがの存在感で演じていました。
早霧さん佐平次と2人で「またいつか会おう」と語り合う場面は少しグッときました。

相模屋の放蕩息子 徳三郎は彩風咲奈さん。
母親にお金をせびっては吉原や博奕場で放蕩三昧していたけど幼ななじみのおひさが女郎に出されると知って真人間になる決意をするという役どころ。
いかにも甘やかされて育った苦労知らずのぼんぼんという風情がよく出ていて、そんな遊び人にありがちな色気もあってよかったです。

彩風さんは初日から1週間位体調不良のため休演していて、4/23に観た時はこの役は永久輝せあさん。
いや~、永久輝さん、いきなりの代役で大変だったと思いますがよくがんばっていました。
後で彩風さんのを観ると「遊び人ってやっぱりこんな感じだよね」と思いましたが、永久輝さんだけ観た時点でた特に遜色なかったです。
永久輝さん、本役の清七と徳三郎と新人公演で主役を演じた佐平次。とても大変だったと思いますがとてもよい勉強にも糧にもなったのではないかしら。

おひさは星組から組替えとなってこれが雪組デビューの真彩希帆さん。次期雪組トップ娘役に決定しています。
真彩さんは歌の実力は折紙つきですが、台詞も歌同様いい声で口跡もよくて言葉がよく伝わります。
ただ、おひさという人物は健気で不幸を装いながら身分違いをもろともせずしっかり徳三郎をゲットするというしたたかさでどうも好きになれず(笑)。


登場人物多くて書ききれないので以下思いつくまま箇条書き。
・専科からご出演のお2人-悠真倫さんと汝鳥伶さんがちょっともったいない使われ方のような。
・長州藩士たちは煌羽レオさん筆頭に若手イケメン揃い。一人立場が少し違う久坂玄瑞の彩凪翔さんクールビューティ。
徳三郎とおひさの舟の上での祝言で♪高砂や~と美声を響かせるのも久坂。
・長州藩江戸詰見廻役 鬼島又兵衛の香綾しずるさん。若い藩士たちから煙たがられ、「鬼島又兵衛58歳!」という割には若作りだった。
・相模屋おくまの舞咲りんさんがいかにもやり手ババァという風情で似合いすぎ。
・金造の棺桶を相模屋に運んでくるガエン者が2人ともイケメンだー!と後でプログラムチェックしたら星加梨杏くんと懸千くんだった。


あまりサヨナラ公演っぽくないお芝居ですが、ラスト近くに早霧・咲妃・望海の3人で(結構唐突に)歌うのがそれらしいシーンかも。

  かわした言葉も笑顔も 全て遠い夢の跡
  数えきれない思い出をこの胸に抱きしめたら
  あの空へ飛び立とう
  遠く遠く はるか遠くへ
  あの朝陽の向うへ 今 旅立とう

という歌詞もいかにもサヨナラ仕様です。

ラストは宝塚オリジナルだとか。
汝鳥伶さん杢兵衛大尽の「人でなしー!!」という言葉に見送られて(笑)、手を取り合い、とびきりの笑顔で未来に向かって銀橋を渡っていく佐平次とおそめ。
「サヨナラ公演なんぼのもんじゃい!」といった趣きの明るいエンディングでした。


baku3.jpg baku2.jpg

公演ドリンクは「幕末太陽傳」にちなんで下り酒「幕末 慶応の酒」。
ロックと抹茶シロップ入りのカクテルがありましたが、ロックをいただきました。



お芝居だけで長くなったのでショーは別記事につづく 


posted by スキップ at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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