2017年04月25日

四月大歌舞伎 夜の部


kabukiza04.jpg四月大歌舞伎 夜の部
2017年4月9日(日) 4:30pm 歌舞伎座 
3階2列上手 (上演時間 4時間2分)


昼の部の感想はこちら


一、傾城反魂香  土佐将監閑居の場
作: 近松門左衛門
出演: 中村吉右衛門  尾上菊之助  
中村又五郎  中村錦之助  中村歌六  
中村東蔵 ほか


以前は歌舞伎を観るのはもっぱら関西(松竹座か南座)でしたので、吉右衛門さんの代表作とされるお役は先に仁左衛門さんで観ている場合が多いのが常です。
「熊谷陣屋」の熊谷直実しかり、「仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助しかり、「義経千本桜」の碇知盛しかり、「御浜御殿綱豊卿」の徳川綱豊卿しかり。
そして、「この役は仁左衛門さんがイチバンと思っていたけど、さすが吉右衛門さんもすばらしい」となる訳です。

そしてこの「吃又」は、関西ではなく2012年3月 勘九郎さん襲名の浅草の平成中村座で観ました。
仁左衛門さんの又平におとくは勘三郎さん。
あの時の勘三郎さんのおとくが大好きで、今思い出しても涙出てくるワとブログ検索して、自分の感想読んでまた泣くという・・・

吉右衛門さんの又平は、取り立てて吃音であることを強調するのではない自然な演技で、このあたり仁左衛門さんと共通するよう。
不器用で、愚鈍なまでの実直さと一途さ、絵師として恵まれない悲哀がとても感じられる又平でした。


土佐将監から物見を命じられて、それこぞ微動だにせず、瞬きひとつしないでじっと前を見据える又平
追手役を命じられて行こうとする修理之助に、自分に行かせてくれとすがりつく又平
絶望して生きる望みを失い、うなだれて死を決意する又平
おとくに促され、最期の一筆として石の手水に画を描く又平
画が抜けたことを知って驚きとともに喜びを爆発させる又平
将監から賜った装束に身を包み、胸を張ってみせる又平

どの又平もとても愛おしかったです。

おとくの菊之助さんは、口の重い夫に代わってついしゃべり過ぎてしまうようなチャキチャキ感は薄めでしたが、常に又平に寄り添っているような夫思いの女房ぶり。又平への真摯な思いが伝わってくるよう。
「手も二本、指も十本ありながら・・」の台詞はさすがに聴かせてくれました。

厳しさの中にも弟子への憐憫を垣間見せる歌六さんの土佐将監、夫に従いながらも又平 おとく夫婦に情愛を寄せる東蔵さんの北の方、いかにもニンに合った錦之助さんの修理之助と又五郎さんの雅楽之助。
役者が揃ってとてもよい一幕でした。

 
二、桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)  帯屋
出演: 坂田藤十郎  中村壱太郎  上村吉弥  中村寿治郎  
     市川染五郎  中村扇雀 ほか


京の呉服店帯屋の主人 長右衛門(藤十郎)は妻お絹(扇雀)と店を切り盛りしていますが、義母のおとせ(吉弥)は連れ子の儀兵衛(染五郎)とともに店を手に入れようと画策しています。長右衛門は伊勢参りの途中、隣家 信濃屋の娘お半(壱太郎)と関係をもってしまいます。お半が残した書置きを読んだ長右衛門は、お半が死を覚悟していることを知り・・・。


これ、何回観ても「長さん、アカンやろ」と思います。
お絹さんのようによくできた女房がいて、繁斎さんみたいにかばってくれるご隠居さんがいて、ちゃんと仕事を任されていて、14歳の娘に手を出すって・・・。

演じる藤十郎さんは、さすがに手の内にあるお役という感じで、本当は生真面目なのだろうけれど、一夜の過ちから家とお絹さんとお半ちゃんの間で身動き取れなくなってしまった苦悩や、それでも、そんな自分に戸惑いながらも死へと向かうお半ちゃんを放おっておけないやさしさが滲み出ていました。
3階席だったから?ちょっと台詞が聴き取りにくいところがあって残念。

壱太郎くんはお半ちゃんと丁稚 長吉の二役。
ちょっと頭が弱そうでいて実は知恵者でしたたかな長吉と、若さの暴走 ひたすら長さま恋しのお半ちゃんの演じ分け鮮やか(ビジュアル的にも)。

クールビューティを封印して意地悪婆さんの趣きの吉弥さんおとせ。
ほんと、憎々しいのだけどどこかおかしみが漂うのが上方味。

その連れ子 儀兵衛は染五郎さん。
上方言葉もこなれていて、こんな役、すごくハマります。
以前「封印切」で八右衛門を楽しそう演じていらした時を思い出しました。
あれ、また観たいなぁ。
長吉との「長さんづくし}?では、「あの口癖言うやつ、ためだこりゃ ためだこりゃ 言うやつ・・・そら長介や!」とまさかのドリフネタ。
近ごろでは2人して「ちょうちょう」も歌っているらしい(笑)。


三、三代猿之助四十八撰の内 奴道成寺
出演: 市川猿之助  尾上右近  中村種之助  中村米吉  中村隼人  
     市川男寅  大谷龍生(初舞台) ほか


道成寺もののバリエーション。
踊るのは白拍子 花子ではなく、狂言師 左近。
猿之助さんの踊りをたっぷり楽しめる上に、尾上右近くん筆頭に、これが初舞台の11歳 大谷龍生くんまで、所化さんたちは花形御曹司揃いという目にも贅沢な一幕です。

相変わらず手先足先まで神経の行き届いたキビキビした猿之助さんの踊り。
特に、どんどんスピードアップする「三つ面」の踊り分は会場からどよめきとやんやの拍手が。
次々とお面を渡す後見の段一郎さんとの息もぴったりで、お面が替わる瞬間瞬間で踊りも全く違った表情を見せるのが本当に凄いし、いつまでも観ていたいくらいでした。

お兄ちゃんたちに混じって初舞台の龍生くんは懐から天蓋(タコ)を出して台詞も大きな声でしっかり。
手ぬぐいは左近は撒かず、所化さんたちのみ。さすがに3階までには届かずザンネン。

ラストは花四天さんたちとアクロバティックに立ち回ってみせた左近が鐘に上り、その鐘から伸びるように花四天さんがつくる蛇体が見事にキマって(しっぽの部分は逆立ち)、大盛り上がりで打ち出しとなりました。



歌舞伎座は不思議な空間。
昼夜通すと10時間近くいる訳で、観る前はいつも長いなぁと思うのですが、体感時間あれよあれよと過ぎていきます。
笑ったり泣いたり見惚れたり、たまに意識遠のいたり←、 たい焼き食べたり、目一杯拍手したりしてたらあっという間。
昼夜6演目 見応えたっぷりで本当に楽しかったです。



夜の部もやっぱり1階で観ればよかったなぁ のごくらく地獄度 (total 1201 vs 1202 )



posted by スキップ at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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