2017年04月14日

豊洲髑髏城伝説 幕開けです 「髑髏城の七人」 Season 花


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「髑髏城の七人」は、劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎に名作数ある中、my トップ スリーの中の1作。
1990年の初演は残念ながら観ていませんが、伝説の1997年版、2004年のアカドクロ、アオドクロ、2011年 ワカドクロ と7年ごとに観て来ました。
毎公演複数回観ていて、その間にゲキ☓シネやDVDも観ていますので、これまで何回「髑髏城」に登城したことか。

そんな「髑髏城の七人」が、花鳥風月の4シーズンに分かれて1年3ヵ月にわたりロングラン公演。
しかも、4バージョン キャストはもちろん、脚本も演出も異なるという趣向。
毎回東京まで観に行かないといけないことも含め、全く、何てことやってくれるんだ 新感線、という感じですね。


ONWARD presents 劇団☆新感線 「髑髏城の七人」Season 花 
Produced by TBS (←長いっ)
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
美術: 堀尾幸男   照明: 原田保 
衣装: 竹田団吾   音楽: 岡崎司 
殺陣指導: 田尻茂一  川原正嗣 
アクション監督:  川原正嗣 
映像: 上田大樹 
出演: 小栗旬  山本耕史  成河  りょう  青木崇高  清野菜名  
     近藤芳正  古田新太  河野まさと  逆木圭一郎  
     村木よし子  礒野慎吾  吉田メタル  保坂エマ ほか

2017年4月8日(土) 1:00pm IHIステージアラウンド東京 22列下手
(上演時間 3時間30分)



「花は2011年版の『髑髏城の七人』をストイックに発展させたバージョン」といのうえひでのりさんがおっしゃっていましたが、2011年版をベースにしながら、「少し大人になったワカドクロ」という印象でした。
大人になった分、物語に深みが増して、捨之介と天魔王と蘭兵衛、捨之介と沙霧、天魔王と蘭兵衛、蘭兵衛と極楽太夫・・・それぞれの関係性がよりくっきり立ち上がった感じ。


「花」で一番特徴的なのは天魔王のキャラクターだと思います。
中島かずきさんが成河くんのイメージに合わせて書いたのでしょうか。
何て言うんだろ、孤高の天魔王が野に降りてきたとでも言うのかしら。
顔に大きなやけどの跡があり、足をひきずって歩く姿はリチャード三世を彷彿とさせますが、人品卑しく、言動もかなりエキセントリックで、肉体的にも精神的もキレてる感じ。そのあたりも成河くんのあの甲高い声と合っていました。

捨之介と天魔王が信長の影武者で、蘭兵衛はお小姓だったというのがこれまでの私の理解ですが、今回は「蘭兵衛と天魔王は殿のお小姓だった」という捨之介の発言がありましたので、そのあたりもキャラ変で蘭兵衛と天魔王の関係がより密な印象。
蘭兵衛=森蘭丸は、本能寺で信長公と一緒に死ねなかったこと(「お前は生き延びろ」と言われたにせよ)が心の中に澱のように逗まっていて、だから、同じお小姓でありながら本能寺で顔に火傷を負い、足に怪我をした天魔王に引け目のようなものを感じていて、結果として天魔王にそこに付け込まれて籠絡されてしまう、という流れが自然。

蘭兵衛が山本耕史くんということもあってか、天魔王と蘭兵衛の妖しげなボーイズラブ感はかなり薄め・・・というか天魔王が「兄者」と呼んだりして、兄弟感?
夢見酒の口移しシーンもドキドキという雰囲気ではなかったのは少し残念かも。

3人のこれまの背景がより色濃く浮かび上がる脚本と演出。
人間の生き方や性格がひと言では語れないように、捨之介と天魔王と蘭兵衛は3人で一人なのだなぁと改めて思いました。
一つ間違えば捨之介が天魔王になったかもしれないし、天魔王が無界の里の主になっていたのかもしれません。


話題の回転する客席については、ステージアラウンドのレポで「別に回転しなくてもよい」と暴言吐いたのですが、回転が一番活きたのは、クライマックスの戦闘シーンだと思います。

回転して次々現れる場面に捨之介や兵たちが進むのと合わせて客席の私たちも髑髏城の中を進んでいく感じ。
屋外では、舞台を横切るように本水の川が流れ、ホリゾントに映し出される空や山々の風景とともに、草原を駆け抜けているような臨場感もあって、まるで映画のワンシーンの中に入り込んだよう。

もう一つはカーテンコール。
客席が回転するごとに、賑やいだ無界屋で笑顔の極楽太夫や兵庫、真っ白な彼岸花の中に立つ蘭兵衛、髑髏城の天魔王、自分の刀鍛冶工房に立つ贋鉄斎(古田さん、ここで水吹きやってました)が次々現れて、まるで映画のエンディングクレジットのよう。
この劇場ならではの演出。これ、今までの劇場ではできなかったことですね。

逆に、舞台転換不要のためのスピード感については、これも劇場のレポで書いたように、いのうえさんの演出については、普段も舞台転換待ちといったストレスはほとんど感じたことありませんので、この劇場機構のお陰でそれが特によくなったという風には思いませんでした。
演技していないステージを隠しているのはスクリーンで、結果として映像が多用されているのですが、背景の役割が多く舞台効果にうまく融合していることもあってかそれほど「映像多い」と気になることはなかったです。

舞台美術自体にあまり色がないのも特徴的でした。
新感線の映像はいつもモノトーンが多いですが、今回セットも、無界屋も髑髏城も、色彩は極力抑えている印象。
そういえば、冒頭「髑髏城の七人」とタイトルがバーンと出るところ、この作品に限らず新感線のタイトルシーンは「ふほ~ カッコイイ~」となるのですが、今回上の方暗くてよく見えなくて残念な感じでした。席の関係もあるのかな?


小栗旬くんの捨之介。
基本的に2011年版の延長線上にある感じで、女好きの遊び人には見えないけれど、誠実で、過去の自分の負の遺産(熊木衆のこととか)をきちんと受け止めて生きている人でした。
声も口跡もよくて台詞はしっかり。
長身で華もあってビジュアルは元よりよい人ですが、前回に比べて、着物の着こなしや所作、裾さばきが格段によくなった印象です。
太腿から美脚を惜しげもなく晒していましたが、あれ、前の方で観たらかなりなのでは?
ワカドクロの序盤、森山未來くん、早乙女太一くんを向こうにまわして「一人スローモーションに見える」(暴言再び)と感じた殺陣も重量感ありスピーディで特訓の成果は上がっているよう。
余談ですが、4月11日(火)から始まったドラマ「CRISIS」のアクションがかなりイケてたので、元々身体能力は高い役者さんなのでしょう。
タイトル出る直前の「浮世の義理も昔の縁も、三途の川に捨之介だ」はまだ試行錯誤中かな(確か前回もそうだった)。

蘭兵衛は山本耕史くん。
個人的な好みとしては蘭兵衛にしてはガタイが良すぎるのですが、これまでの蘭兵衛の中でも一番男っぽい・・というか武士(もののふ)の香りのする蘭兵衛でした。自分自身や極楽太夫たちの人生含めて、無界の里にすべてを受け容れているという度量の大きさも感じました。
時代劇で鍛えているだけあって所作も太刀さばきもさすが。
大人の男としての色気を感じる蘭兵衛でしたが、もう少し妖しさがあってもいいかな~とも感じて、これは山本耕史くん云々というより演出の側の意向かな。

成河くん天魔王は、先述した通りですが、成河くんって本当に何でもできるなぁと改めて思いました。

りょうさんの極楽太夫。
最初の登場から艶やか。
雑賀の鉄砲衆だった過去より、蘭兵衛と知り合って以降に重きを置いた役づくりかな。
凛としつつも蘭兵衛に対する恋心を結構前面に出している極楽太夫で、そりゃ捨之介でなくても気づきますよね~という感じ。

沙霧の清野菜名さんもとてもよかったです。
昨年観た「サンバイザー兄弟」でも思い切りよくハジけた演技を見せてくれていましたが、アクションもあんなにできるとは。
兵庫に一撃くらわせた滞空時間の長いドロップキック、お見事でした。

そして、贋鉄斎の古田新太さん。
もう、反則だからね・・・というか、卑怯というレベル(笑)。
何ですか、あの着ぐるみ。
言うことやることハチャメチャなのにイケボという。
古田さん出てくるだけで全部かっさらって行く存在感はさすがという他ありません。

ただ、百人斬りの場面のローラーブレード、いりますかね?
何となく覚束ないスケーティングの贋鉄斎が気になりすぎて、折角の百人斬りなの捨之介に目が行かず、贋鉄斎ばかり目で追ってしまうという(少なくとも私は)。
このあたり、いのうえさんのご意見を一度伺ってみたいところです。


いつまでも書き続けそうな感じになってきました。
いろいろ言いたいことはありつつも、関八州荒武者隊が「こうしないと兄貴に怒られる」と言いながら極楽太夫や磯平さんを守って死んでいく場面はいつも胸熱だし、クライマックスの紅蓮の炎の中、ストップモーションのコマ送りになって七人が揃うシーンは背中ゾクゾクするし、「髑髏城の七人」 やっぱり好きだぁと思いました。


dokurojo2.jpg  dokurojo.jpg
  
ロビーには「花」と「鳥」のモチーフが。
これから4つ並んでいくのかしら。



パンフレット相変わらず大きくて持ち帰り難いってば のごくらく地獄度 (total 1193 vs 1197 )


posted by スキップ at 23:53| Comment(4) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スキップさま

こんにちは。「花髑髏」一日違いの観劇だったようです。

今回は小栗くん頑張ってましたね。
私も着物の着こなし、所作、凄く良くなっていたと思います。
オープニングの得物も鉄扇なのが、小栗捨之介に合ってました。
アオの染五郎さんの琵琶とか、色々変えてきますよね。

それだけに百人斬りの演出は残念すぎました。
普通に小栗くんと古田さんで、立ち回って欲しかったです。
古田さん、足とか痛めてるのではないと良いですけど。

今回は蘭兵衛の正体バレが一幕早々なのに驚きました。

夢見酒の場面は、天魔王が蘭兵衛の髪やら頬やら撫でる手つきがエロいのと、
そんな天魔王を蔑むように見る蘭兵衛がやたら艶っぽくて、
大変アダルトな空気が、逆に私は凄くツボ突かれました。

何だか髑髏城って、己の血が滾る演目と、再認識した次第です。
Posted by 花梨 at 2017年04月17日 01:17
♪花梨さま

1日違いでしたか。それはザンネン!

そうそう、小栗捨之介、大きな鉄扇持っていました。
長身なのであの大きさに負けていないですよね。

そうか、百人斬りのあれは古田さんの足という問題が
あるのかもしれないのですね。
本当に何もなければよいのですが。
そして何もないのであれば通常の百人斬りをぜひお願いしたいです。

夢見酒のエロさ!
席が遠くてあまり細かいところまで見えませんでしたので
次回、オペラグラスでガン見したいと思います(笑)。


ともあれ「髑髏城の七人」 確かに血が滾りますよね~。
Posted by スキップ at 2017年04月18日 00:14
スキップさんこんばんは。
何か、自分の感想とスキップさんの感想に被っているところがあってちょっと嬉しいです。
観劇玄人のスキップさんだからこその視点にはいつも感服です。
次はちょっと後ろ目の席なので、初回よりもじっくり観てきたいと思ってます。
それでは。
Posted by ケンボウ at 2017年04月26日 21:46
♪ケンボウさま

こんばんは。
うふふ。そうですね、少し似た感想ありましたね。
でも私はぜーんぜん観劇玄人などではないです。
ミーハーで数たくさん観ているだけです。
ただ「髑髏城」には結構思い入れがあって、語り始めると
つい長くなってしまいます(笑)。

私も次回は、ケンボウさんほど良席ではないですが
今回より少し前なのでもっといろいろしっかり観たいと思います。
Posted by スキップ at 2017年04月26日 23:57
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