2017年04月06日

春爛漫 茂山狂言会 「千作 千五郎 襲名披露記念公演」


shigeyama2.jpg一旦劇場を出て、阪急西宮ガーデンズで買物したりお茶を飲んだりした後、再び兵芸へ。
こうしてすぐそばで時間つぶせるあたりも私が兵芸を気に入っているところのひとつ。


古典と遊ぶ 
春爛漫 茂山狂言会
「千作 千五郎 襲名披露記念公演」
2017年4月1日(土) 3:30pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階C列下手
(上演時間 2時間30分)


「みんなで楽しく狂言会」の感想はこちら


昨年9月に茂山千五郎さんが五世 千作さんを、正邦さんが十四世 千五郎さんを襲名された披露の記念公演。
まずは千五郎さんの気合の入った「三番三」から。

 
三番三
  三番三 茂山千五郎 (正邦改メ)  
  千歳  茂山童司
  笛 杉信太朗  小鼓 大倉源次郎  大鼓 山本哲也 ほか


五穀豊穣を祈り感謝を捧げる舞。
通常「三番叟」と表記するところ、大蔵流では「三番三」と表すそうです。
新 千五郎さんの三番三を拝見するのは初めてでした。

兵芸で「三番叟」といえば2015年に拝見した野村萬斎さんの舞台が忘れられません(こちら)。
流派の違いかご本人の持ち味が、かなり印象の違う「三番三」でした。
全くの素人目線ではありますが、神聖で格調高いところは共通していて、躍動感と緊張感、洗練の極みといった趣の萬斎さんに対し、力量感たっぷりに包み込むような豊かさの千五郎さんといった感じでしょうか。

「あんな真面目な顔してる正邦さん観たの初めてかも~」と思いながら観ていたのですが、後の解説で宗彦くんが「千五郎が新調の衣装を来て、童司くんがメガネもはずしてあんな真面目な顔で・・・」とおっしゃっていて、「三番三」が狂言にとってやはり特別な舞であることがとても伝わってきました。


解説  茂山宗彦

今回の解説は宗彦くん。
逸平くんの「宗彦がそこにはもう柿はないでと客席の子どもにツッコまれた」という話を受けて、「僕は何でかお客さんからよく話しかけられるんです」と。
姫路の屋外でやった時には自転車に乗った酔っぱらい?のおじさんが舞台の前までやって来て「さっきから何言うとるんじゃ」と言われて絶句してしまったそう。その後、気を取り直して台詞をもう一度言いなおしたら客席から「ようがんばった!」と拍手もらったとか、酒飲みの話をしていた時には「わかるっ!」と言われたり。
逸平くんではなく、宗彦くんが絡まれやすいというの、何となくわかります(笑)。

この後の二曲についてもおもしろおかしく解説してくれました。
ストーリーばかりでなく見どころも教えてくれますので、どちらも初見でしたがよい予習になりました。


縄綯 (なわない)
   出演: 茂山千作 (千五郎改メ)  茂山あきら  茂山七五三


博奕に負けた主人(あきら)の借金のかたに何某(七五三)のものとなった太郎冠者(千作)。
知らずに出向いて真相を知ってつむじを曲げ、命じられた仕事を全くしないため、何某に文句を言われた主人が太郎冠者を一旦帰宅させ、働きぶりを見せることにします。喜んだ太郎冠者は縄を綯いながら、何某家の悪口や子どもを泣かせた話などを嬉々として話しますが、その間に縄の端を持っていた主人と何某が入れ替わり・・・。

千作さんの茶目っ気炸裂。
拗ねたりふてくされている表情、仕草、主人のもとへ帰って嬉々として悪口を言う様子、後ろにいるのが何某と気づいた時のリアクション・・・とても表情豊か。
使用人としてはどうしようもないヤツで、主の子どもを隠れて殴って泣かせるなんて、人間としてもどーよ?と思いますが、何ともユーモラスで憎めないキャラクター。
表情豊かで話し方、間のとり方も絶妙。
客席には笑いが絶えませんでした。


nobutai2.jpg


髭櫓 (ひげやぐら)
  出演: 茂山茂  茂山逸平  茂山千三郎  茂山宗彦  茂山童司  
      島田洋海  井口竜也  茂山千五郎(正邦改メ)


 自慢の大髭のおかげで宮中で犀の鉾を持つ大役を仰せつかった男(茂)。名誉を喜び、女房(逸平)に衣装を仕立てるよう頼みますが、「日々の生活さえ苦しいのに新調するお金などない。そんな役を仰せつかるのもその髭があるからだ。そんな髭は剃ってしまえ」と言い大喧嘩になります。男に打ち据えられ家を出た女房は近所の女房たちを引き連れて戻って来ます・・・。

逸平くん女房がそれぞれ武器を手にしたご近所さんを引き連れて戻ってくるところで客席爆笑。
その女房たち・・・宗彦くん、童司くん、洋海さん、竜也さんと続いて最後に千五郎さんですよ。
応戦する男が長い髭に櫓をつけて、その櫓の扉がパカッと開くとまた爆笑。

女房たちが一人ずつ男に戦いを挑むところはお囃子や地謡が入ってにぎやか。
能の「烏帽子折」や「正尊」をパロディにした演出ということですが、元の能を知らないのでわからず。

宗彦くんが解説で、「有り得ないくらい大きな髭そりが出てきます。屋外で上演することが多いので遠くからでもはっきりわかるようにこうなったんです」とおっしゃっていましたが、出てきたのは歌舞伎の「毛抜」にも出てくるもので、「あー、あれね」と思いました。

「縄綯」が千作さんの個人戦とすれば、この「髭櫓」は団体戦の勝利、という感じでした。
どちらもほんとによく笑いました。



逸平くんも宗彦くんも宣伝していたグッズの手ぬぐい(おごうの台富貴 というらしい)。
「空いているスペースは役者がサインするためです」とおっしゃっていた言葉通り、おしゃれなジャケットに赤いネクタイの千作さん自ら長い列に並ぶ人たち一人ずつに丁寧にサインしていらっしゃいました。
「みんなで楽しく・・」の開演前には同じ場所で千五郎さんがクラブSOJAの会員や書籍などを買った人にサインしていらっしゃっいましたし、茂山家の方たちはファンサービスも抜かりなく。



7月の「HANAGATA狂言 忠臣蔵外伝」も絶対観に行く! のごくらく度 (total 1191 vs 1190 )

posted by スキップ at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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