2017年03月30日

ありがたき幸せ 「俳優祭」 -演目編-


haiyusai9.jpg続いて演目編です。
(模擬店編はこちら


日本俳優教会再建設立60周年記念
「第38回 俳優祭」 夜の部
017年3月28日(火) 5:00pm 歌舞伎座 
1階10列センター
(上演時間 3時間40分)



一、坂東亀三郎 監修
  藤間勘十郎 振付
  舞踊二題 (上) 「二つ巴」 (下) 「石橋」


「二つ巴」
出演: 中村芝翫  中村扇雀  中村錦之助  中村鷹之資  尾上松緑  坂東亀寿  
     市川男女蔵  中村歌昇  中村種之助  中村萬太郎  坂東新悟 ほか 


元々踊りには疎い上に全く予習もしていませんでしたのでどういう演目かわからずに観ていたのですが、手ぬぐいで目隠しされた芝翫さんが手をひかれながらヨタヨタ出てきてやがてその目隠しをはずし・・・というあたりで「『仮名手本忠臣蔵』の一力茶屋の場面みたいだな」と思っていたらそうだった(笑)。
「仮名手本忠臣蔵」の七段目と十一段目を長唄舞踊にした演目ということを後で筋書き読んで知ったのですが、さすがに十一段目すぐにわかりました。

素踊りなので役者さんは拵えもされていないのですが、ちゃんと立役は男らしく、女形は女性に見えてすごい。
並んで出てきた門之助さん・笑也さん・笑三郎さん一力の仲居さんかな。
芝翫さんの由良之助に扇雀さんのおかる、というにはいずれも歌舞伎ではまだ拝見したことがないのですが、いずれ持ち役にされるのかしら。
鷹之資くんが力弥で扇を手に一人舞う場面があって、さすがにしっかりした踊りで、振付のご宗家の信頼も期待も大きいのだろうなと思いました。


十一段目は幕が開くと舞台一杯に塩冶浪士と師直方が対峙していて迫力満点。
花道から登場した歌昇くんはじめ、種之助くん・萬太郎くん・新悟くん・梅丸くんあたりの凛々しい若者が塩冶浪士の中に散在(笑)していて目が忙しい。

師直方にシブい男前がいるじゃん!と思ったら猿四郎さんだったり功一さんだったり。
歌・種・萬で松緑さん小林平八郎を取り囲んでの殺陣に思わずテンション上がっていたら、その後出てきた亀寿さん竹森喜多八と松緑さんの泉水の立廻りがとても舞踊とは思えないほどガチで、スピード感にあふれてキレッキレ。「ターッ!」とか「とーっ!」とかいうかけ声も、ほんと、この人たち本気だ、と思う迫力でした。


「石橋」
出演: 中村又五郎  尾上松也  坂東巳之助  中村隼人  中村橋之助  
    中村壱太郎  中村児太郎  尾上右近  中村米吉 ほか


まずは鳶頭の又五郎さん登場。
名題下さんたちを従えて、イナセにカッコよく。
又五郎さんのこんな踊り観たの初めてかも。

そして白毛の獅子 が大セリからセリ上がり。
松也・巳之助・隼人・橋之助という4人で、この時までは「親獅子」だと思って観ていました。
白獅子たちが勇壮にひと踊りしたところで揚幕から赤毛の獅子が登場・・・仔獅子か、と思って目をやると、仔というより娘獅子。
壱太郎・児太郎・尾上右近・米吉の4人は着物も娘さんっぽく華やか。
どうやら牡獅子、牝獅子というスタンスのようでした。
みんな若いのでちょっと獅子の合コンっぽい(笑)。

8人が舞台狭しと一斉に毛振りするなんて、めったに観られるものではありません。
若者らしくブンブン毛を振り回す獅子たちにテンションあがりつつ、ここでもまた目が忙しかったのですが、踊りや個性の違いが見えて興味深かったです。
中ではやはり、右近くんが頭抜けている感。
花道の毛洗いから、指先の形、足踏みの力強さ、ラスト決めポーズ・・・二月松竹座の「連獅子」の迫力思い出しました。

米吉くん獅子は可愛らしいものの、「がんばれ~」とも思ったのですが、後でブログ読むと生涯初めての毛振りだったとか。
よくがんばりました


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「月光姫恋暫」 (かぐやひめ こいのしばらく)
監修: 尾上菊之助  市川海老蔵
作: 中村京蔵 山崎咲十郎
振付: 尾上菊之丞 
出演: 市川猿之助  尾上菊之助  市川海老蔵  中村勘九郎  市川染五郎  
    坂東彌十郎  中村七之助  市川左團次  片岡市蔵  市川中車  
    片岡亀蔵  市川猿弥  市川弘太郎  中村獅童  尾上松也  
    中村魁春  中村雀右衛門  片岡孝太郎  中村梅枝  中村梅玉  
    片岡仁左衛門  坂東玉三郎  中村吉右衛門  尾上菊五郎 ほか


いかにも俳優祭らしい笑いやおふざけもありつつ、歌舞伎らしい見どころもたくさんあって、とても楽しく見応えありました。
前回より断然クオリティ高くて、これもう少し余計なお笑い省いてブラッシュアップしたら納涼あたりかけられるのではないかしらと思ったり。
ストーリーとしては、「かぐや姫」のフレームに中身は「トゥーランドット」、そこに「暫」と時事ネタエッセンスふりかけ、という感じかな。
とてもよくできた脚本だと思います。

最初に登場したかぐや姫の父母 月宮殿の王と妃が仁左衛門さん、玉三郎さんで、「わぁ♥ 仁左玉カップル久しぶりぃ~」といきなりテンションあがりました。

ヨボヨボの竹取の翁&わりとシャキシャキした媼が最初誰かわからなかったのですが、菊之助さんと海老蔵さんで、特に菊之助さんのおじいさんぶりが絶品で爆笑。
「めい~」という声がしてリアルめい(松也)とがぶ(獅童)出てくるし、登場人物紹介にあたるプロローグは誰か登場するたびに声出して笑っている状態でした。

キャスティングされた時、「僕より七之助くんの方が似合うよ」と言ったら、京蔵さんに「気の強い姫が欲しいから」と言われたという猿之助さんのかぐや姫。
まさしくその言葉通り、気が強くてタカピ~で自信満々のかぐや姫。
かぐや姫というより滝夜叉姫ふう。派手な登場もよくハマっていました。
ご本人もとても気持ちよさそうで、途中、扇に書いたカンペを読むような部分がありましたが、後で猿之助さんご贔屓さんが「あれはウケ狙いのわざとじゃないかな」とおっしゃっていて、さもありなん、と。
姫が勘九郎さん山男に「あなたの名前は・・・愛」と言い放つところ、「トゥーランドット」通りなのにあの猿之助さんの言い方のお陰で爆笑したよね。

もう一人の主役とも言えるのが山男 実は大友常陸之助頼国の勘九郎さん。
ある国の跡継ぎ若殿ながらかぐや姫に一目惚れしてかぐや姫を得るため、解けなければ斬首という姫の出す三つの謎に挑む役。
キビキビした動きに声もよく出て、隈取のお顔も凛々しく綺麗。

何と言っても「恋六方」の引っ込み!
下座音楽の「恋」に合わせて、あの「恋ダンス」をうまく採り入れた振りで、なのにちゃんと歌舞伎で。
これ、振り付けた菊之丞さんもすごいし、それを完璧にやりこなした勘九郎さんもすばらしい。
花道で「みぞみぞする」も言ってましたね。思わず「すずめちゃんかよ」とツッコミそうになりました。

「暫」の花道でのツラネも圧巻でした。
この時、海老蔵さんが自分の位置からまっすぐじっと勘九郎さんを観ていらしたので、もしかしたら「暫」は海老蔵さんに教わったのかも、と思いました。終わると誰よりも先に拍手していた海老蔵さん、なかなかいいヤツ(姿はツケマしたおばあさんだったけれども)。

七之助さんは主である勘九郎さん頼国をひそかに慕い続けている腰元で、「命を助ける代わりに山男の名前を言え」と言われて「誰が恋しい男の名前を言うものか」と自害して果てる役。
笑いもおふざけも一切なしで悲劇の歌舞伎み。
今月歌舞伎に出ていなくて、台詞覚えが良いであろう勘七にこういう役を振るセンスの良さにも感心。


染五郎さんは藪島入道 実は吉田宿位之助松若。
入道の時は、四人の求婚者たちのあれこれにこらえきれず笑ったり、ステンと滑るドリフコントなど小ネタ炸裂。   
身バレしてからは舞台上でナマ隈ひき+ぶっ返り。仁木弾正チックの大きさのある悪役を見せてくれました。
花道の引っ込みでは、猿之助さんかぐや姫に何度も連理引きで呼び戻され(2人でやった「かさね」思い出しました)、「がんばれ!」という大向うもかかっていました。
最後は壁(木々の背景)に飛び込んではけるところ、一旦バンと木にぶつかっておいて(これもドリフ風)、背景画に穴が切ってあるところをチラリとネタバレしておいて、再度サッと飛び込んで鮮やかに消えてみせて拍手喝采。持って行くよね~。やっぱり華のあるスターだなと思いました。

やたら高い声の鴈治郎さん、誰かわからなかった凝ったメイクの市蔵さん、中車さん、「NHKさんごめんなさい」と言いながら赤いパンツ頭からかぶって下ネタ炸裂の左團次さんという豪華な四人の求婚者。
月からかぐや姫を迎えに来た天女が魁春・雀右衛門・孝太郎・梅枝とこれまた贅沢な配役。

そこにラスボスのように登場する菊五郎さんの帝。
冠につけた紫の羽根飾りもお似合い(笑うけど)。
朗々とよいお声で場をまとめていたのに最後の台詞忘れちゃってしばし沈黙の後、「え?」とマジ声出して全部持って行っちゃうところもさすがです。
ニガ笑いしながら「かぐや姫・・」と小声で台詞を教える梅玉さん右大臣。
陰陽師の吉右衛門さんは顔隠して笑っていました。


その他 個人的ツボ(後で思い出したら書き加えるかも)
・「子を授かる夢をみた」という菊之助さん翁に、「えっ!今から?」胸を抑えながら言う海老蔵さん媼 (ビミョーに下ネタだよね)
・菊・海老・染・勘が縦一列に並んでのチューチュートレイン。勘九郎さんの手の回しっぷりハンパない
・だんまりで獅童がぶのお尻にケリ入れる勘九郎さん
・かぐや姫付きの三人のお局がピンの局・ポンの局・パンの局(亀蔵・猿弥・弘太郎)だった。まんま「トゥーランドット」の三大臣じゃん
・愛之助さんが立札抜くだけの役で「コメディ・トゥナイト」の扮装で登場。ちょっと場違い感あってご本人も照れくさそうでした。この役、昼の部は幸四郎さん。どんなだったのでしょう。


締めは舞台一面出演者が並ぶ中、坂田藤十郎さんがご挨拶。
最後の場面に出ていた役者さん以外は皆さん化粧も落として俳優祭のTシャツ姿。
仁左衛門さん、玉三郎さんはお着物でお二人並んで。
そして菊五郎さんの音頭で客席も一緒に手締めで幕となりました。


そうそう、私たちはずっと「はいゆうさい」と言っているのですが、藤十郎さんも菊五郎さんも「はいゆうまつり」とおっしゃっていました。
染五郎さんも劇中の台詞でそうおっしゃってて「あれ?」と思ったのですが。
5回目にして初めて気づくという・・・(笑)。


会社午後から休んでこのためだけに新幹線で往復したけど全く悔いなし。
やっぱり俳優祭はとても楽しい。
いろいろな事情がうまく行って、今回も「俳優祭」に参加できたこと、ありがたき幸せ。



次回もぜひ参加できますように のごくらく度 (total 1187 vs 1187 9
posted by スキップ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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