2017年03月19日

ストリンドベリ交互上演 Ⅱ 「死の舞踏」


shinobuto.jpgストリンドベリ交互上演の2作目は「死の舞踏」。
「令嬢ジュリー」は演出の小川絵梨子さんが上演台本も担当されていましたが、こちらの台本はコナー・マクファーソン。
どこかで聞いた名前だけど・・・と思ったら、「海をゆく者」(2009年)の作家でした。

会場に入ると舞台の形状も客席も「令嬢ジュリー」とは全く違っていて、「そりゃこれ変えるの大変だからマチソワの間長いはずだわ」と一瞬思ったのですが、そうだ、最初からコクーンを割って「2つの劇場」が存在するというのがこの交互上演のコンセプトのひとつだったことを思い出しました。この劇場の隣には、あの劇場があるのね。


シス・カンパニー公演 「死の舞踏」
作: アウグスト・ストリンドベリ 
翻案: コナー・マクファーソン
翻訳・演出: 小川絵梨子
美術: 松井るみ  照明: 原田保
出演: 池田成志  神野三鈴  音尾琢真

2017年3月11日(土) 6:30pm シアターコクーン 左側2列 センター
(上演時間 1時間50分)



スウェーデンの孤島に住む退役間近の砲兵隊大尉エドガー(池田成志)と11歳下の妻で元女優のアリス(神野三鈴)は間もなく銀婚式を迎えようとしていますが、心底憎み合い、罵り合う毎日を過ごしています。そんな2人の家へ、アメリカ帰りのアリスの従弟クルト(音尾琢真)が15年ぶりに訪れます・・・。


細長い舞台を両側から客席がはさむ対面客席。
私の座った左側席から見ると上手側に外にも出られる大きな窓。
エドガーとアリスが暮らす家の居間といった設定で、舞台中央にソファ、窓の手前にマホガニー調の大きな机と椅子、机の上には電信機。向う側にはピアノ。

この家は元牢獄で処刑も行われていた建物という会話がありましたが、ただ一つの窓を除いてはまるで地下室のように閉塞感が漂います。このあたり、全く別の場所の設定ながら「令嬢ジュリー」のセットと共通しているなと思いました。
共通といえば、両作とも女(ジュリー/アリス)が男(ジャン/クルト)に「靴をなめて」と強要する場面がありましたが、ストリンドベリの趣味ですかね?(笑)


エドガーは気難しく、傲慢不遜を絵に描いたような暴君で軍の上官や島の要人、医者ともうまくやれず、人づき合いはなく孤立しています。
そんな夫に電話機を捨てられ、世間との交流を絶たれたアリスも、この要塞のような家の中で社会から疎外された日々を過ごしています。
そんな2人の前に現れた唯一の常識人のように見えるクルトもまた離婚した妻にわが子を会うことを禁じられ、孤独な心を抱えています。
それぞれが孤独でありながら、別の方向を向いている3つの心。

エドガーはそれほどアリスを憎んでいるようには見えなかったのですが、神野三鈴さんの熱演もあって、アリスのエドガーへの憎しみは激しかったです。
そんなアリスでも、エドガーが発作で倒れた時は心から心配するし、彼を告発した後、その罪が誤解だったと知った時には必死にそれを食い止めようとする姿に、2人が過ごしてきた25年の歳月を思いました。

エドガー役には当初 平幹二朗さんがキャスティングされていました。
なるほどこの役は平さんにぴったりだと観ていて思いました。神野さんとの年齢バランス的にも。
池田成志さんのエドガーには時折笑いの要素が混じって、それはそれでこの白熱したバトルの中で少しほっとする部分でもあるのですが、平さんだったらどう演じたかしら、と思ってしまったのもまた事実で、成志さんには本当に失礼なことで申し訳ない。



■ 2つの劇場 2つの舞台


cocoon.jpg

これが今回の客席配置図。
「令嬢ジュリー」いつもの客席前方が舞台になっていて、舞台奥に天窓つきの高い壁
「死の舞踏」ではその壁の部分が大きな窓になって、その向うに部屋が広がるという配置
・・・ということが終演後、この図を見てわかりました。
これを毎日マチソワやるって、考えた人(小川さん?)ほんとすごい。

時代的には隔たりのある2作品で、登場人物の設定も全く異なりますが、どちらも「今の状況から脱出したい」と必死にもがく話でしょうか。
「靴をなめて」については先述しましたが、「令嬢ジュリー」で伊勢佳世さんが演じた役と「死の舞踏」で舞台には登場しない使用人が同じクリスティンという名前だったり(その名前を聞いた時、伊勢さんクリスティんの表情が頭に浮かびました)、そのクリスティンとエドガーやアリスが話す手段が地下の部屋へ繋がるパイプで、それは「令嬢ジュリー」でジャンが伯爵の命令を聞くパイプを思い起こさせたり。
これらは意図してシンクロさせているのかなぁ、と。
このあたりは交互上演を一気に観る醍醐味でもありました。



こんな試み、今 大阪でできる劇場ないよね の地獄度 (total 1180 vs 1184 )


posted by スキップ at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック