2017年03月02日

猿若祭二月大歌舞伎 夜の部 


saruwaka12.jpg桃太郎くんたちのあっぱれ鬼退治で歌舞伎座全体が明るく温まったところで夜の部 残りのニ演目。


江戸歌舞伎三百九十年
猿若祭二月大歌舞伎 夜の部
2017年2月25日(土) 4:30pm 歌舞伎座 1階1列センター


「門出二人桃太郎」の感想はこちら


二、絵本太功記
   尼ヶ崎閑居の場
   出演: 中村芝翫  中村魁春  中村錦之助  中村橋之助  
       片岡孝太郎  中村鴈治郎  片岡秀太郎 ほか


これはいささか苦手な演目ではありますが、2012年の俳優祭で市川染五郎さん主演で「研修発表演目」として上演されたことはよく覚えています。
染五郎さん光秀、七之助さん十次郎、梅枝さん初菊って初々しく華やかな配役だったなぁ・・・と自分の感想(こちら)検索していて、模擬店の方の感想(こちら)に「勘三郎さんから焼きそば買って握手してもらった」とか「團十郎さんの金時が・・」とか書いているのを読んでまた泣くという


例によって配役をほとんど把握していませんでしたので、鴈治郎さん十次郎が出てきた時、ピクンとなるくらい驚いて、「鴈治郎さんが十次郎なの?じゃあお父さんの光秀は誰?誰がやるの?」と頭の中でグルグル。
芝翫さん登場したところで、「そうだった。芝翫さん主演だった」と思い出しました。

そんな驚きも奏功してか、「太十といえば睡魔とお友だち」の私にしては珍しく寝なかった(←そこ?)。
最前列かぶりつきの威力おそるべし。

東西の役者さん混合で顔見世のような座組でしたが、秀太郎さん皐月の矍鑠とした佇まいと魁春さん操の静かな悲嘆がとりわけ印象的。
錦之助さん真柴久吉の声が力強くて、「錦之助さんってこんなに声出る人だったっけ?」と驚いたりも。


三、梅ごよみ
  向島三囲堤上の場より深川仲町裏河岸の場まで  原
  作: 為永春水
  脚色: 木村錦花
  出演: 市川染五郎  尾上菊之助  中村勘九郎  中村萬太郎  
       中村児太郎  中村亀鶴  中村歌六 ほか


物語:唐琴屋の養子丹次郎(染五郎)はお蝶(児太郎)という許婚がいながら、深川芸者の米八(勘九郎)と暮らしています。同じ深川芸者の仇吉(菊之助)は、隅田川ですれ違った丹次郎にひと目惚れし、米八と張り合って、丹次郎が恩ある人のために探しているという茶入を手に入れようと策を巡らします。ある日、丹次郎のもとで鉢合わせた仇吉と米八の二人は大喧嘩となり、通りかかった千葉藤兵衛(歌六)がやっとのことでその場を収めます・・・。


初見でした。
いや~、楽しかったです。
配役の妙というか、それぞれが役どころにぴったり。

二枚目だけどだめんずでハタから見るとどうしようもない男だけどなぜかモテるのもわかる色気と愛嬌の丹次郎・染五郎さん
気っぷがよく負けん気が強くてやきもち焼き。いつもプンプン怒っているけど丹次郎に惚れ抜いている可愛い米八・勘九郎さん
「あたしがいいのは顔だけじゃない」でも欲しい男は人のモノでもいただくわ クールビューティ仇吉・菊之助さん

ここに、
一途に丹次郎を慕って娘らしくいじらしいけど案外したたかなのかも、な お蝶・児太郎さん
お行儀よく端正、力はないけど頭はよさそうな半次郎・萬太郎さん
悪のにおいプンプン 古鳥左文太の亀鶴さん
登場人物中 ただ一人の大人(笑)といった風情でさすがの貫禄 藤兵衛の歌六さん

などが加わり、
丹次郎が恩義ある人の息子 半次郎のために紛失した茶入れを探している→茶入れを盗んだのは左文太→その左文太は仇吉に惚れている・・・というサイドストーリーもからんでおもしろく物語が展開。

とはいうものの、見どころは何と言っても米八 vs 仇吉 気の強い深川芸者2人のキャットファイト。
ぶつかり合う互いの意気地。胸のすくようなタンカの応酬あり、丁々発止の”口撃”あり、仇吉が丹次郎のためにあつらえた羽織を米八が下駄で踏みにじり、その米八を自分のお座敷に踏み込むよう仕向けた仇吉が土下座する米八を下駄で打ちすえたり・・・。

勘九郎さんと菊之助さんの、ともに気が強いけれどもタイプの違う2人が好対照で絶妙。
丹次郎とお蝶が乗った船が花道を行くのを振り向いて目で追っていたら、客席からざわめきともため息ともつかない声が漏れて、何事ぞと舞台に向き直ると、黒紋付をキリリと着こなした仇吉姐さんが屋形船から出て来ていて、そのあまりの美しさに目が吸い寄せられました。

なかなか姿を現さない丹次郎を待ちわびて、手ぬぐいをくわえて手水で手を洗ったり、髪を整えたり、ため息まじりに柱に身を預けたり、という仕草、振る舞いが一つずつ絵のように美しくて色っぽい。

米八さんはそりゃお顔の美しさは仇吉さんに一歩譲るかもしれないし、性格的にもちょっと面倒くさいのだけど(笑)、いかにも気っぷのよい姐御で、キレのある所作と佇まい、そして丹次郎に惚れた弱み・・・ほんと可愛いかったです。

そんな2人を向こうにまわして、「モテるのは俺のせいじゃないよ」とばかりにどこ吹く風の丹次郎。
しかもですね、「ほつれた着物を直すのは女房の仕事だ」なんてお蝶ちゃんにも軽く言っちゃったりする罪なオトコです。

それまでちょっとシュンとしていたお蝶ちゃんが、「あいあーい」と嬉々として繕い物をしに行ったり、仇吉の座敷に米八と2人で踏み込んだ時の分別ある謝り方を見ていて、「あー、男ってヤツはいざ結婚となるとこんな子選ぶよね」と思っていたら、案の定その通り。
仇吉さん・米八さんではないけれど「何じゃい!」ですわね。


筋書の上演記録によると、かつては仁左衛門(当時孝夫)さん・玉三郎さん・勘三郎(当時 勘九郎)さんのゴールデントライアングルで上演されたのだとか。
(丹次郎が團十郎さんでお蝶ちゃんに亀治郎さん、という年もありました。)
染・菊・勘がそれに負けない黄金トリオとなりますよう、またぜひこの3人で観せていただきたいです。



丹次郎さんの腕の「米八命」の刺青、よの字さんが書いてるとわかった時、TL沸いたよね のごくらく度 (total 1174 vs 1174 )



posted by スキップ at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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