2017年01月16日

壽新春大歌舞伎 夜の部


enbujo201701.jpg今年の初観劇が紅ゆずるさんのトッププレお披露目なら、
初歌舞伎は市川右團次さん襲名披露&右近ちゃん初舞台。
夜の部は口上もあって華やか。
お祝いづくしで、今年の初観劇は本当に験の良いよいスタートとなりました。


壽新春大歌舞伎 夜の部
市川右近改め
三代目 市川右團次 襲名披露
二代目 市川右近 初舞台

2017年1月7日(土) 4:30pm 新橋演舞場 2階5列上手



一、源平布引滝 義賢最期
出演: 市川海老蔵  市川猿弥  市川笑三郎  中村米吉  
片岡市蔵  市川右之助  市川中車 ほか


「源平布引滝」で「実盛物語」とともによく上演される「義賢最期」。
主人公は、源義朝の弟でありながら心ならずも平家に味方した木曽義賢。
源氏再興の志を抱きつつ、源氏の御旗である白旗の詮議にあらわれた平清盛の使者たちと壮絶な立廻りとなります。
「戸板倒し」「仏倒れ」といった大ワザが組み込まれた後半の立廻りが見どころで、初めて観た時、本当に驚いたものです。

これまで何人かの役者さんで拝見しましたが、海老蔵さんで観るのは初めて。
近くの席に座っていた初めて歌舞伎を観るとおぼしき若いカップルの男性が、この演目を観終わった後、「海老蔵見直した、海老蔵見直した」としきりにおっしゃっていたことがすべてだと思います。
海老蔵さん、気迫の義賢でした。

似合いそうだと思っていましたが、少し痩せたシャープで精悍な面差しに悲劇の武将が実によくハマっていました。
荒事で大きな見せ方も心得ていらっしゃるので、立廻りも迫力満点。「戸板倒し」では客席からはどよめきもあがっていました。
いつも言われる台詞のクセも、それほどに気にならなかったな。

米吉くん演じる義賢の娘・待宵姫が可憐で、敵が迫る中、折平実は多田蔵人(中車)に連れられて花道を去っていく時、義賢の方にずっと体を向け目線を送り続けているのがとても健気で印象的でした。



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二、三代目市川右團次襲名披露 口上

口上は梅玉さんの仕切りで、下手から、門之助さん・中車さん・右近ちゃん・右團次さん・梅玉さん・猿之助さん・男女蔵さん・右之助さん・海老蔵さんの並び。
人数は多くありませんが、近しい人たちばかりで温かい口上でした。
梅玉さん以外全員 三升の紋が入った柿色の裃で、髷もまさかり髷だったのが印象的。右近ちゃんもちゃんと前髪にまさかり髷。

猿之助さんが「右近ちゃんは昼の部『雙生隅田川』で最年少の早替り、宙乗りと大活躍ですので、皆様昼の部もぜひご覧ください」と声を大にしておっしゃって客席からも笑いと拍手が。

その右近ちゃんは、お父さまの右團次さんに、「新右近さん、ご挨拶を」と言われて、「このたび、父の名跡市川右近を二代目として襲名いたす運びと相成りましてござりまする」ととても立派な口上。
しかも最後は「どうぞよろしくお願い申し上げた~てまつりまするぅ~」とちゃんと歌舞伎調の口上になっていて感心しました。



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三、錣引 (しころびき) 摂州摩耶山の場
作: 河竹黙阿弥  補綴:松岡亮
出演: 市川右團次  大谷友右衛門  中村米吉  市川九團次  
市川寿猿  市村家橘  中村梅玉 ほか
   

夜の部の襲名披露狂言。

源平合戦の時代。
屋島の戦いで、平景清と源氏方の美尾谷十郎国俊が格闘して、景清がつかんだ国俊の兜の錏が切れたという伝説がもとになっています。

摂州摩耶山へ平家の人々が一門の重宝を持参して祈念に来たところ、源氏の侍がこれを盗み取ろうとして、宝は谷底へ落ちてしまいます。その谷底では、順礼の七兵衛と虚無僧の次郎蔵が身の上話を語りあっていますが、実はこの七兵衛こそ平家の勇将悪七兵衛景清(右團次)で、次郎蔵は源氏のなかでもそれと知られた武将三保谷四郎国俊(梅玉)でした。そして正体を明かした二人は、一騎打ちを始め・・・。

201701sikorobiki.jpg様式美にあふれた歌舞伎らしいおおらかな一幕ですが、特にドラマチックな展開がある訳ではありません。
七兵衛実は悪七兵衛景清と次郎蔵実は三保谷四郎の互いに身分を隠した問答と、その後の立廻りも何となくユルい(笑)。
絵面的には観ていて楽しいですが、右團次さんの襲名披露ならもっと他に演目があったのではないかしらと感じました。
この演目の特別ポスターはこんなふうに迫力満点ですが、舞台からはそれほどの圧は伝わって来なかったかなぁ。

九團次さん、何だか久しぶりに拝見したわぁ~と思ったのですが、十二月 京都の顔見世にもご出演でしたワ^^;



四、猿翁十種の内 黒塚
作: 木村富子
出演: 市川猿之助  市川門之助  市川猿弥  市川中車  市川右團次


2年前の初春大歌舞伎で、猿之助さんが新しい歌舞伎座初登場で演じられた「黒塚」。
拝見するのは二度目です。

前回観た時の感想(こちら)に感じたことはほぼ書いていますので、重複は避けるとして、
「当代猿之助の『黒塚』を今、必ず観ておけ」的なツイートをたくさん見かけたのが決して大げさではないと思いました。

より深みをし増し、技量が高まった「黒塚」。
以前、在りし日の勘三郎さんが、「歳月を経ると役の掘り下げは深くなってよりその役に近づけるようになるけれど、体力的には下降してくる。その意味でもすべての面において今の自分はピーク」みたいなことをおっしゃっていた頃があって、今の猿之助さんはあの頃の勘三郎さんより年齢的にはお若いですが、体力気力ともに相当消耗しそうにも思える「黒塚」については、かなりピークに近いのではないかと思いました。
いや、前回観た時と比べて進化した部分もありますので、もしかしたら永遠に進化し続けるのかもしれません。
いずれにしても、その折々、「今の猿之助さんの『黒塚』を拝見できるのはとてもありがたいことだと思いました。
終演後お目にかかった猿之助さんご贔屓の方が感動で涙流していらしたのが印象的でした。

また、昨秋「猿翁アーカイブにみる三代目市川猿之助の世界」で、短い時間でしたが、先代猿之助さん38歳の「黒塚」の映像を観たこが私の中では大きくて、うまく言葉に表わせませんが、今回いろいろ感じる要素の一つでした。
あの時は「三代目猿之助さんの声が当代猿之助さんによく似ている」と感じた私ですが、今回改めて「黒塚」を観て、先代と当代の踊りの違いや共通点が少し見えたような気がします。
どちらも天才には違いありませんが、やはりタイプの異なる天才だな、と。

もうひとつ、今回山伏讃岐坊を演じられた中車さんが、決して浮き上がることなく、右團次さんの阿闍梨祐慶、門之助さんの山伏大和坊と三位一体のようにシンクロして動いたり台詞を放ったりしていることにとても感動。
歌舞伎の舞台とは別にひっきりなしに映像でも拝見していて、とてもお忙しいであろうことは想像に難くありませんが、本当に地道にお稽古を積まれているんだなぁと思いました。
中車さん的には将来は猿之助さんの岩手でご自身は強力をやりたいという野望(?)がおありのようですが、いつかそれが実現する日を楽しみに待ちたいと思います。

当初 三階左側席しか取れていなくて、どうしても花道の仏倒れが観たくてチケット取り直した経緯があるのですが、その仏倒れは、起き上がるのが速すぎて「え?今 倒れた?」というレベルでした。
本当に、猿之助さんの身体能力ってば、どうなってるのでしょう。




前回歌舞伎座の三階で観て、今回演舞場二階だったので、次に「黒塚」観る時はぜひ一階で のごくらく地獄度 (total 1693 vs 1695 )


posted by スキップ at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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