2016年11月07日

愛と憎しみの炎 「Vamp Bamboo Burn ~ヴァン!バン!バーン!」


vbb.jpg俺を憎め 決して許すな
愛はいつか醒める だが憎しみは決して消えない

藤志櫻のこの台詞
これを言い放つ時の藤志櫻
その藤志櫻と対峙する京次郎

シビれる。


2016年劇団☆新感線夏秋興行
SHINKANSEN☆RX 「Vamp Bamboo Burn ~ヴァン!バン!バーン!」
作: 宮藤官九郎
演出: いのうえひでのり
美術: 堀尾幸男 
照明: 原田保 
衣裳: 小峰リリー  伊賀大介 
音楽: 岡崎司
出演: 生田斗真  小池栄子  中村倫也  
神山智洋  橋本じゅん  高田聖子  粟根まこと  篠井英介  徳永ゆうき  紘毅  松田翔  右近健一  河野まこと  逆木圭一郞  
村木よし子  インディ高橋  山本カナコ  礒野慎吾  吉田メタル  中谷さとみ  
保坂エマ  村木仁  川原正嗣  冠徹弥  教祖イコマノリユキ ほか

2016年10月19日(水) 6:30pm フェスティバルホール 1階5列下手/
10月31日(月) 1:00pm 1階3列センター


10月19日 大阪初日カーテンコール
10月31日 大千穐楽カーテンコール


物語の始まりはかぐや姫の時代。
藤原藤志櫻(生田斗真)は容姿端麗で文武両道兼ね備えていると自他ともに認める平安貴族の子息。
美しいかぐや姫(小池栄子)に自信満々で求婚しますが、姫が選んだのは「俺が俺がの藤志櫻」ではなく、その家来 蛍太郎(神山智洋)でした。落ち込んだ藤志櫻は、そこに現れた男(篠井英介)に噛まれ、ヴァンパイアになってしまい、永遠の命を持つことになります。
それから1000年。
ビジュアル系バンド BLOOD of BAMBOOのヴォーカリストTOSHIROとなっても、愛するかぐや姫の生まれ変わりをずっと探し続けている藤志櫻の前に・・・。

というメインストーリーに、ヤクザの蛇之目組の内部抗争やある生物を調査する研究所、沖縄の芸能プロダクション・・・と様々なサイドストーリーが絡みあって、藤志櫻のキャラクター同様 too much感ハンパない。
さらに、藤志櫻がヴァンパイアになって1000年も経つのに今だにヴァンパイアはTOSHIROと虫麻呂の2人だけなの?とか、ゆうきくんと京次郎と2人かぐや姫いるの?とか、ナゾの沖縄推しとか、ツッコミどころも多々ありますし、朝の情報番組全部網羅するパロディとか、繰り返される保保肩ハルコさんの「ありま~す」とか、大しておもしろくもないネタたち(・・おもしろくないと言いつつ、ヴァンパイア虫麻呂刑事の「恋人はサンタクロース」パロディや藤志櫻の土井たか子さんネタにはハハハと声出して笑ってしまったことを告白しておきます)を整理すれば2時間くらいにギュッと収まりそうです。
が、そこは新感線 そこはRX そこはクドカンですから。


バンドのヴォーカリストが主人公ということもあり、RXらしく歌はたくさん(「愛した人はヴァンパイア」が特にお気に入り)出てきますが、たとえば同じRXシリーズでいえば「SHIROH」や「メタルマクベス」さらには「五右衛門ロック」のように、バァーンと大人数で合唱したりダンスしたり、大立廻りしたりといったシーンが見当たらず、スケール感は少し物足りなかったかなぁという印象。

物語のテンポ的には一幕はいく分緩めでしょうか。
二幕で現代と平安時代が交錯して描かれるあたりから俄然スピードも密度も増していく感じです。
歌詞の一部を文字で表すとか、個人的にはあまり好みではありませんが、LEDを駆使した映像の多用もRXっぽかったです。
好みでないといえば、劇中に無理やり(笑)立たされて踊らされるのも私は苦手です。
もちろん振り完璧に踊ったけどね~^^;


そんなこんなを含めて、一気にテンションマックスへと昇華させるのが冒頭に書いた台詞のシーン。

「お前たち貴族が遊んでいる時に、蛍太郎は黙々と働いていた。
そんな蛍太郎を見るのが私は好きだった。
その蛍太郎をお前が殺した!」

積年の恨みをぶつける京次郎ことかぐや姫。

「恨めばいい、かぐや姫。
俺を憎め。決して許すな。
愛はいつか冷める。だが憎しみは決して消えない。
お主が俺を恨めば恨むほど俺はお主の中に生き続ける。
生きろ!生きて俺を恨み続けろ!」

ここからの2人の立ち廻りは瞬きする間も惜しいほど。
いや、多分瞬きなんかしていなくて、息することも忘れて見入っていたんじゃないかしら。
ビジュアルも身体能力も、ともにハイクオリティの2人に、とても見栄えのするカッコイイ殺陣がついて、
本気全開、全力でぶつかり合う・・・シビれない訳がありません。
この場面観るためだけに通えるレベル。

「愛の反対は憎しみではなく無関心」という言葉がありますが、そうそう、愛と憎しみって、背中合わせなんだよね、とここで
♪私をゆっるさないで 憎んでも 覚えてて~ (青春のリグレット by ユーミン) が脳内リフレイン。
まぁ、平安時代のtoo much藤志櫻はそこまでかぐや姫に惚れ抜いているようには感じられませんでしたが、1000年もの間で思いもつのったということにしておきましょう。


vbb1 (2).jpgほぼ出ずっぱりで舞台の真ん中に立つ華もオーラも全開の生田斗真くん。
プロローグの平安時代から、烏帽子を脱ぎ、衣装が引き抜かれ、TOSHIROとなって、モノクロのシルエットのような照明の中、膝をつきうつむいた姿勢の長い髪がフワァ~と下からの風に舞い上がる姿。「カッコイイイイ~」と見惚れましたワ。
ビジュアルや身体能力の高さはもちろん、あまり「歌」の印象はなかったのですが、歌も上手いなぁ。
フツーにバンドのヴォーカリストとしてやっていけます。ヘッドバンキングもお見事。
シリアスと笑いの切り替えも鮮やかでした。

大楽のカーテンコールで、「また出たいと思い続けて10年経ちました」とおっしゃっていましたが、その10年に蓄積したものがすべて血となり肉となっている押しも押されもしないスターっぷりでした。


中村倫也くんはヒロインポジション。
大好きな役者さんの一人で、これまで数々の舞台を観てきましたが、中でも印象に残っている役の一つに、2009年3月に観た 真心一座身も心も「流れ姉妹 たつことかつこ」の美浜慎也があります。
「ベイビーフェイスのパシリっぽい子が実は影ボス。人を見下していて、何でもお見通しで、ちょっと心の闇をかかえている」という役でした。
蛇之目組に暴れながら登場した時、「慎也キタ~!」と思っちゃいました。
綺麗な顔によく通る声。歌もダンスもハイレベルにこなして、殺陣でも斗真くんに負けない身体能力の高さを見せつけて。
外見そのままで声の表情のだけでかぐや姫の切なさを描き出す芝居心に震える思いでした。


相変わらずオトコマエの小池栄子さん。
すごい美人でプロポーション抜群ながら変顔とかゴリラ風とか、その思い切りの良さは観ていて清々しいほど。
藤志櫻に首筋を噛まれたかぐや姫が、ヴァンパイアとして生きながらえることを良しとせず、藤志櫻の目の前で断崖から身を投げる場面のヒリヒリするような迫力。
ラストの「藤志櫻!私たちが愛し合ったらどうなっちゃうんだろうねっ!」「やってみるか?かぐや姫っ!」のストップモーションのカッコよさ。

そのかぐや姫の思い人 蛍太郎は神山智洋くん。
存じ上げなくて、「結構いい役だけど、誰っ?」と思って初日一幕観終わった幕間に調べたという・・・。
いやしかし、ジャニーズの人は若い人も皆のびのびしていて芸達者ですね。
保保肩さんはじめお姉さんたち大喜びのサービスショットも披露してくれましたが、あれが円盤化を難しくする一因になるのでは?と心配。

もう一人、「誰?」と思ったのは徳永ゆうきさん。
初日観た時、大阪駅を出発する関空快速のアナウンスを完璧にやって拍手喝采。
あのアナウンス、毎回違うのですってね~・・ということで、大楽は最後にふさわしく、「大阪駅に入ってくる環状線」でした。
歌い出すといい声で、「歌うまっ!」と思ったのですが、演歌歌手なのね。
それにしても、宮藤官九郎さんなのかいのうえさんなのか、こういうキャスティング、どこから思いつくのかしら。

篠井英介さんは出演が発表された時、「篠井さんと倫也くんで”美人”母娘だったりして」と期待したのですが、それは叶わず。
マダム馬場は、「いい人だと思っていたら実は・・」みたいなドンデン返しがあるのでは?と思っていましたが、最後までいい人でした。最初の登場時には宙乗りも披露・・・篠井さんが虫麻呂劣化版って、そりゃ藤志櫻じゃなくてもツッコミたくなります(笑)。

最後にいいトコ持っていったサカエの高田聖子さん(劣化版じゃない方がよかった〜って、ワカル( ´ ▽ ` )、最初誰だかわからなかった白寿の組長 村木よし子さん、藤志櫻劣化版で度々登場のインディ高橋さん、黒霧島の粟根まことさん (&赤霧島の川原正嗣さん)・・・劇団員の方たちのご活躍も楽しかったです。
じゅんさんは、う~ん(笑)。


IMG_1615.jpg


それにつけても、「平安時代から生きているヴァンパイアが、ビジュアル系バンドのヴォーカリストで、運命の人を探しているんだ」といのうえさんから構想を聞いても「さっぱり分かんなくて」と制作発表でおっしゃっていた宮藤官九郎さん。
本当にそのとおりの物語につくり上げて、あちこち広げたエピソードを最後にきっちり回収する力量。

「タイトルも『バーンバーンバーン!』みたいな感じにって言われたんで、そのままタイトルにしました」と笑っていらしゃいましたが、吸血鬼(Vamp)とエイリアン(Bamboo)が愛し合うと、燃えつきる(Burn)・・とわかった時には「ほぇ~」と思いました。
「愛した人はヴァンパイア」の歌詞にあるとおり、「混ぜるな危険!愛し合ったら 燃えちゃった」じゃないの。

やはりクドカン、タダモノではありません。



IMG_2311.jpg  IMG_1517.jpg

公演スペシャルドリンク ヴァージンメアリー&ミントジンジャエール 
ミントの方をいただきました。



斗真くんも倫也くんも、次はぜひいのうえ歌舞伎に出ていただきたいな のごくらく地獄度 (total 1656 vs 1657 )
posted by スキップ at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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