2016年04月29日

彼らに列車は来たのか 「魔術」


majutsu.jpg中山美穂さん デビュー30年目の初舞台と話題の作品ですが、私が興味があったのは作・演出の内藤裕敬さんの方。
南河内万歳一座の舞台にはこのところすっかりご無沙汰してしまっていますが、久しぶりに内藤さんのつくり出す世界を覗いてみたくなりました。
そしてそれは、内藤さんお得意の「日常のすぐそばにある不思議ワールド」そのものでした。

「魔術」
作・演出: 内藤裕敬
出演: 中山美穂  萩原聖人  橋本淳  勝村政信

2016年4月16日(土) 5:00pm 
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階F列センター


舞台は高架下のおでん屋の屋台。
ここに一人、また一人と集まってくる人々-
街から急に人が消えてしまったと戸惑うサラリーマン(萩原聖人)
自転車を探しているオッサン(勝村政信)
乗ってきた電車が人身事故で運転打ち切りとなってタクシーを探す若者(橋本淳)
キャリーケースを引いた訳あり風な女(中山美穂)
おでん屋には店主も客もおらず、消失したと感じられる世界の中でおでんだけがぐつぐつと煮え続け、熱く存在しています・・・。

もしかしたら自分たちだけ別の世界-パラレルワールドに取り残されたのかもしれない
いや、もしかしたら自分たちはもう死んでいるのかもしれない
・・・4人の会話の応酬で様々なことが「発覚」したり「推理」されたり。
それで結局どうなの?という結論は観客に委ねられるという結び。

自分たちが生きていると思っている世界の不確実性とか、他者との距離感の欠如といったところがテーマでしょうか。
いかにも内藤さんらしい脚本で、言葉遊びも散りばめられた会話も楽しかったです。
が、うーん。
熱々のおでんの鍋が、彼らにとってパラレルワールドの出口で、「さ、食べましょ」という女の生命力にあふれた逞しさが、つまり、彼女たちが「生きている」あるいは「生きていた世界へ戻ることができる」証なのではないかな、と私は想像するのですが、どうでしょう?(誰に聞いているのだか)

つぎの~北国行きが~ 来たら~ 乗るの~
スーツケースをひとつ~ 下げて~ 乗るの~
と劇中で歌われる「北国行きで」のメロディがやたら頭に残りました。
果たして、彼らに北国行きの列車は来たのでしょうか。

中山美穂さんは初舞台といっても、結婚して活動休止するまではアイドルというよりTVドラマや映画で数々の名演をみせてくれた“女優”さん。
舞台での発声とか、長台詞を聴かせる時の緩急とか、課題はありそうですが、堂々の初舞台。
「目ヂカラの人」という印象だったのですが、今回は役柄のせいかそれがあまり活かされていないのは残念でしたが、相変わらず綺麗だしミステリアスな雰囲気もステキでした。

硬の萩原聖人、軟の勝村政信 といった趣きの二人がこの舞台を支えます。
特に勝村さんのフリーダムで飄々とした存在感。
何かに吹き出して笑ってたけど、それがマジ笑いなのか芝居なのかわからないところもこの方ならではの持ち味ですね。
VS 萩原、VS 中山 と見せる言葉のキャッチボールのテンポのよさもさすがです。

橋本淳さんは「ヒストリーボーイズ」に出てたイケメン、とぼんやり覚えているくらいだったのですが(ごめんなさい)、他の3人が出ずっぱりの中、たまに出てきて、「紅一点」ならぬ「若者一点」を印象づける好青年ぶりでした。
プロフィール調べたら、舞台たくさん出演されているのですね。


自分たちの置かれた世界のことを「魔術」「魔術」とやたらと連呼するのにちょっぴり違和感 の地獄度 (total 1555 vs 1561 )


posted by スキップ at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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