2016年02月13日

超ハイクオリティ・リアル・2.5次元 雪組 「るろうに剣心」

ruroken.jpg和月伸宏さんの原作はシリーズ売上累計5900万部を超える人気コミック。
アニメ化、実写映画化を経て今回 初のミュージカル化。
脚本演出は宝塚のエース 小池修一郎。
主役の緋村剣心に挑むのは、今の宝塚にこれ以上適役はいないんじゃないかと思える雪組トップスター 早霧せいな。

宝塚大劇場公演のチケットは早々と完売。
期待感たっぷりのアクションロマネスク 開幕です。

宝塚歌劇 雪組公演
浪漫活劇 「るろうに剣心」
原作: 和月伸宏 「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」
脚本・演出: 小池修一郎
出演: 早霧せいな  咲妃みゆ  望海風斗  鳳翔大  
大湖せしる  蓮城まこと  彩凪翔  彩風咲奈  
月城かなと  彩みちる /夏美よう  美城れん ほか

2016年2月6日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階6列センター



楽しかったムード

「るろうに剣心」は原作もアニメも知らず、佐藤健くん主演の映画をざっと見たくらい(どんな見方や)なので、比較対象は映画なのですが、その世界観を損なうことなく、宝塚らしい華やかさも随所に見られて、とても楽しい作品に仕上がっていました。
映画のお陰で大体の登場人物と人間関係は把握していることもあってか、物語はとてもわかりやすく、元より幕末から明治維新というのは好きな時代でもあり。
ストーリー的には東京編(Wikiはこちら)のダイジェスト+オリジナルミックスという感じなのかな。

ちなみに、映画で藤原竜也くん演じる志々雄真実が一番好き!っていうちょっと歪んだ悪役フェチのスキップではありますが、志々雄さんは出て来なくてザンネン・・・というか、宝塚には全然合わないですよね、あのキャラクター。

開演前のロビーには男性ひとりというお客様も目立ちました。
ちょっと「銀河英雄伝説」を思い出しちゃった。


■ 脚本・演出

志々雄が出て来ない代わりに(という訳でもなかろうが)、宝塚版のオリジナルキャラクターとして加納惣三郎という人物を設定していて、これがとても効果的。

当初 小池先生は、男役二番手の役として、原作にあるキャラクターを美形化して膨らませてはどうか?」と和月先生に相談されたところ、「キャラクター変更するのは原作ファンが喜ばないだろうから、新しいキャラクターを創ってほしい」というご意見をいただいたそうです。

そこで文献探したりいろいろ苦心して見つけ出したのが、新選組で伝説の隊士と呼ばれる加納惣三郎。衆道の美剣士とも島原の太夫に入れあげて処刑されたとも言われている人物だとか。
これを、桂小五郎の恋人の花魁に横恋慕して、桂の用心棒のようなことをしていた剣心(当時抜刀斎)を逆恨みするというキャラクターに設定して、剣心との対照を際立たせています。
さらにその人物が、出自を偽ってジェラール山下となって洋館を賑々しくお披露目するということで、宝塚お得意の洋物の世界に物語の舞台を引き寄せることにも成功。初日を観劇された和月先生が惣三郎について、「加納惣三郎は剣心のライバルという立場ですが、剣心は過去と向き合い、前を向いているのに対し、加納惣三郎は過去に引きずられ、コンプレックスを持っているように思われます。その二人がうまく対比され、魅力的なキャラクターとなっていました」と感想を述べられていましたが、まさしくその通り。、本当にこのキャラクター設定が成功しているなぁと思いました。

剣心に新型阿片 蜘蛛の巣入りの酒を飲ませ、昔の人斬りに戻したい惣三郎と自分の心と必死に闘う剣心のシーン、とても迫力ありました。
惣三郎の「お前は人斬り」と薫の「あなたは剣心」という歌が重なるのですが、歌うま望海さんに歌い負けしていない咲妃みゆさんにも拍手を贈りたいです。


■ 殺陣

早霧さん剣心中心に殺陣のシーンがふんだんにあるのですが、まずそのスピード感にオドロキ。
早霧さんの身体能力の高さはこれまでにも実証済みですが、他の雪組メンバーもとてもよくがんばっていると思います。

殺陣もバラエティに富んでいて、取り囲む人たちがバタバタと倒れたり、シャキーンッ、ドスッという劇団☆新感線ばりにサンプラーの効果音が入っていたり。
剣心が左之助と出会う「赤べこ」の場面では2人がそれぞれ見得をしたり、立ち回りも歌舞伎風(殺陣: 市川猿四郎)。
効果音は、弥彦こと彩みちるちゃんが赤べこの背中にツケ板を乗せて打つツケ(・・附け打ちの山崎徹さんが指導されたそうです)。

剣心が惣三郎に蜘蛛の巣入りの酒を飲まされて自分の中の「抜刀斎」と闘うシーンでは、剣心の影(永久輝せあ)と剣心自身の対決。
さらにその後、影に打ち勝った剣心と惣三郎の渾身の殺陣。
階段を使っての殺陣は迫力たっぷりで観ていて心臓バクバク。

客席通路を使った殺陣も。
ほんとに音もなく、という感じでサササッと隠密?たちが低い姿勢で通路に入ってきて、しゃがんでいたかと思えば、いきなり立ち上がって立ち回り始めるから客席テンションあがります。
・・・横の通路ばかり観ていて、銀橋の斎藤 vs 観柳 見逃したけどねあせあせ(飛び散る汗)


IMG_3661.jpg


■ 音楽・舞台装置

楽曲はそれぞれの人の心情を表す曲が多くて、たくさんの人にソロがあります。
斎藤一(彩風咲奈)の「悪・即・斬!」や、ガトガトガト~と武田観柳(彩凪翔)が歌うガトリング砲ソング、赤べこの皆さんの「ヘイヘイヘイ!牛!牛!べこ!べこ!」という赤べこソングなどキャッチーな曲もたくさん。

舞台装置は、これまでの小池先生のイメージからすると普通かなぁ。
それほど盆が廻る訳でも、大セリが上下する訳でもなくて、幕が閉まる場面もあって(小池先生の演出は幕を使わないという先入観)。
「眠らない男 ナポレオン」で、前で華やかな場面が繰り広げられる後ろに大セリが上がってきて、その上ですでにナポレオン軍が踊っている・・・というあのゾクゾク感が忘れなれないのですが。

背景に映像がかなり使われていたのも印象的。
装置に風景がうまく溶け込んでいて、いかにも「映像」という感じはしませんでしたが、咲妃さん薫が剣心への思いを歌いながら銀橋歩く時、舞台の幕に剣心の顔がスライドショーみたいに大きく映し出されるのはいかがなものか(笑)。


■ キャスト

「ルパン三世」の時もそうでしたが、ジェンヌさんの、特に雪組の皆さんの再現力の高さ、役のイメージのつかみ方、そのブレのなさには舌を巻きます。

緋村剣心の早霧せいなさん。
ビジュアル最強。
ビジュアルが発表された時、Twitterのタイムラインがざわついほどでしたが、まさに劇画から抜け出してきたよう。
細身で少し小柄で少年っぽさを残していて、かつ硬質な早霧さんの持ち味と剣心がピタリとハマっています。
身体能力の高さで魅せる殺陣はもちろん、 課題の歌唱も、お芝居の流れの中で聴く分には特に不自然さは感じませんでした。

神谷薫の咲妃みゆさんもキャラクターにぴったり。
ハッキリものを言う薫ですが、ちゃんと可愛いし、「薫さんには剣道着が一番」と剣心が言うように、剣道着もよく似合っていて、神谷活心流の殺陣の動きも悪くなかったです。
台詞も歌も、とても聴き取りやすいのもいいな。

望海風斗さんの加納惣三郎は、キャラクター的にはともに望海さんが演じた「オーシャンズ11」のベネディクトや「ルパン三世」のカリオストロ伯爵とカブるところなきにしもあらずではありますが、「アル・カポネ」を経て、さらに大物感が増したように思います。
ほとんど笑わない惣三郎の陰影ある表情がステキでした。
歌は本当にすばらしいの一言。

ビジュアル面では彩風咲奈さんの斎藤一にもとても驚きました。
私は映画しか知らないのですが、煙草吸う仕草まで、江口洋介さんがそこにいるみたいでした。男っぽくってカッコいい!

カッコよさにざわめいていたのは四乃森蒼紫の月城かなとさんも。
何あのビジュアル。
冷酷で表情をあまり変えない蒼紫に月城さんの完璧な美しさが映えます。
映画では伊勢谷友介さんが演じていた役で私のお気に入りの悪役の一人。
ちなみに蒼紫配下の御庭番たち・・癋見・式尉・般若・火男の4人も誰だかわからない(笑)くらい新感線ばりの凝ったメイクで迫力ありました。
銀橋下のにスッと隠れてまたパッと現れたり。

二枚目にあるまじき役でひと皮むけたような武田観柳を見せた彩凪翔さん、ガテンで明るい乱暴者の役をイキイキ演じる相楽左之助の鳳翔大さん、相変わらず色っぽい高荷恵の大湖せしるさん、美しい顔に暗い瞳を湛えた剣心の影の永久輝せあさん、そして弥彦少年を伸び伸び溌剌と描き出している彩みちるさん・・・挙げていけばキリがないくらい、皆さん適役好演です。

剣心と惣三郎の出会いの場となった島原の場面で朱音太夫・桃花ひなさんの浮世絵から抜け出たような美しさ、台詞なくても出てくるたびに目をひかれる101期生(研1)縣千さんも印象に残りました。


■ フィナーレ

フィナーレは、望海さん銀橋渡りの歌 → ロケット → 早霧さん+娘役のダンス → 早霧さん+男役ダンス → 早霧さん抜きの男役ダンス → デュエットダンス → パレード という流れ。

ロケットでセンターで踊る子がやたら美形!を思ってよく見たら永久輝せあさんで、そりゃ綺麗なはずだわと思うと同時に、そうか、ひとこちゃん、まだロケットに出る学年なんだと改めて。

男役ダンスはひたすらカッコよかったです。
やっぱりトップがダンサーだと群舞全体も引き締まります。

この公演で退団される大湖せしるさん、蓮城まことさん それぞれに早霧さんと2人きりのダンスシーンがあって、宝塚だな、と思いました。


「るろうに剣心」の原作からすればさわりの部分という感じなのかもしれませんが、
原作にない部分も含めて、ファンにも楽しんでいただけるのではないかしら。
宝塚歌劇の作品としてももちろん、歌も踊りもたくさんあって、楽しくて華やか。
ビジュアルで先走った前評判も納得の舞台でした。


この記事を書いている時点で雪組は休演者が6人。
インフルエンザかな。
武田観柳役の彩凪翔さんも休演で、代役が真那春人さん、
まなはるくんの代役を真條まからさんと鳳華はるなさん
・・・と皆さん大変そう。大事ありませんように。


リピートしたいけどチケット完売で手元にあるのはあと1枚のみ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1516 わーい(嬉しい顔) vs 1519 ふらふら)
posted by スキップ at 10:58| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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