2016年01月06日

當る申歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 昼の部

IMG_7730.jpg今年の初観劇はすでに済ませたのですが、昨年観たものでまだ感想を書けていなかったこちらを先に。
とは言うものの、年末年始とはあな恐ろしや。わずか2週間ほど前のことなのに遥か昔のように感じられ、記憶もおぼろげでございます。

南座顔見世興行 昼の部は、毎年貸切公演にご招待いただいています。
チケット代も年々高騰する中、今年喪番附、お弁当つきでお招きいただいて、本当にありがたいことです。

京の年中行事 當る申歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 昼の部
四代目中村鴈治郎襲名披露 
2015年12月19日(土) 10:30am 南座 1階9列センター



第一、玩辞楼十二曲の内 碁盤太平記  山科閑居の場
作: 近松門左衛門
脚色: 渡辺霞
出演: 中村扇雀  片岡愛之助  中村壱太郎  中村寿治郎  片岡孝太郎  中村東蔵 ほか


四月歌舞伎座の鴈治郎襲名披露興行で扇雀さんが40年ぶりに復活された演目ですが、その時は観ていなくて、今回初見。

大石内蔵助(扇雀)は息子主税(壱太郎)ともに山科に移り住んでおり、屋敷には字の読めない下僕岡平(愛之助)が仕えていました。内蔵助は放蕩三昧。妻りく(孝太郎)と母千寿(東蔵)に責められてもどこ吹く風です・・・。

「仮名手本忠臣蔵」の「山科閑居」と「祇園一力茶屋」の場を合わせたような物語。
元々忠臣蔵好きなのでおもしろく拝見しました。

内蔵助の扇雀さんはじめ、孝太郎さん、東蔵さん、寿治郎さん、壱太郎くんは四月と同じ配役ということで、さすがに出来上がった印象。
東蔵さんの老母 千寿がいかにもガ厳格な武家の奥方で、息子の放蕩を恥じても嘆いてもいる感じがよく出ていました。
壱太郎くんの主税といえば、ずい分前に何かの公演でアドリブで急に「いまだ参上仕りませぬ・・」と判官切腹の場の力弥の台詞を言ってくれたことを思い出します。
歌舞伎役者さんって、「仮名手本」の台詞ってほんと、入ってるのね、と感心した記憶が

主な役の中では唯一初役の愛之助さん岡平実は高村逸平太(歌舞伎座では染五郎さん)。
元より台詞の口跡のよい役者さんなので、文字の読めない下僕が実は吉良の密偵で、主税に斬られて深手を負いながら、最初からそれを見抜いていた内蔵助の同じ武士としての志に共鳴して碁盤で吉良邸の様子を示すまで、メリハリの効いた演技でした。

扇雀さんの内蔵助は上背を活かして堂々とした偉丈夫でいかにも器の大きな人物像。
どちらかといえば情けより知の人という印象で、放蕩している時はもう少し崩れてもよかったかなLとも思いましたが、雪の中、山科を出立する時の妻、母との別れ、母を恋しがる主税を心を鬼にして叱咤す父親として、武士としての姿に胸が熱くなりました。

主税と玄白が碁を打つ場面に始まり、碁盤を枕にしたり碁石を投げつけられたり、最後には碁盤と碁石を使って岡平から吉良邸の見取図を聞き出す・・・と題名通り「碁盤」大活躍でした。第二、義経千本桜 吉野山
出演: 中村橋之助  坂田藤十郎 


藤十郎さんの静御前はこれまで何度も観たことがあって、吉野山の満開の桜の下で舞う静を観ながら、「狐忠信は誰だったかなぁ」とぼんやり考えていたら、花道スッポンから橋之助忠信登場。

この組合せが個人的にとても意外でした。
藤十郎さん静に橋之助さん狐忠信、次の幕「河庄」は鴈治郎さん治兵衛に小春は時蔵さん、と珍しい座組で、いかにも「東西合同」大歌舞伎。
顔見世ならではの醍醐味の一つです。

それにしても藤十郎さんの年齢不詳っぷり。
よい塩梅に適度に遠目な距離だったせいもあって(笑)、ゆったりと品のよい佇まいの、お人形のように可愛くて色っぽい静御前でした。


第三、心中天網島 玩辞楼十二曲の内 河庄

作: 近松門左衛門
出演: 中村雁治郎  中村時蔵  片岡愛之助  中村亀鶴  中村萬太郎  片岡秀太郎  中村梅玉 ほか


物語: 紙屋治兵衛(鴈治郎)は妻子ある身ですが、遊女小春(時蔵)と恋に落ち、二人は心中も誓い合いますが、治兵衛の妻に頼まれた小春は、身を引く覚悟をします。
穏便に2人を別れさせたい治兵衛の兄 粉屋孫右衛門(梅玉は一計を案じて・・・。

昼の部の襲名披露狂言。
「河庄」の紙屋治兵衛は代々の鴈治郎さんが演じてきた役でいわば成駒屋さんんのお家芸。

いかにも恋は盲目というか、小春以外は目にも心にも入らないといった風情の治兵衛。
偽りの愛想尽かしを言う小春
小春の真意を知らず、見境を失って罵詈雑言を浴びせ、手を出そうとする治兵衛。
言いたいことをぐっと呑み込んでそれに耐える小春。
最後には心中に至る二人ですが、この「河庄」の場では、治兵衛のダメダメっぷりや子供っぽさが際立って笑いが漏れることも。
梅玉さんの兄 孫右衛門もどこか飄々とした雰囲気。

治兵衛に限らず、近松門左衛門の心中ものの主役の男性は「金と力はなかりけり」な優男のイメージですが、鴈治郎さんの治兵衛はどこか愚直で一所懸命といった造形。
その必死さ、切迫感が、この後に起こることになる悲劇を暗示させていて切ないです。

治兵衛の恋のライバル 江戸屋太兵衛の愛之助さん、その相棒 五貫屋善六の亀鶴さんが大阪弁の掛け合いもよい調子で憎たらしいことを言いながらも何だか楽しそうでした。

小生意気な丁稚三五郎の萬太郎くんもとてもよかった。
いく分小柄な人ではありますが、丁稚装束があまりにもお似合いで、一瞬子役ちゃんかと思いました。


第四、新古演劇十種の内 土蜘
作: 河竹黙阿弥
出演: 片岡仁左衛門  市川左團次  片岡孝太郎  片岡進之介  市川男女蔵  中村萬太郎  中村国生  中村梅枝  片岡愛之助  中村橋之助  中村扇雀  中村梅玉 ほか


「土蜘」を仁左衛門さんで観るのは初めて。こんな演目もなさるのね。
あの端正なお顔に土蜘の精の隈取がちょっと想像つかなかったのですが、男前は隈取してもオトコマエなのね。

仁左衛門さんの僧智籌は眼光鋭く、登場時からタダモノではない妖気が漂っています。
変化してからの方が(顔はコワイけど)端正な印象でした。放つ蜘蛛の糸も、所作板を踏み鳴らす音も、どことなくゆったりした雰囲気。

番卒は、扇雀さん、橋之助さん、愛之助さんという豪華版。
豪華な番卒といえば、3年前の勘九郎さん襲名「土蜘」の時の、勘三郎さん・仁左衛門さん・吉右衛門さんという超豪華かつこの上なく可愛かった番卒が今だに目に浮かんで、笑いながら泣いてしまうのでした。

花道に並ぶ四天王を観ながら、進之介さんでしょ、男女蔵さんでしょ、萬太郎くんでしょ・・・最後の男前は誰?と頭の中でグルグル考えていたのですが、結局思い当たらず、終演後番附見たら国生くんでした。
端正なお顔立ちです。
 


hanaman2015.jpg今年の花萬さんのお弁当はこんなの。
ごちそうさまでした。




「河庄」でちょっと意識が遠のいたことはヒミツです のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1494 わーい(嬉しい顔) vs 1499 ふらふら)
posted by スキップ at 22:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
明けましておめでとうございます、本年も、ネット上でですが、宜しくお願いします。
早速ですが、コメントありがとうございます。
年末は毎年の事ながらバタバタしてまして、2015の総括も年を跨いでしまいました。
今年もお互いに、これはっ!と感じる舞台に出会える事を願っています。
それではまた。
Posted by ケン坊 at 2016年01月07日 13:57
♪ケン坊さま

あけましておめでとうございます。
こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

本当に、何かと慌ただしい毎日ですが、年末は特に時間が
飛ぶように過ぎていきますね。
今年も心を熱くさせてくれる舞台にたくさん出会えますように、お互いに。
Posted by スキップ at 2016年01月07日 23:52
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