2015年11月04日

大阪平成中村座 昼の部 <前編>

nakamuraza2015.jpg平成中村座。
私は今年5月 浅草寺の陽春歌舞伎を観に行きませんでしたので、中村座は勘三郎さん最期の舞台となった2012年以来。
もちろん大阪は前回以来5年ぶりです。


大坂の陣400年記念
大阪平成中村座 昼の部
2015年10月25日(日) 11:00am 大阪平成中村座 
桜席 2階右側1列


初日フォトレポはこちら


思い出がいろいろありすぎること、演目がワタシ的に今イチ気乗りしなかったことなどあって、
あまり前のめりではなかったのですが、やっぱり楽しい~ムード 平成中村座。
あの芝居小屋の雰囲気は何とも言えません。
そして何より、今回桜席で観たこともとても楽しかった要因のひとつです。

浅草に遠征する時は観る機会が限られるので、ミーハー的にはどうしても前へ前へとなってしまうのですが、大阪だし、観たことある演目ばかりだしナナメ上からでもいいワと桜席にしました。
久しぶりに桜席に座ってまず最初に感じたのは「舞台近っ!」ということ。
舞台も役者さんも、こんなに近かったかしら、と思いました。
思えば、桜席で観るのは、大阪での最初の平成中村座 2002年 扇町公園以来ですので、なーんと13年ぶりなのでした。


一、女暫
出演: 中村七之助  中村勘九郎  坂東新悟  片岡亀蔵  坂東彌十郎  中村橋之助  中村扇雀 ほか


歌舞伎十八番のひとつ「暫」の女性版。
鎌倉権五郎景政が巴御前という設定です。
強力無双の主人公が圧倒的な強さで悪人をやっつけるというお話ですが、お芝居というより祝祭劇的な雰囲気で絵面も華やか。
文句なしに楽しい一幕です。

さらに、「女暫」には「暫」にないご馳走・・・すべてが終わった後、幕外で舞台番に六方を習う、というのがあって、これがそれまでの無敵の女丈夫ぶりとは一転、滅法可愛いらしく、最後までお楽しみたっぷりです。この演目は、玉三郎さん、福助さん、時蔵さんと観ていて、七之助さんといえば女鯰若菜のイメージでしたが、今回は初役かな?
言い回しが時折玉三郎さんそっくりと思う時がありましたが、玉三郎さんに教わったのでしょうか。

美しさはもちろん、凛として品もあって可愛げもある、とても素敵な巴御前でした。
七之助さんは玉三郎さん同様長身なので、大きな三升の素襖にも負けていません。
悪人たちに何か言われてもプイッと横を向く巴御前が大好きなのですが、このSっぷりもなかなでございました。
ツラネでは「大阪城のお堀に放り込むぞ」とか、地元ネタもしっかり。
場を圧するような大きさとか有無を言わさぬ風格とかはまだこれから身につけていただくとして、若い美しい巴御前の誕生です。

坂東新悟さんの女鯰若菜も声がよく通って印象的でした。

そして、幕外。
幕が閉まって、上手袖から舞台番鶴吉の勘九郎さん登場。
桜席の私たちの方を見上げて、笑顔で手を振ったりしてくれます。
「見えなかったらあっち(幕外)行っていいから」と小声で言ってくれたので、みんなで移動して幕外覗いて観ることができました。

さすがにご兄弟は息もぴったりで、本当に楽しい幕外でした。
ここはアドリブでやっているようですが、勘九郎さんが以前舞台番のことを「台詞をアドリブのように見せるのが究極。難しい役です」とインタビューでおっしゃっていたのを思い出しました。


この日の舞台番思い出す限り

・ 附け打ちの山崎徹さんに「とおるちゃん 大丈夫?『阿弖流為』の疲れ、残ってないよね?」
・今日は初日で沢山のお客様がいらしてくださってありがとうございます。座元も喜んでおります。
 (上手見て)先斗町からも綺麗どころがたくさんね・・(下手見て)こちらに怖い人たちがね・・。
 <上手の竹席に芸妓さんや舞妓さんが、下手にはピシッとお着物お召しの女将さん連中がズラリと並んでいらっしゃいました。>

・「六方を教えて」という巴御前に、
 と言ってもやったことないからなぁ。でも、私の襲名の時、浅草の中村座で成田屋さんがやったの見てたから大丈夫」

→ この言葉を聞いて、以前納涼で福助さん巴御前相手に勘三郎さん舞台番が、「実は舞台でやったことないんだ。目黒の眼の大きい人が十八番なんだけど・・」みたいなことをおっしゃっていた光景がありありと思い出されて泣き笑い。勘三郎さんも、目黒の眼の大きい人ももう舞台にいないなんてねたらーっ(汗)


いや~、それにしても可愛く楽しい「女暫」でございました。


二、三升猿曲舞 (しかくばしらさるのくせまい)
出演: 中勘九郎  中村かなめ  中村いてう ほか


小田春永(織田信中)邸で行われている謡を見ようと様子を伺う此下兵吉(木下藤吉郎)を、かねてより殿のおぼえめでたき存在として羨む山口九郎次郎、山口東馬が捕らえ詰問します。
「舞を踊れるなら踊ってみせい」という言葉に兵吉は見事な踊りを披露します・・・という舞踊の幕。

「中村座の良さをお客様に楽しんでいただきつつ、太閤様ゆかりのもの、と考えこの演目を選びました」と勘九郎さんがインタビューで語っていらしたとおり、短い時間の中に見どころたっぷりで、勘九郎さんの踊りを堪能できる演目です。

山口九郎次郎、山口東馬は中村かなめさんといてうさんで、揚幕から登場した勘九郎さんが花道七三に正座して、「お二方にはこのたびの名題昇進おめでとうございます」と祝詞を述べると客席からも温かい拍手が。

勘九郎さんの踊りは観ていて楽しいしキレはいいし華やかで本当に気持ちがいい。
キリッと引き締まったり愛嬌たっぷりだったり、軽妙だったり重厚だったり、顔の表情はもとより、指先、足の先に至るまで身体全体の表情がとても豊か。
白地に黒・金模様や、目に鮮やかな天色の装束もとてもよくお似合いです。
バンバンッと所作板を踏み鳴らす音の心地よく響くこと。

そして、極めつけは奥が開いて姿を現す大阪城天守閣。
「おおおおぉぉ~」とどよめきが客席から起こりました。
残念ながら桜席からは見えませんが、そのどよめきと高揚を聞いて、「そうそう、これが中村座よ~」と思いました。

桜席を存分に楽しんだ私ですが、この幕だけは正面から観たかったと思いました。

勘九郎さん 幕が降りた後、後ろを向いて開け放たれた外の大阪城天守閣に向かって一礼されていました。
その後 桜席にも忘れずに。



→ 後編につづく
posted by スキップ at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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