2015年10月21日

「歌舞伎にはたくさんの武器がある」 ラスベガス公演凱旋記念 「Wonder Kabuki Theater」

IMG_7939.jpg自慢ではないのですが、私は甚だくじ運が悪く、スピードくじのような類のものでもめったに当たったことありません。
にもかかわらず、このイベントを知った時、「絶対当たるはず」と自信満々でした(全く根拠はないのだが)。
その予感通りまんまと当選し、会社早退して張り切って行ってきました京都四条南座。

ラスベガス公演凱旋記念 パナソニック・プレゼンツ
「Wonder Kabuki Theater」
―2020年に向けて、新しい歌舞伎体験を考える―


2015年10月20日(火) 6:00pm 京都南座 1階4列下手



4:30pmから受付開始ということでしたが、私がほぼその時刻に着いた時にはかなり行列ができていました。
座席は、受付時に白い封筒に入ったチケットを渡される方式。くじ引きのようなそうでないような。
2名で申し込んだ人たちは何人かいる係員のどこに行ってもいいということでしたが、私のような1名参加の人は「ここ」と決められた1箇所だけで引き換えで何となく不公平感(笑)。
とはいうものの、首尾よく4列目花横の席をゲットして、開演までお友だちとのんびりお茶。
そして、いよいよ。

座席は1階のみ解放されていてほぼ満席でした。
2階にはカメラを構えたプレスの人たちが。

wonderkabuki.jpg

こちらはいただいたプログラムですが、舞台上にはこの変形定式幕が
スクリーンに映し出されていました。
「W K」 Wonder Kabuki のイニシャルという訳ですね。Ⅰ.2015年8月ラスベガス歌舞伎公演 「Panasonic presents KABUKI Spectacle at FOUNTAINS OF BELLAGIO Koi-Tsukami “Fight with a Carp”」 ワイドスクリーン上映

最初にパナソニック会長の長榮周作さんからご挨拶があり、
その後 市川染五郎さん 花道揚幕より登場。
なんせ花横ですからね。真横を通っていく染五郎さん、ガン見目したよね。

薄鈍色といった感じの薄いグレーのお着物に茶鼠くらいの袴。
同系色なのだけど少し色合いを変えてあって、品よくおしゃれなコーディネートでした。
「ラスベガスから2ヵ月。ずい分昔のことのようでもあり、ついこの間のような気もします。
現地入りしてからは毎晩遅く、明け方まで稽古や作業に忙しく、カジノには一度も行きませんでした」とおっしゃっていました。

この後、ラスベガス歌舞伎公演の上映。
15分のダイジェスト版でしたが、さすがにワイドスクリーンで見ると迫力ありました。
染五郎さん志賀之助と米吉くん小桜姫の連れ舞なんて、まるで二人が南座の舞台上にいるように感じたり。
ラストの大噴水には、隣席のおじさま、思わず「おーっ」と声が出ていらっしゃいました。


Ⅱ.トークセッション
登壇者: 市川染五郎   猪子寿之 (チームラボ代表)  春香クリスティーン
      岡崎哲也(松竹常務取締役)  いとうせいこう (司会)


下手から、いとうせいこうさん・松竹の岡崎常務・染五郎さん・チームラボの猪子さん・春香クリスティーンさんの順に着席。
せいこうさんの進行でセッション開始です。


■ ラスベガス公演の振り返り

岡崎: ラスベガスがギャンブルの町からファミリーで楽しめるエンタテインメントへと変貌していた2002年、迫本社長と視察に行きました。
そこで迫本社長から「いつかここで歌舞伎ができないかな」という発言があり、「鯉つかみならできるかもしれない」と話しました。

→ オドロキです。
私が「鯉つかみ」を初めて観たのは2011年4月の四国こんぴら歌舞伎

確かその時、染五郎さんが40年ぶり位に復活させた狂言ということだったはず。
それより10年近く前の話で、「鯉つかみ」という演目は、ちゃんと松竹の幹部さんたちの頭の中にインプットされているのですね。
いや、「鯉つかみ」ばかりでなく、もちろん他の演目もでしょうけれど。


今回のラスベガス公演にあたって、最初から染五郎さんに話を持って行った
という岡崎さんの発言を聞いて、
「染五郎さんならチャレンジするだろう、おもしろがるだろう、と思ったんですね」
と いとうせいこうさん。

当の染五郎さんは、「アメリカ本土に足を踏み入れたことがなかったから、『行ける!』と思った」と、まずはユルいお答え(笑)。
「古典歌舞伎はこれまでの海外公演でもやってきたので、海外でしかできない歌舞伎をやりたいと思った」とおっしゃっていました。
「古典歌舞伎は日本に観に来ていただきたい」と。

チームラボの猪子さん 「日本美術には鑑賞するときにどこにフォーカスを当てるか、見る側が決めるというところが元々あって、焦点が曖昧という美意識があった。『噴水に映ったデカい鯉を見てる間に主役の見得を見逃した』とかも面白い」
「それがカメラで撮った瞬間(映像になったら)伝わらくなる」とも。

「いずれにしても、みんな快諾しすぎ」(笑)といとうせいこうさん。


■ 2016年のラスベガス公演に向けて

来年5月に予定されているラスベガス公演は、
 ・劇場で
 ・最先端テクノロジーと古典歌舞伎の融合
 ・上演時間は1時間超くらい

ということでした。

「あの『鯉つかみ』を劇場でやったらどうなるか」と染五郎さん。
「これまで新作歌舞伎などで、いつまでに何ができるか、と考えてやってきましたが、今回のラスベガス公演で一番感じたのは、『何がしたいかが大事』ということ」

「歌舞伎にはたくさん武器がある」と力強いお言葉も。
・・・花道、廻り舞台、本水、本火、宙乗り、早替り、毛振り、と挙げていらっしゃいましたが、
それ全部詰め込んだらどんな舞台になるのでしょう。

言葉の端々から染五郎さんが本当に歌舞伎が好きで、歌舞伎で何かをしようと常に考えているんだなぁということが伝わってきます。
「またアメリカ本土に行ける」と言って、せいこうさんに「自分で行きなさいよ(笑)」とツッコまれていましたがw

猪子さんは、「あるものにフォーカスして見ることによって何がを見逃すようなものをつくりたい」「怒られるようなものをやってみたい」と。


■ 2020年の歌舞伎体験を考える

岡崎さんから「イヤホンガイドの多言語対応など、エンタテインメント性を高めつつ敷居を低くする方向で」という例が出されると、
「海外の友人も自分たちの言葉で解説が聴けるともっと歌舞伎に親しみやすくなる」という発言が春香クリスティーンさんからも。

そこで、という感じでせいこうさんがスマホを取り出し、「染五郎さんちょっとこれやってみて」
染五郎さんが手にした、写真アプリのようなものを立ち上げたスマホの画面をカメラが捉えて、スクリーンに映し出されました。

それを舞台下手の提灯にかざすと演目の説明が画面に現れる仕組み。
「たまたま英語を選んでるけど、他の言語でも対応可能」だそうです。

私のイメージとしてはARのような感じでしたが、これをもっと進化させていくということかな。
舞台上の役者さんにかざすとプロフィールが出たり、観終わって家に帰ると出演者から「ありがとう」なんてメールが来たりね・・というお話も出ていました。

せいこうさんが「ワクワクして僕も手伝いたくなるんですよ」とおっしゃると
岡崎常務が、「勘三郎さんがコクーンでやった『佐倉義民傅』の時、せいこうさんが歌舞伎に初めてラップを採り入れて下さって・・」
と不意打ちで勘三郎さんの名前が出て、胸がズキンとしました。
勘三郎さんだったら、このテクノロジーとの融合でどんな舞台を見せてくださったでしょう。

今はほとんどの人がスマホは持っているから、というお話から、
「この会場でも赤青えんぴつ持ってる人っていうとそんなにいないけど、
スマホはみんな持ってますよね」 と染五郎さん。
比較対象が赤青えんぴつって、
と一人大ウケしてきゃははわーい(嬉しい顔)と笑って隣の人に不思議がられましたが。

「劇場で、電源は入れておいて下さい という時代が来るかもしれませんね」
と染五郎さんは笑顔。
そんなテクノロジーとアナログのナマの舞台がどこまで融合していくのか、
これからも目が離せません。


IMG_7937.jpg


トークセッションは50分位だったでしょうか。
とても興味深いお話を聴くことができました。

そして何より、つい3日前まで、蝦夷の思いを一身に背負った荒ぶる北天の戦神だった彼の人の、穏やかな笑顔とゆるトーク(笑)、そして歌舞伎への変わらぬ熱い思いを聴くことができて、
本当にうれしく幸せでした。



こんなお話を聞くと来年ラスベガスに行きたくなってコマルじゃないか~ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1454 わーい(嬉しい顔) vs 1457 ふらふら)
posted by スキップ at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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