2015年10月20日

未完の 「グッドバイ」 完成!

goodbye.jpg太宰治と谷崎潤一郎は高校時代にやたら凝った覚えがあって、ほぼ全作品読んだと思います。
この未完の作品ももちろんその頃読んでいたのですが、「愛人と手を切る話だよなぁ」というくらいしか思い出せず。
いかにン十年前とはいえ、ワタシの海馬、不甲斐なし。


KERA・MAP#006 「グッドバイ」
原作: 太宰治 (「グッド・バイ」)
脚本・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
美術: 仲村トオル  小池栄子  水野美紀  夏帆  
門脇麦  町田マリー  緒川たまき  萩原聖人  
池谷のぶえ  野間口徹  山崎一

2015年10月11日(日) 12:30pm  シアターBRAVA! 1階F列センター


 
戦後まもない日本の混乱期。
雑誌編集者の田島周二(仲村トオル)は闇商売で儲けたカネで何人もの愛人を抱えていましたが、疎開していた妻子を呼び寄せ、女関係を清算し、闇商売からも足を洗って、まっとうな人生を送ろうと決意しました。
闇商売で知り合った永井キヌ子(小池栄子)というかつぎ屋の美女に妻のふりをしてもらい、愛人たちと別れようとします・・・。


原作が未完ということで、ケラさんが独自の解釈で物語を書き加え、ハートウォーミングなハッピーエンドの喜劇に着地させています。
劇中もいろいろとおかしくて何度となく声に出して笑ってしまったのですが、あの結末には、観客の誰もが幸せな気分で劇場を後にしたのではないかしら。

薄幸の美容師、兄と暮らす挿絵画家、勝ち気な女医、農家の娘・・・と次々と愛人のもとをキヌ子を伴って訪ねる周ニ。
女医のところに行ったら、美容師が女医の患者で、「三越の美容室の美容師さんなんだけど、ひどい失恋をしてね・・」とか
その美容師は挿絵画家兄妹と同じアパートに住んでいて、兄の思い人であるとか、
愛人同士に接点を持たせて、単調になりがちな物語をより重層的にしていて飽きることなく見せていただきました。何といっても
インテリでおしゃれで優柔不断で女にだらしなく、
情けないけど愛嬌もあって憎めないだめんず周ニ 仲村トオルさん
とびきりの美人なのに鴉声で大食いでがさつ、
荒くれてしたたかだけどどこかペーソス漂うキヌ子 小池栄子さん
この二人のコンビネーションが抜群でした。

キ  「フクスイの陣ってとこね」
周 「フクスイ?背水の陣だろ」
周 「きみはバカだなぁ」

文字だけではおもしろさは伝わらないと思いますが、
もう、かけ合い漫才みたいで爆笑したよね。
しかも後で確認したら、この「フクスイ」「ハイスイ」はちゃんと原作にあるのですね。

小池栄子さんの女優としてのポテンシャルには毎回感心されられますが、今回も期待に違わず。
キヌ子って、本当にこんな人なんじゃない?と思わせるリアリティがありつつ、可愛らしさも見せて、とても愛すべき人物造形。
しかも原作にある「すごい美人」という形容詞に負けない華やかさ。

仲村トオルさんのおとぼけと生真面目の絶妙なバランス感と、いろいろやっても清廉さを失わない雰囲気も大好きでした。

周ニとキヌ子以外は男女とも一人の役者さんが複数の役を演じ分けていて、皆さん達者なところを見せてくれます。
キリリと切れ味鋭い緒川たまきさんの女医、おっとり構えてすべてお見通しの余裕を見せた水野美紀さんの周ニの妻 静江など印象に残る中、池谷のぶえさんの怪演が光ります。何あの子ども。反則でしょ(笑)。


階段や斜路をつくって高さを出した装置。
スタイリッシュな映像を使ったオープニング。
役者さんたちが揃って斜めに傾いたりする独特の振付(小野寺修二)。

いかにも“ケラさん”な演出が随所に散りばめられたケラ版「グッドバイ」 完成です。


カーテンコールの仲村トオルさん。
上手袖にはける直前ひとり舞台に残り、客席に向かって大きく右手を挙げてナマ声で、
「グッドバイ!」
ステキでした~揺れるハート



唯一残念だったのは隣の人の観劇マナー。
上演中にバッグからスマホ出して見るとか勘弁してほしい の地獄度 ふらふら (total 1453 わーい(嬉しい顔) vs 1456 ふらふら)
posted by スキップ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すっごく面白かったですね! 私は原作を読まずに行って、見た後で読んだんですが、前半、とても原作に忠実だったことに驚きました。ケラさんのオリジナル多と思わされてた感じ。
役者もみなさん生き生き。いまここで拝読していても、くっきり思い浮かべることができます。ほんと笑っちゃった。
2階から見たのですが、役者さんには遠かったけど、舞台装置など楽しめて、これもアリ。そう思えるのも、心から楽しんだからかも。
ところでお隣、残念でしたね。折角の観劇、その時だけ‼の時間なのに。携帯、スマホの登場で、いらいらのタネが増えてしまいました……。
Posted by きびだんご at 2015年10月22日 11:21
♪きびだんごさま

おもしろかったですー♡
きびだんごさまのツイートを読んで、観るのをとても楽しみに
していましたが、思っていた以上にきゃはきゃは笑いました。
そうそう、あんなにおかしいのに前半はほぼ原作通りというのも
意外でしたね。

ほんとに、折角の気分を台なしにしてくれました隣の人。
それも二幕のいいところで2回も。
客電落ちた暗い中って、液晶はまぶしいくらいですから、
見ないでおこうと思っても視線に入っちゃって・・(怒)。
Posted by スキップ at 2015年10月22日 22:55
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