2015年09月29日

駆け抜ける花道 秀山祭九月大歌舞伎 「紅葉狩」

今年の秀山祭りは、昼の部の「競伊勢物語」や夜の「伽羅先代萩」が眼目なのでしょうけれど、ワタシ的イチバンはこの「紅葉狩」。
このために張り切って取ったチケットはかぶりつきだったもんね~(笑)。


松竹創業120周年
秀山祭九月大歌舞伎 昼の部
2015年9月20日(日) 11:00am 歌舞伎座 1階1列下手


二、新歌舞伎十八番の内 紅葉狩
出演: 市川染五郎  市川高麗蔵  中村米吉  松本金太郎  大谷廣太郎  坂東亀寿  尾上松緑 ほか


紅葉美しい信濃国戸隠山。
紅葉見物に訪れた将軍・平維茂(松緑)は、腰元多数を従えた更科姫(染五郎)に誘われ、酒宴を楽しむうち、いつしかまどろんでしまいます。
姫たちが姿を消した後、現れた山神(金太郎)は、「更科姫は実はこの山に棲む鬼女」と警告します・・・。


momijigari.JPG


楽しかったムード

舞踊には明るくない不肖スキップですが、やっぱり染五郎さんの踊り好き~と思いました。
赤姫の拵え華やかなたおやかで美しい更科姫。
隈取も映える妖魔な鬼女。
このギャップと変化の鮮烈さ。
更科姫が今まさに鬼女の正体を現そうという時に、あの拵えのままで太い男声に変わるところが大好きなのですが、染五郎さんはそのあたりの切り替えも鮮やか。

「二本扇が・・」という声もちらほら聞こえましたが、私が観た日は危なげなく操っていらっしゃいました。毛ぶりもさすがに美しい。
「鬼揃紅葉狩」は経験あるものの、この新歌舞伎十八番「紅葉狩」は今回初役という染五郎さん。
こんな踊り見せられると、染五郎さんの「鏡獅子」また観たくなります。

松緑さんの維茂はキビキビと動きも大きく。
局の高麗蔵さん率いる腰元さんたちは芝のぶさん筆頭にキレイどころを揃えてきましたが、やっぱり米吉くんの可愛らしさは一際目立ちます。
踊りも一場面もらっていましたが・・・がんばれ~ダッシュ(走り出すさま)


そして、松本金太郎くんです。金太郎くん もちろん初役の山神。秀山祭もこれがデビュー。
台詞も踊りもしっかりきっちり。
トントントンと床を踏む音の小気味よさ。
手も足もきちんと伸ばして、小さな体を大きく見せていました。


「さんじんが~」
揚幕からタッタッタッと駈け出してきた金太郎くん山神の力強い足音が聞こえてくると胸がいっぱいになって、思わずウルウルたらーっ(汗)

2007年6月 初お目見得の時、旧歌舞伎座で幸四郎じいじに手を引かれて初めて歩いた花道を、たったひとりで、力強く。


あの初お目見得の時、お祖父様の松本幸四郎さんが東京新聞「花鼓」に寄稿されたコラムがとても温かくで、当時このブログにも書いたのですが、リンク貼っていたオリジナルの記事がなくなってしまっていたので、探した全文をここで再掲したいと思います。



東京新聞「花鼓」 2007年6月9日


水無月の歌舞伎座は、梅雨にはまだ間があるような爽やかな日に初日を迎えた。 
今月、私は、二歳になったばかりの初孫齋(いつき)の手をとって揚幕を出る。出の前に、齋は毎日、父染五郎と短い会話を交わしている。「じゃあ、とうたん(父さん)先にお稽古(舞台に出ることを、齋はそう覚えた)」。齋は「ウン、いっちゅもお稽古」。自分の出をじっと待っている小さな役者の背中を見ていると、胸が熱くなる。幸い、初日から今日まで、齋は途中で泣くこともなく、いやがることもなく、無事に舞台を勤めている。齋の小さな歩幅では、さぞかし歌舞伎座の花道は長いことだろう。まるで、齋のこれから歩む役者人生のように

顧みるに、私の初舞台は連日ぐずり通しで、母の着物を涙と紅と白粉(おしろい)でグジャグジャにする毎日であった。 昭和二十一年五月の東劇。「助六由縁江戸桜」で七代目幸四郎の祖父の助六、初代吉右衛門の祖父の意休。私は外郎売の父に手を引かれた子役の外郎売だった。この舞台を祝って、吉右衛門の祖父が師事していた高浜虚子先生が、素敵な句を贈ってくださった。

「幼きを助け二木の老桜」

あれから六十一年。二本の桜は、私と弟(二代目吉右衛門)になった。感無量である。それにつけても嬉(うれ)しいのは、連日満員のお客様がたくさんの拍手をおくってくださることだ。いい芝居は、正しい批評眼を持ったお客様と、全身全霊で芝居に打ち込む役者とが作るものだということを、私は改めて確信した。



8年前、当代幸四郎と吉右衛門という“二木の老桜”に見守られ、“とうたん”の深い愛に包まれて、長く厳しい道のりに一歩を踏み出した2歳の齋くん。
翌年に親子三代の連獅子で「松本金太郎」として初舞台を踏んで、今年10歳。

花道をひとりで駆け抜けることができる役者さんに成長した姿にただただ感無量です。
これからますます精進して、松緑さんところの左近くんや、中村さんちの七緒八くんたちとともに、先の先の歌舞伎界を背負って立って行ってくれるものと楽しみに期待しています。



それまで元気に劇場通えるか、おばちゃんちょっと不安~ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1443 わーい(嬉しい顔) vs 1445 ふらふら)
posted by スキップ at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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