
弟の種之助くんとともに初めての勉強会を開催ということで、ぜひ応援に行きたいと思っていたところ、染五郎さんもゲスト出演と聞いて、そりゃますます行くでしょー、となりました。
中村歌昇 中村種之助 勉強会 「第一回 双蝶会」
2015年8月24日(月) 5:30pm 国立劇場小劇場 6列上手
「双蝶会」という名前は、播磨屋さんの家紋の揚羽蝶と「兄弟で」という意味をこめて種之助くんがつけたのだそうです。
緊張感の中に、いつもの二人らしく真摯で懸命でお行儀のよいお芝居と舞踊。
見守られ期待されている厳しさと温かさを感じる清新な舞台でした。
彦山権現誓助剱 毛谷村
監修: 中村吉右衛門
出演: 中村歌昇 尾上松緑 中村芝雀 中村京紫 ほか
歌昇くんが選んだ演目は「毛谷村」。
お園に芝雀さん、微塵弾正に松緑さんを迎え、お幸は京紫さん、さらに浄瑠璃は葵太夫さんのひとり語りという豪華布陣です。
歌昇くんの六助。
初日だったこともあり、結構いっぱいいっぱいかな?という部分も見受けられましたが、そんなところも含めて熱演好感。
六助の真面目な人柄、優しさが、歌昇くんのキャラクターとよく合っていました。
特に前半は、田舎に住む六助の純朴な雰囲気、弾正にまんまと騙されるようなお人好しぶり、人の子を男手ひとつで育てるやさしさ、さびしさなどが自然に出ていました。
相変わらず口跡よくて台詞も聞き取りやすく、騙されたとわかった時の怒りは迫力たっぷり。
全編通じて熱演なので、緩急をつけたり、六助の何ともいえない愛嬌を醸し出すあたりが課題かとも思いますが、これは場数を踏めばどんどんよくなるのではないかしら。松緑さんの微塵弾正が最初の場面だけの出番ですが、いかにも卑劣な悪人という印象を強烈に残してカッコよかったです。
芝雀さんは全体的に控えめな雰囲気でしたが、歌昇くん六助と並んでも違和感ない可愛らしいお園。
お幸の京紫さんが白髪も美しい上品なおばあさまで、毅然としているのにどこかとぼけた味もあってこちらも可愛かったな。
新歌舞伎十八番の内 船弁慶
指導: 藤間勘祖
出演: 中村種之助 中村歌昇 中村又五郎 市川染五郎 ほか
種之助くんが挑むのは舞踊の大曲「船弁慶」。
お父様の又五郎さんが、歌昇襲名の時も又五郎襲名の時にも踊られた、播磨屋さんにとってとても大切な演目です。
義経に染五郎さんを迎え、お父様の又五郎さんが弁慶、お兄さんの歌昇くんも舟長三保太夫で花を添え、さらには、長唄は鳥羽屋里長さん、三味線 杵屋栄津三郎さん、小鼓 田中傳左衛門さんというチカラの入った豪華版でした。
種之助くんが静御前で登場した時、あまりに可愛いらしくて小柄で、「え?これ種ちゃん?」となったのですが、声を発し踊り始めると、静かな所作の中に義経との別れなければならない悲しみが全身からにじみ出ているようで、観ているこちらまでしんみりした気分に。
後シテは隈取も美しく凛々しい知盛の霊。
気迫十分で小さな体が大きく見えました。
体いっぱいつかった長刀さばき、本当に波間を行くような歩の進め方・・・種之助くんの身体能力の高さを存分に発揮。
私が「ぐるんぐるん」と呼んでいる幕外の引っ込みもお見事でした。
それを厳しく見つめる弁慶・・でありながら、少し父の顔ものぞかせた?又五郎さんがまたすばらしかった。
あの弁慶の迫力なら知盛の霊も退散してしまうよねぇ、という(笑)。
歌昇くんの舟長は形も美しく、さすがに華もあって立派でした。
お父様、お兄様に強力にアシストされての「船弁慶」デビュー。
種之助くん、幸せですね。
そして、染五郎さんの義経。
花道の出から本当に品があって綺麗で、武将としての孤独感や悲劇性も感じられて、やはりこの人は義経役者だなぁと改めて思いました。
愛おしそうに静を見つめる目。
「その時義経、少しも騒がず」と刀を抜く姿の美しさ。
御馳走でございました

開演前のロビーも先輩、同世代たくさんの役者さんで華やか。
歌六さんが梅枝くんと談笑していらしたり。
そんな中、お母様の隣で気をつけして順番待って、吉右衛門さんにご挨拶していた金太郎ちゃんがワタシ的イチバン


表紙の二羽の蝶が高みを目指して舞い上がる二人のよう。
来年は8月23日(火)・24日(水)。
また応援に行きたいけどますます行きにくい日程だなぁ のごくらく地獄度



