2015年08月26日

大人になって恋をしても 「ロミオとジュリエット」

romejuli2015.jpg毎年夏恒例のお楽しみとなった子供のためのシェイクスピア。
今年で21年目を迎える公演の第1回上演作品が「ロミオとジュリエット」ですが、その時の演出は加納幸和さん。
今のように山崎清介さんが演出されるようになってからはこれが初めての上演だそうです。

20年前、あの頃この作品を観た子どもたちは、もう大人になって恋のひとつもしているだろうな。その時、子どもの頃に観た「ロミオとジュリエット」を思い出すかな、なんて思いを馳せたりもして。


子供のためのシェイクスピア 「ロミオとジュリエット」
作: ウィリアム・シェイクスピア ~小田島雄志翻訳による~
脚本・演出: 山崎清介
出演:  伊沢磨紀  戸谷昌弘  若松力  加藤義宗  加藤記生  
谷畑聡  斉藤悠  太宰美緒  山崎清介

2015年8月18日(火) 6:30pm 近鉄アート館 D1列(最前列)センター



余計な装飾を削ぎ落した空間でスピーディに展開されるロミオとジュリエットの悲劇の物語。

昔の小学校のような木製の机と椅子だけのシンプルな舞台装置。
黒いコートと黒い帽子の一団が隊列を組んで現れ、
動きながらクラッピングするいつものオープニング。
彼らは口々に、「3年前の悲劇」のことを語ります。
一人新参者がいて、その人に教える形で。

この黒い人たちは、ロミオやジュリエットが悩んだり迷ったりする時、いつも彼らの周りにいて、気持ちを代弁したり、時には意見したりするモブの役割を担っているのが、これまでにない演出でしょうか。


9人で全登場人物を演じるということで、
伊澤磨紀さんはロレンス神父とモンタギュー伯
AUNの谷畑聡さんはティボルトとキャピュレット夫人(←デカイ。
最初登場した時、笑いが起こっていました)
というように二役演じる役者さんが多い中、
印象的だったのは、若松力さんが演じたマーキューシオとパリス伯爵。モンタギュー一族の中でも血気盛んで熱しやすく、狂気も孕むマーキューシオ
キャピュレット側の貴族でお金持ちで育ちがよく、カッコつけのパリス伯爵
直接接点のない二人ですが、これを同じ役者さんが演じ分けることによって、
まるで一人の人間の光と影、表と裏のように感じられました。

モンタギューとキャピュレットは、宝塚版と同様、衣装が蒼と赤に色分けされていましたが、
マーキューシオは紫だったな。


乳母がロミオを訪ねる場面では犬を連れていたり、ティボルトとマーキューシオの決闘が相撲の仕切りになったり(決闘へ向かう若松マーキューシオが右手だけを机についてかたて宙返りするの、カッコよかった)、と様々な演出の工夫もある中、バルコニーの場面はとてもステキでした。

机を3つ重ねて高い櫓のようにしてバルコニーに見立て、その上に立つジュリエット。
下にはロミオ。
周りの椅子の上にそれぞれ黒衣(黒いコートを着た役者さんたち)が立っていて、まるで二人を包む夜の闇のようにもまわりの目から遮る木立のようにも見えて。
あんな(・・と言っては失礼ながら)装置なのにちゃんとバルコニーが浮かび上がって見えました。

見えた、といえば二人の結婚式のシーン。
ロレンス神父の前で永遠の愛を誓う二人が立っている場所が本当に教会の礼拝堂に見えましたし、Aimerまで聞こえる気がしました。

観客のイマジネーションを刺激し信頼する演出と役者さんたちのチカラ、すばらしいな。


ラストは私がこれまで知っているのとは少し違っていて、
ジュリエットが眠る霊廟でロミオが毒薬を飲んで死に、ロレンス神父がやって来て「ジュリエットは薬で眠っているだけ」と主張するもジュリエットは目覚めません。
ロレンス神父は「ジュリエットは眠っているだけ」と主張しますが、狂人扱いされてその場から引きずり出されてしまいます。

これには伏線があって、ロレンス神父が「この薬を飲めば42時間後に目覚める」みたいな実験をするものの、薬を飲んだ人はなかなか目覚めない、という場面が先に挿入されていて、「あの薬、本当に大丈夫なのか」というジュリエットの不安を観客が共有した訳ですが、それがここで効いてくるとは・・・。
二人の死を嘆き両家が和解してみんな霊廟を去った後、一人目覚めたジュリエットが枕元にあった(というか黒衣が差し出した)短剣で胸を刺すことを暗示して暗転・・・というジュリエットにとってより孤独で残酷ともいえる流れ。

いつもの「ロミオとジュリエット」の時間の流れを少しずらすだけで、こんなにも印象の違うラストになるのかと思いました。


一転、黒コートの一団に囲まれた、まるでモノクロの世界の中でそこだけ極彩色のようなロミオとジュリエットが、輝く光に包まれ手と手を合わせて微笑み合うラストに救われた思いでした。


ロミオ役の加藤義宗さんは加藤健一さんのご子息ということですが多分初見。
若さゆえエネルギーにあふれ、若さゆえ純粋で、若さゆえ暴走もするロミオをのびやかに演じていました。
太宰美緒さんは不器用そうではありましたが、芯がしっかりしたブレないジュリエットでした。
伊澤磨紀さんのロレンス神父が意外な配役でしたが、聖職者の威厳を見せながら、弱い部分も兼ね備える人間味のある神父。もとてもよかったです。



IMG_6001.jpgこの公演ではアート館はシアター形式。
正面のBブロックの前の床にD列が4列設けられていましたが、ちゃんと段差がつけてありました。うれしい配慮です。


ロビーでは過去の公演の舞台衣装を着てみましょうというコーナーも。
大人だし一人だったので自粛しましたが、ちょっぴり心残り(笑)。



次回作は「オセロ」だとか。これも楽しみ~ のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1424 わーい(嬉しい顔) vs 1424 ふらふら)
posted by スキップ at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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