2015年08月22日

いつまた会おう 三人で 「マクベス」

macbeth2015.jpg舞台は精神病院。登場人物は病室に隔離された患者。
女医と看護師が時折見守る中、病室の監視カメラが患者の動きをすべて捕え、病棟のモニターにすべて映し出される・・・
2012年 スコットランドで初演された National Theatre of Scotland 版 “One-Man MACBETH"

今回の日本公演は、オリジナル演出家であるアンドリュー・ゴールドバーグを招聘し、オリジナルの美術、衣裳、照明、映像、音響デザイン、オリジナル演出による日本語版なのだそうです。

パルコ・プロデュース 「マクベス」
作: ウィリアム・シェイクスピア
翻訳: 松岡和子 
日本版演出: アンドリュー・ゴールドバーグ
演出補:谷賢一
出演: 佐々木蔵之介  大西多摩恵  由利昌也

2015年8月14日(金)7:00pm 森ノ宮ピロティホール A列センター



会場に入ると舞台に幕はなく、正面上段に大きな監視窓がある吹き抜けになったような地下病室。3台の監視カメラとモニタ。中央に処置台。下手に3台のベッド。上手に洗面台とバスタブ。そして階段。

「佐々木蔵之介さん一人芝居の『マクベス』」という認識しか事前になかったので、まずはこの舞台装置を見て、「これは普通のマクベスではないのね」と覚悟しました。
冒頭に書いたような設定を知ったのは、舞台を観終わった後のことです。


あにはからんや。
登場したのは着衣に乱れがあり血もついているサラリーマン風の男。
衣服を脱がされ、指輪も外され、DNAや爪の間のものを採取されたりします。
ベッドに寝かされた男を残して、女医と男性看護師が階段を上りかけた時、二人に向かって男はいいます。
「いつまた会おう 三人で」ここから、この男が演じる形で「マクベス」の世界が展開します。
2時間 休憩なしの舞台。
濃密で、見応え聴き応えありました。
すべての役を一人で、しかも衆人環視の舞台上で演じるということで、演出上の技巧上が多く施され、「これはっ!」と唸ることもしばしば。

3台の監視カメラに映し出される三人の魔女。
バンクォーにはりんご、ダンカン王は車椅子、マルカム王子は人形、
といったわかりやすいアイテム。
バスタブを使った戦闘シーン。

・・・いろんな「これは!」の中で最も印象的だったのは、マクベスとレディ・マクベスがダンカン王暗殺を密談する場面。

ここ、かなり濃厚なベッドシーンで、マクベスと夫人が上になり下になり体位を変えてセックスしながら血なまぐさい会話をするのが何とも官能的。
これまで数々「マクベス」を観てきた中で、この場面をこういう演出で観るのは初めてでしたが、誰にも聞かせられないこんな話は本当にベッドの上でしたかもしれないな、と思わせるリアリティがありました。
「男の子だけ生むがいい。恐れを知らぬその気性では、男しかつくれまい」
というマクベスの台詞とも繋がっているようで。


もう一つ、気になったアイテム。
冒頭の場面で、脱がされた衣服などは「EVIDENCE」と書かれた紙袋に入れられるのですが、
その中の一つの袋を男は大事そうに抱え、誰にも触らせようとしません。
その中身が何かわかるのはマクダフの妻子殺害シーン。
子どものセーターでした。
そのセーター=マクダフの子ども を水に沈めて殺すことを示唆していることから、この男はもしかしたら自分の子どもを殺したのかもしれない、そのことが狂気の中でマクベスを演じることに繋がっているのかもしれないと、この男の背景が浮かび上がるようでもあり、この演出にした意図が透けて見えるようでシビれました。


このように、シェイクスピア好き、「マクベス」好きとしては大いに楽しめた舞台・演出でしたが、「マクベス」全く知らない人が観たらどうだったかな、と少し感じましたが、そんな人の感想を聞いてみたいな。


「マクベス」の20役+男の21役を演じた佐々木蔵之介さん。
体力的にも精神的にもハードだったと思いますが、凄味を感じるほどでした。
正直のところ、マクベスの登場人物20役を全部把握できたか自信ありませんが、声のトーン、目線、ちょっとした手の動き・・少しずつの変化で人物の違いをくっきり際立たせる演じ分け鮮やか。
個人的には振り幅大きなレディ・マクベスが好みでした。
マクベスの死を表わすバスタブに沈むシーンがやたら長くて心配になっちゃったけど、あれどうなってるの?(笑)


マクベスの終焉とともに終わりを告げたと思われた物語。
バスタブから男を引き上げ、体を拭いてベッドに落ち着かせ、部屋を出ようとした女医と看護師に男が放った言葉。
「いつまた会おう 三人で」

ループ!!
そう来たか~、ヤラレタ~!と思いましたねっ。


蔵之介さんのほぼ一人芝居ということ以外、演出が誰かも事前には全く知らなかったのですが、マルカムが「明けない夜はない」を「朝が来ないと夜は永遠に続くからな」と言うのを聞いて翻訳は松岡和子さんだとわかったのでした。

カーテンコールではそのマルカム人形を撫でたりポイッと椅子に投げ出したり、やたらイジる蔵之介さんわーい(嬉しい顔)



で、劇場で「オレアナ」良席売ってたから帰りについ買ってしまうという、こちらのループも続くのでした のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1422 わーい(嬉しい顔) vs 1422 ふらふら)
posted by スキップ at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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