2015年07月29日

悪華繚乱 松竹座七月大歌舞伎 「絵本合法衢」

ehon.jpg今月は演舞場に2回行ったし歌舞伎座にも行った・・・とすっかりお江戸に足が向いているワタシですが、もちろん松竹座のことだって忘れていた訳ではありません。
特に夜の部のこの演目。
仁左衛門さんの悪役大好物の不肖スキップ、見逃さでおくものか(笑)。


松竹創業120周年
関西・歌舞伎を愛する会 第二十四回
七月大歌舞伎 夜の部
通し狂言 「絵本合法衢」 立場の太平次
作: 四世鶴屋南北
演出・補綴: 奈河彰輔
出演: 片岡仁左衛門  中村時蔵  中村錦之助  片岡孝太郎  
市川男女蔵  中村米吉  中村隼人  中村歌六  片岡秀太郎 ほか

2015年7月26日(日) 4:00pm  松竹座 1階6列下手



史実を基に書かれた鶴屋南北の大阪と京都を舞台にしたお家乗っ取りと仇討ちの物語。
大名多賀家の本家横領を企んでむ分家の左枝大学之助と、その手下で市井の小悪党、太平次の二役を仁左衛門さんが演じます。

全くストーリーを知らないまま観ましたが、とてもおもしろくて、登場人物は多いですがわかりやすく、場が進むたびに「それからどうなるの?」「次は?」と物語に引き込まれているうちに4時間あっという間でした。
大学之助も太平次も、極悪非道で自分の欲望のためには人を虫けらのように殺します。
たくさんの人が犠牲になる陰惨なお芝居ですが、何て言ったらいいのでしょう、不思議と小気味いいのです。

それは、一にも二にも、仁左衛門さんのカッコよさにつきると思います。
まさに悪の華。
しかもこの悪の華は満開に咲き乱れていて、悪華繚乱といった趣き。不敵な笑みを浮かべて子どもであろうが情け容赦なく刃を向ける大学之助の凄み。
世話物らしい軽やかさを見せながら、邪魔者を次々と手にかける太平次の残酷さ。

「寺子屋」の松王丸のような重厚な風情の大学之助。
いがみの権太のようにそのすらりとした脚まで堪能させる太平次。

どちらも極悪非道の悪人でありながら全く違った二人の演じ分けの鮮やかさ。
そしてそれをまるで「一粒で二度おいしい」的に楽しむことができる客席の私たち。

シビれます。
もう、ほんっとっ、悪い。悪い!(大切なことだから2回言いました)
そして色っぽい。
花道七三で、唇の右側だけ上げてにやりと酷薄な笑いを浮かべる表情とか、
何ごと?というカンジ。吸い込まれるように見入ってしまいました。
あの眼で睨まれたら、殺されるのもやむなしと思っちゃう(違)。


周りの役者さんも皆さんとてもよかったです。

大学之助にだまし討ちにされる本家の重臣高橋瀬左衛門とその仇討ちをする弟の弥十郎は歌六さんの二役。
いかにも気骨ある実直な武士ぶりでした。
瀬左衛門が殺されて倒れたらすぐに弥十郎が袖から出てきて、「えっ目」って驚いたよね。
二役知らなかったこともあって入れ替わったの全く気づきませんでした。客席もちょっとざわめいてたな。

時蔵さんはその弥十郎とともに仇討ちする妻の皐月と太平次の仲間うんざりお松の二役。
このうんざりお松、四条河原の見世物小屋の親玉で蛇遣いで、悪辣でしたたか、だけど太平次にはぞっこん惚れているっていう、まるで本能全快の女性でおもしろかったです。
時蔵さんって不思議な女方さんで楚々とした武家の奥方も鉄火肌の姐御も長屋のおかみさんも、どれも似合ってリアリティがあります。
太平次に殺される井戸の場面も迫力ありました。

この物語、女性は皆しっかり者で健気な人ばかり。
お亀(孝太郎)は、愛する与兵衛の金の工面のために自ら大学之助の妾になるし、太平次の女房お道(秀太郎)は夫の悪巧みを知って身を挺して与兵衛に知らせるし、田代屋の後家おりよ(高麗蔵)は与兵衛に香炉を届けさせるためにわざと勘当するし・・・なのに、この人たちみんな殺されちゃって、その命をかけて守ろうとした与兵衛(錦之助)が何とも弱っちくて頼りなく・・・どないやねん!

まぁ、そんな頼りない与兵衛も死に、太平次は大学之助に殺されて、いよいよ大学之助生き残るのか、このお話は勧善懲悪じゃないのね、と思っていたら、やはりそういうことにはならず、弥十郎夫妻が見事仇討ちの本懐を遂げる訳ですが、そんなあれこれも、仁左衛門さん、歌六さん、時蔵さんが舞台に正座して、「まーず、今日はこれぎり~」というご挨拶で、あの凄惨な殺しの数々も「あー、物語だったんだ」とすべてチャラにできるのが歌舞伎のよいところ。

あー、おもしろかったムード



仁左衛門さん太平次に隼人くん孫七と米吉くんお米が串刺しにされてダブルで海老反りしてる舞台写真 買っちゃった のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1407 わーい(嬉しい顔) vs 1411 ふらふら)
posted by スキップ at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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