2015年05月25日

すべてはリュークの掌の上で 「デスノート THE MUSICAL」

deathnote.jpg開演前、舞台上に大きくデジタル表示される「40」という数字。
それが、39 38 37 ・・・ と一つずつでカウントダウンしていき
やがて「0」に-
「デスノートに名前が書かれて、死ぬまでの40秒だ、と気づきます。


「デスノート THE MUSICAL」
原作: 大場つぐみ   作画: 小畑健
作曲: フランク・ワイルドホーン
脚本: アイヴァン・メンチェル
歌詞: ジャック・マーフィー
演出: 栗山民也
出演: 浦井健治  小池徹平  唯月ふうか  前島亜美  濱田めぐみ  吉田鋼太郎  鹿賀丈史 ほか

2015年5月16日(土) 12:30pm 梅田芸術劇場メインホール 1階6列目下手



2次元で描かれた漫画・アニメ・ゲームなどの世界を、舞台コンテンツとしてショー化した作品を「2.5次元ミュージカル」というのですって。
知らなかった・・・。
「日本2.5次元ミュージカル協会」なるものがあるのも今回初めて知りました。

私は原作は読んだことがなくて、藤原竜也くん主演の映画は前後編とも観ました。
2006年って、もう9年も前だということにオドロキ(←そこ?)


原作は発行部数3,000万部を超える漫画。
2006年に公開された映画も大ヒットした作品。
音楽を手がけたのは、あのフランク・ワイルドホーン。
ナリモノ入りの日本発世界初演ミュージカルです。


舞台は現代の日本。
警察庁刑事局局長 夜神総一郎(鹿賀丈史)を父にもつ夜神月(やがみ らいと/浦井健治)は成績優秀な高校生ですが、「正義」の意味を常に自問していました。
ある日、死神・リューク(吉田鋼太郎)が落とした、「名前を書かれた者は死ぬ」というデスノートを拾います。犯罪者のいない理想の世界を目指し、このデスノートを使って次々と凶悪犯を粛清していく月と、彼の逮捕に立ち上がった天才探偵・L(小池徹平)の心理戦が展開されることになります。

映画版の印象が強い(ワタシ的に)作品ですので、諸々「あれ?」と思うところがなきにしもあらずですが、全体としてはおもしろく拝見しました。一番心に残ったのは楽曲かな。
(最初にこの舞台の情報を知った時、「なんでわざわざミュージカルに?」とも思いましたが。)
ワイルドホーンさんということをすっかり忘れていて、1曲目「正義はどこに」からガツンと「何この曲、すごくいいんだけど」と思ったり(笑)。
しかしながら、よい曲だと感じられるのも、その佳曲をちゃんと歌いこなせて表現できる歌い手あってこそ、で
主演の浦井健治くんや歌唱力に定評のある濱田めぐみさんはもちろん、「ミュージカル大丈夫なのか?」(笑)と思った吉田鋼太郎さんに至るまで、皆さんすばらしかったです。
特に小池徹平くんは、歌手時代(?)はアイドルというイメージだったので、あんなに歌えるとはうれしいオドロキでした。


物語の大筋は私が知っている映画版と大きな乖離はないようでしたが、
どちらかといえば月 vs Lのヒリヒリするような心理戦がクローズアップされていた映画版に対し、
もっと人間的な、たとえば、力を手にすることによって変わっていく人間の恐ろしさや、悪を排除することはたとえ殺人であっても正義、とする群集心理、海砂が月を一途に思う気持ち、その海砂を案じるレムの心・・・そいういったものに重点が置かれたつくりのように感じました。


そんな中、
これは「リュークの物語」である印象をより強く受けました。

リュークが落としたノートから始まり、
リュークの「だけど俺、飽きちゃった」 で終焉を迎える物語。
それまで軽妙にふるまっていたリュークが、「俺、飽きちゃった」と言った時の何者をも寄せつけない冷たい声の響きが耳から離れません。

月とLの闘いなんて、まるでお釈迦様の手のひらの上で暴れていた孫悟空のよう。

吉田鋼太郎さんの個性際立つ好演というのもありますが、この「リュークが支配する世界」感は、物語の方向性(少なくとも原作の世界観)とは少し違っているのではないかなという感触です。


とはいえ、浦井健治くん月と小池徹平くんLが印象薄いということではなく、むしろ熱演。
浦井くん月は、「もともと正義感の強い、ピュアな普通の青年がデスノートを手に入れて落ちていく設定」と何かのインタビューでおっしゃっていましたが、「正義とは」と教師に噛みついたりしていて、最初から他の生徒とは異質で普通ではない感アリアリ(笑)。
でもそんな月が、デスノートを使うことによってどんどん変化し狂気さえ孕んで、表情はもちろん、声のトーンまで変わっていくのはさすがでした。

でも

どこかで観た浦井くん。

シャルル王子で知った浦井健治くんですが、観るたびにまるで別人のように振り幅の広い演技で、いつも驚かされてきました。
でも今回の月には驚かなかった。
浦井くんならこんな月になるだろう、こんな演技をするろう、という範囲内。
それがてよくないという訳では決してなくて、ハイクオリティであるのはもちろんですが。
昨年、「シャーロック・ホームズ」でエリックとアダムの二役を観た時ほどの衝撃はなかったかな。


もう一人挙げるならば濱田めぐみさんのレム。
いつも左目から涙を流しているように見えるメイクも印象的でしたし、
あまり感情を表に出さず、なぜそれほど海砂に執着するのかというバックグランドも語られませんが、
淡々としいていながら海砂のことを思う姿が切なかったです。
いつも迫力ある歌い上げるヴォーカルを聴かせていただくのですが、「愚かな愛」だったかな?海砂への思いがあふれるような静かなバラードもとてもよかったです。


IMG_8852.jpg


いや~、それにしてもちゃんとミュージカルになるもんだ の地獄度 ふらふら (total 1373 わーい(嬉しい顔) vs 1378 ふらふら)
posted by スキップ at 23:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こちらにもこんばんは。
「リュークの物語」、という言葉に深く同意してしまいました。
タイトル通り、これはあくまで死神のノート=死神の物語なんですよね。
吉田さんのまさにはまり役!な存在感に圧倒されました。
歌声も素晴らしくて、濱田さんとの声の重なりも素敵だったので、またぜひミュージカルにも出演して欲しいなあ、と思います。

浦井くんは、確かに突き抜けた感じよりも安定感の方があった気がします。
というか、最初からデスノートと親和性のあるライトだったなあ、と思いました。
柿澤くんのライトも、見ていただきたかったな。
再演されるときには、ぜひご覧になってみてくださいね。
Posted by 恭穂 at 2015年06月02日 21:08
♪恭穂さま

映画を観た時はそれほどリュークに支配されているような感覚ばかりでは
なかったのですが、このミュージカルは吉田鋼太郎さんの怪演もあってか
すべてリュークの意のもとに、という印象がより強かったです。
そうそう、歌も意外にもといっては失礼ながら、お上手でしたね。

「デスノートと親和性のあるライト」
手に入れるべくして手に入れたという感じでしょうか(笑)。
柿澤くんのライトも次の機会があれば、ぜひ拝見したいと思います。
Posted by スキップ at 2015年06月03日 00:20
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