2014年09月14日

人は戦で何を得る 「炎立つ」

homura.jpg「炎立つ」って、あの大河ドラマの?
というのが最初の印象。
渡辺謙さん主演の「炎立つ」は三部作で途中で挫折した記憶があるのですが、オンエアは1993年-1994年。
もう20年も前だったのね。


「炎立つ」
原作・原案: 高橋克彦  
演出: 栗山民也  
脚本: 木内宏昌
音楽: 金子飛鳥
出演: 片岡愛之助  三宅健  益岡徹  新妻聖子  
宮菜穂子  花王おさむ  三田和代  平幹二朗 ほか

2014年9月13日(土) 12:00pm 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール 1階E列下手


物語は大河ドラマでいうと第二部が中心で主人公はキヨヒラこと藤原清衡(片岡愛之助)。
20年間人質となっていたキヨヒラとその異父弟・イエヒラ(家衡/三宅健)に、朝廷から赴任した陸奥守・ヨシイエ(源義家/益岡徹)が国を南北に分割して二人に与えると宣言します。
イエヒラはそれを不服とし、その権力欲が古代神アラハバキ(平幹二朗)の眠りを覚まし、東北の大地を再び戦場へと巻き込んで行きます・・・。


バイオリンの生演奏が奏でられる中、東北の大地にくいを打ち込み、「楽土」を築こうとするキヨヒラの姿が浮かび上がります。
テーマは血で血を洗う争いの虚しさや支配者 vs 被支配者といった民族の問題、「平泉」という地名に込められた平和への祈り、そして、震災から立ちあがる東北への思いも重ね合わせたのでしょうか。館も戦場も、リアルなセットはなく、階段のような段差が左右にずれて変化する舞台。色も極力抑えた中、影絵を使った映像や、血を象徴するような赤い布や綱を効果的に使っている舞台装置(美術: 二村周作)。

4人の巫女がコロスのような役割を果たしていて、その中の一人カサラ(新妻聖子)が予言するような形で物語が進みます。
また、語り部として物部のイシマル(花王おさむ)がキヨヒラの父・ツネキヨの惨殺など過去の事象を語り、母のユウもまた異父兄弟を産んだいきさつを語り、と、いささか「語り手」が多い印象を受けました。
「炎立つ」全部入れようとするあまり説明台詞が多くなった感じ。
私は原作を知っていますが、知らずに観た人は全部拾いきれるのかな。清衡の時代だけに絞ってもよかったのではないかしら。

ただ、原作にはないカサラの存在はこの舞台には効果的でした。
「日の本 みちのく 誰のもの」「人は戦で何を得る?」と歌うカサラ。
カサラから予言を聞き、その運命に逆らうようにアラハバキのもとへ導かれ、アラハバキに魂を売り渡すイエヒラ。
一方、迷い悩み絶望する中で、カサラの言葉に背中を押されているように見えるキヨヒラ。
カサラはアラハバキの手中にある存在。
アラハバキは「神」で、実在するものではなく、キヨヒラの、イエヒラの、心の中の思いの象徴。
つまり、人の行動は運命や神に導かれたものではなく、その人の強い意思によるものだということを表しているようです。
争いも平和も、それを生み出すのは人の心、と。

イエヒラとの戦いが終わり、この地を「平泉」と名づけ、その楽土としての夢を語るキヨヒラにアラハバキは言います。
「100年後の時の裂け目までおとなしくしていよう」と。
現世を楽土とすることができたキヨヒラですが、子、孫、100年先までその意思が正しく受け継がれてこそだとその言葉に込めるアラハバキ=キヨヒラの心。
その願いも虚しく、100年後にはまた戦乱となり滅亡する藤原三代たらーっ(汗)


役者さんは皆よかったです。
愛之助さんは、ちょっと無理してる感が漂った「酒と涙とジキルとハイド」よりこちらの方が断然安定。さすがに口跡よくて台詞はとても聴き取りやすいです。

三宅健くんは、シーンごとにメイクも変えてどんどん邪悪になっていく感じもよく出ていて熱演。
アラハバキの力に操られて自分の意思とは関係なく飛んだりするところ、さすがの身体能力でした。ただ飛んでいるだけじゃなく、ちゃんと操られているように見えたもの。
面差しが音月桂さんに似てると少し思いました。声がちょっと損してるかなぁ。

三田和代さんのしっかりした台詞も、新妻聖子ちゃんののびやかな歌声もすばらしかったし、あまり目立たないけれど、キヨヒラの妻・キリの宮菜穂子さんもとてもよかったです。キヨヒラの足手まといにならないようにと自害するところ、目にいっぱい涙をためていらっしゃいました。

平幹二朗さんアラハバキの存在感は言わずもがな。


キヨヒラの父・ツネキヨが亡霊で出てきて「ハムレット」みたいだなぁと思ったりもしたのですが、全編を通じて何かに似てる、何かに似てると感じていて、それが「イリアス」だと気づきました。
で、調べてみたら、栗山さん演出、木内さん脚本、金子さん音楽、平さんに新妻さん出演、そして観たのも同じ兵芸って、まんまじゃん!
争いの虚しさを訴える主題も重なっています。

蝦夷、アラハバキ、アテルイという言葉が出てくるだけで胸がキュッとなりますが、今回大河ドラマを検索して阿弖流為役が里見浩太朗さんだったことにびっくり目


いつか行ってみたいと思っていた平泉。早く行こうっと のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1249 わーい(嬉しい顔) vs 1259 ふらふら)
posted by スキップ at 22:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
久しぶりの観劇に選んだのがこの作品。

「大河ドラマ」の印象があった私には、あれだけのセリフ劇は少々敷居が高ったかもしれません。移動もあり、最初は若干ウトウト(^^ゞ

でも、観劇後、じっくり振り返ってみると、力強いメッセージが伝わってくる、熱い舞台でした。

そうですね~「ハムレット」のような印象ですね♪
Posted by はぎお at 2014年09月15日 18:43
♪はぎおさま

広島でご覧になったのですね。

大河ドラマになるくらい壮大な物語をあの上演時間に納めるのは
いささか苦しかったでしょうか。台詞・・というか説明多かったですよね。
でもメッセージは一貫していたと思います。

>そうですね~「ハムレット」のような印象ですね♪
でしょ?
「イリアス」も、ご覧になっていたらとても似ているという印象を
受けられたと思いますよ。
Posted by スキップ at 2014年09月15日 23:53
おおお!!イリアス。
私は残念ながらこの「炎立つ」は見られなかったんですが、音楽が金子飛鳥さんと知ったとたんに、すごく見たくなったんですよね~。でも「イリアス」(こちらは見ました)までは、思い至らず。そうだったのか、と、いま目をぱちくり、ですわ。
8、9月は、観劇をやや(やや、ですけど。誰かに突っ込まれる前にw)控えめにしていて、やっと調子が出てきたところです。チケ取りの意欲も復活しました。なんのかんのと言いながら、ちょこまか、あちこちするんですよね、この先も。ま、お仲間ってことで今後ともよろしゅうに♪
Posted by きびだんご at 2014年09月16日 17:28
♪きびだんごさま

作品としては個人的には「イリアス」の方が断然好きでしたが
醸し出す雰囲気がとてもよく似ていると感じました。

>8、9月は、観劇をやや(やや、ですけど。誰かに突っ込まれる前にw
はい。ツッコミは差し控えさせていただきます(笑)。
私も9月はこれまでに5本と結構控えめ(・・でもないかしら?)
なのですよ。
チケ取りは予定外にもいろいろ観たいものが出てきたり、
なかなか悩ましいです。
こちらこそ、今後とも呆れずにおつき合いくださいませね。
Posted by スキップ at 2014年09月17日 00:04
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