2013年11月15日

大空祐飛 鮮烈血しぶきデビュー 「唐版 滝の白糸」

shiraito.jpg唐十郎さんが泉鏡花の「義血侠血」に着想を得て構成、蜷川幸雄さんの演出で1975年に初演された作品。
再演を重ねていて、李礼仙・松坂慶子・冨司純子と演じてきたヒロインを、宝塚歌劇団退団後本格的始動となる大空祐飛さんが演じます。

シアターコクーン・オンレパートリー2013
「唐版 滝の白糸」
作: 唐十郎 
演出: 蜷川幸雄
出演: 大空祐飛  窪田正孝  平幹二朗  鳥山昌克  
つまみ枝豆  井手らっきょ  マメ山田 ほか

2013年11月13日(水) 6:30pm シアターBRAVA! 
1階E列下手


住民はいなくなり取り壊されるのを待つ路地裏のゴーストタウンのような場所で、アリダ(窪田正孝)はお甲(大空祐飛)と待ち合わせます。彼女は1年前にアリダの兄と心中をはかり、一人生き残ったのでしたが、兄との間にできた子どものミルク代にも困ってアリダにお金をせがみます。そこへ幼い頃アリダを誘拐したらしい銀メガネ(平幹二朗)や、兄と一旗揚げようとしていた羊水屋(鳥山昌克)など、胡散臭い人物がからんで物語が展開します。

唐十郎作品は、今年この作品と対で上演された「盲導犬」も、昨年観た「下谷万年町物語」も、決して理解できたとはいい難くあせあせ(飛び散る汗)
それでも、かけ言葉満載で美しいリズムを刻む台詞や、猥雑で負のエネルギーが内包したような舞台には不思議な魅力があります。
そういえば、お甲さんがアリダに「あなたも六本指が・・」って言う場面があったのですが、「下谷・・」と繋がっているのかな。
ワタシ的にはこの「滝の白糸」がこれまでで一番、内容的にはついて行けた(笑)と思います。
しかしながら、ラストでお甲が水芸を披露する、というのは知っていたものの、その後に驚愕。「地獄の黙示録」のテーマ曲としても知られるワーグナーの「ワルキューレの騎行」が大音量で流れ、手首を切ったお甲の赤い血しぶきがアリダの全身に降りかかって顔もシャツも真っ赤に染め上げ、さらにはお甲がクレーンで空中浮遊、そこに重なる爆撃音や銃声・・・血しぶきはともかく、バックに流れる爆撃音って蜷川さんの舞台にはわりとよくある演出だと思うのですが、この作品のテーマに沿っているのかな、といささか混乱。
それまで、反戦とか非暴力といったメッセージは一切出てこなかったように思います。

アリダというのは兄の名前であることが途中で明らかになって、アリダ自身(弟の方・・ややこしい)もお甲に気持ちを寄せているようにも見えたので、未遂に終わった心中が完結するというラストなのかなと感じたりもしていたところでこのBGMの乖離感ハンパなく。これ、原作の戯曲にあるのか、蜷川さん独自のものなのかよくわからないのですが。

大空祐飛さんは、時々まだ男役が抜け切っていないと感じる場面もありました(こちらの観る目がそうなのかもしれませんが)、舞台に立って観客の耳目を惹きつける求心力はさすが。あの登場の仕方は反則じゃない?と思えるカッコよさ。
男に媚びを売るのではなく、毅然として芸を売る水芸人・お甲は祐飛さんの女優デビューとしては適役だったかも。
「万事はこの一事から。それではみなさま、手首の蛇口を外しましょう」とキリリと言い放った声が耳に残ります。

窪田正孝くんといえば、大河ドラマ「平清盛」の重盛役が印象に残っていますが(・・というかそれしか知らない)、膨大な量の台詞に溺れることなく、平さんや祐飛さんと堂々と渡り合っていました。声のトーンやテンションがずっと同じように感じられるのがこれからの課題かな。

そして平幹二朗さん。
銀メガネで終始胡散臭く謎めいていて、しかも悪人で・・・って、平さんが一番この作品の世界観を表していたのではないでしょうか。
朗々とした声の良さは相変わらずで、Somewhere over the rainbow~と少し歌ってくださったのは耳福でした。来年は新感線いのうえ歌舞伎にご出演とか。楽しみ~ムード

一番好きだったのは、小人プロレスのレスラーたちが、「影だと僕たちも大きい」と、夕陽を背にして自分たちの影を追いかけて戯れるシーン。
温かく美しく、そして切なかったな。


唐十郎作品、未だ御し難し の地獄度 ふらふら (total 1091 わーい(嬉しい顔) vs 1100 ふらふら)
posted by スキップ at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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