2013年09月09日

喧嘩上等! 「浪花阿呆鴉」

abogarasu.jpg演出の横内謙介さんは8月の「新・水滸伝」に続いて2ヵ月連続新歌舞伎座登板。
早乙女太一くんが自転車で宙乗りすることも話題の舞台は、新感線+歌舞伎の融合といった趣き。

元禄チャリンコ無頼衆 「浪花阿呆鴉」
脚本・演出: 横内謙介
原案協力: 旭堂南海
出演: 市川月乃助  早乙女太一  載寧龍二  法月康平  早織  田中仁  小早川俊輔  上杉祥三 ほか

2013年9月7日(土) 4:00pm 新歌舞伎座 1階1列センター


元禄時代の大阪に実在した「雁金5人男」と呼ばれた侠客の生き様をモチーフにした物語。
雁金文七(早乙女太一)は、兄弟分の神鳴庄九郎(田中仁)・庵平兵衛(法月康平)・黒鉄仟右衛門(小早川俊輔)らと共に「浪花阿呆鴉」という看板を掲げ、己の腕っ節だけを頼りに喧嘩仲裁を生業として好き放題に生 きていました。一方、江戸から赴任して間もない大坂奉行・朝山彦太郎(市川月乃助)は、同心・小田切直雪(上杉祥三)と手先・布袋市右衛門(載寧龍二)らに命 じ、荒廃した大坂の浄化作戦を展開しようとしていました・・・。

荒唐無稽と書いてハート重視と読んで頂きたい。
前代未聞と書いて闘いと読んで頂きたい。
と横内謙介さんはおっしゃっています。
確かに、元禄時代にチャリンコが出てきたり、若者たちの言葉はフツーに現代語だし、「元ヤン」なんて言葉がポンポン出てきたり。
それでも、衣装を含めて派手で今風の浪花阿呆鴉のメンバーたちと、きちんと着物を着こなして美しい所作で正統派時代劇のお芝居をする月乃助さん奉行を筆頭とするベテラン勢との演技が、不思議な融合を見せる舞台でした。冒頭、大セリが回りながら「浪花阿呆鴉」の4人が登場してくるところなんて、「うわぁ~、スーパー歌舞伎!きゃ~、ヤマトタケル!」と思ったものですが、浪花阿呆鴉さんたちの衣装や髪型の雰囲気とか、ふんだんにあるダンスシーンとか、迫力の殺陣にカキーン、ドスッ、ズバッというサンプラーの効果音まで入っていて、「新感線じゃん!」とも思いました。
横内さんは、先代猿之助さんとスーパー歌舞伎をつくり上げて来られた方ですし、新感線のいのうえひでのりさんはスーパー歌舞伎に影響を受けた方ですので似ているのは当然かもしれません。ですが、時々「ジャーンジャーンジャジャジャジャーン」っていう「五右衛門ロック」の五右衛門登場シーンの音楽が聞こえたような気がするのは空耳かしら?
客席通路を使った殺陣やその時舞台に現れる鏡は8月の「新・水滸伝」と同じでしたね。

いわゆる不良少年達があるきっかけで同心の配下として働くようになるあたり、「何の因果かマッポの手先・・」の「スケバン刑事」思い出しました(古っ)。
暴れて世間を騒がせていた浪花阿呆鴉のメンバーたちが、人に感謝される喜びを知り、正義のためにその力を使うことに目覚め、その結果として権力争いに巻き込まれて御法の下に裁かれざるを得なくなるという展開はドラマチックで切ないけれど、後ろ手にお縄をかけられ、一人ずつ名前を呼ばれて刑場へと赴く5人が花道を去っていく姿は晴れやかで達成感と誇りに満ちているように見えました。

パララパララ~という音とともに登場するチャリンコは、まぁ、違和感がなくもないですが、滑らないのかしら、と心配になるくらい舞台を横切る競輪のバンクのような大きな斜面も花道も全力疾走。若者たちは実に活き活きと、まるで時空など超えたように、あの時代を生きていました。
早乙女太一くん以外は全く存じ上げない(ゴメンナサイ)浪花阿呆鴉のメンバーですが、長身、イケメン揃いの若者たちで、パワーもあって、いかにも時代を駆け抜けている疾走感がありました。
彼らがよかったので、太一くん文七だけが突出することなく、若者の群像劇として成り立っていたと思います。

が、殺陣となるとやはり別物。
どうしても目が惹きつけられずにはいられない際立つスピードと美しさ。
太一くんの殺陣があまりに速過ぎて周りの人たちがついて行けないことがあるのが素人目にもわかります。お稽古の様子を綴った「早乙女太一のスリッパ」というタイトルの横内さんのブログにもその一端を垣間見ることができます。(↑ これ、すごくいい記事だからぜひ読んでいただきたい)
決して口跡がよいとは言えないのですが、あの声の魅力的なことは相変わらず。
ずい分やさしい口調で話すようになったなぁ、という印象。

最期にお裁きの場へと向かう前に、「送って行ってやるよ」(←ニケツで行くぜ、って言ってたわーい(嬉しい顔))とお露ちゃん(早織)を乗せて星空の下疾走する太一くん文七のチャリンコは、空にも舞い上がりそうでした。
・・・ほんとに空に舞い上がった宙乗りはワタシ的には「わざわざチャリンコでなくても」とちょっと思いましたが。

今だに段治郎さんと呼んでしまう市川月乃助さんは江戸から“転勤”してきた大坂奉行。
べらんめぇの江戸っ子口調もキマッて、こんな月乃助さん、久しぶりに観た気がしました。
ひと際聴き取りやすい台詞、一つひとつ決まる型。キレ者で、善悪を見通す目を持ち、そして上に立つ者の厳しさも兼ね備える・・・見事なお奉行様ぶりでした。
「俺ァ、市川月乃助なんて役者はでぇキレェだ。でも早乙女太一はデェ好きだ」なんてお約束の台詞で客席を沸かせていました。
花道スッポンから登場してスッポンから去って行ったり。生きてる人間の役ですが。

こちらが“キャリア組”なら、ノンキャリの代表は上杉祥三さんの同心・小田切直雪。
上杉さん、夢の遊民社のイメージが強いですが、関西ご出身なので大阪弁も達者にこなし、天下の御法と若者たちの狭間で苦悩する役どころを説得力を持って演じていました。

一幕に出てた悪人がアクションクラブの前田悟さんに似ているなぁ、と思って幕間にポスター見に行ったら確かに前田さんで、しかもアクション監督も前田さん、殺陣指導はACの田尻茂一さんと前田さんでした。

もう一人、鮮烈な印象を残したのは市川猿琉さん。
最後の最後に登場する幕府転覆を謀る悪の権化・大坂城代 青山左全。白塗り隈取り紅い舌のいかにも歌舞伎の悪役メイク。「陰陽師 安倍晴明が末裔」と言ってました・・・のわりにはあっさりヤラレちゃったけどねぇ~。花道で仏倒れやってました。あそこ、もっと拍手するところだと思いましたが。

カーテンコールはスタンディングになりました。
隣のおばさま方が「たいち~」って声かけたら、珍しく目線送ってました。おかげで私も一瞬目が合っちゃった・・・ような気がしました(笑)。
ま、最前列で、目の前50センチくらいのところに太一くんいるだけで舞い上がっちゃってたのですがムード

IMG_8068.jpg残念なことに1階2階ともかなり客席はかなり空席が目立ちました。全体で2/3入ってないかな、という感触。観客が少ないと拍手の熱量も下がるような気がして。切ないなぁ。


ロビーには写真撮影用のこんなバネルも。
太一くんがデザインしたという数量限定 鴉ストラップ売ってたけどガマンして買わなかったワタシ、えらいっ! のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1157 わーい(嬉しい顔) vs 1163 ふらふら)
posted by スキップ at 23:12| Comment(2) | TrackBack(1) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰してます!
で、やっだやっだすっごいニアミスだったんですねっ!
(*><*)
なんと、7日昼の部を拝見してました。
( ̄m ̄)

私も埋まり切らない客席に切なさは感じつつ…。でも、見終わられた客席の熱気に我が意を得たかのように
嬉しく♪

上杉さんは、brokenシリーズが大好きだったんです。
久々に大舞台で見て、目線と心とを交わし合って芝居を
する姿に胸が熱くなりました。

月乃助さん、さすがの上手さと巧さで惚れ惚れ。

そして、太一君はスペシャルだなぁと何度目かの再認識
でした。
(*������*)
私にとって形はもちろんですが、心も揺さぶられる表現者
なんだよなぁと……。

横内さんブログご紹介、ありがとうございます!
すっごい興味深かったです。

来月は演舞場!
後半で二回、観ちゃう予定です。
p(^^)q
Posted by midori at 2013年09月12日 08:32
♪midoriさま

きゃ~ん!同じ日の昼の部にっ!!
お目にかかりたかったです~。
ワタシ、その日時間あったから早く行くこともできましたのに。
ほんと残念っ!

この舞台の太一くん、ほんとよかったですね。
7月に中日劇場で観た「神州天馬侠」もとてもよかったので、
ワタシ的に太一くんは2作連続クリーンヒット。
少し大人の階段上った感じです(どんな上から目線)。
横内さんのブログにも、「決して殺陣だけじゃなく、
心のある丁寧な芝居もするんですがね」と書いてありましたね。
横内さんが驚かれたように、こうしてまた新しい出会いがあって、
太一くんの世界が広がることがとてもうれしいです。
願わくば、まだ太一くんの舞台を観たことがない人にも
たくさん観ていただいて、客席も満員になるともっと
うれしいのですが。

演舞場、ワタシは10月5日の夜に行きます♪
Posted by スキップ at 2013年09月12日 23:46
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若さあふれる舞台
Excerpt: 私、ハッキリ言って早乙女太一というい俳優を知らなかったし勿論名前は知っていましたよだけど舞台は観る機会が無かったわけで、丁度半額鑑賞の募集に当たり大阪新歌舞伎座に行って来ました。題名を「浪花阿呆鳥」 ..
Weblog: 夢・つれづれに
Tracked: 2013-09-11 15:46