2012年12月10日

見たか!文楽の底ヂカラ 通し狂言「仮名手本忠臣蔵」

kanadehon1.jpg11月文楽公演 通し狂言「仮名手本忠臣蔵」。
10:30開演、20:52終演で、休憩は第1部、第2部ともに25分と5分の2回(←5分ってあせあせ(飛び散る汗))、第1部と第2部の入れ替え時間も25分って、どんな耐久レースと思っていたのですが、技芸員さんたちの熱演に時間も忘れる思いで、忠臣蔵の世界にどっぷり浸りました。

平成24年度文化庁芸術祭主催
11月文楽公演 通し狂言「仮名手本忠臣蔵」
第一部
大  序   鶴が岡兜改めの段/恋歌の段
二段目   桃井館本蔵松切の段
三段目   下馬先進物の段/腰元おかる文使いの段/殿中刃傷の段/裏門の段
四段目   花籠の段/塩谷判官切腹の段/城明渡しの段
五段目   山崎街道出合いの段/二つ玉の段
六段目   身売りの段/早野勘平腹切の段  
第二部
七段目   祇園一力茶屋の段
八段目   道行旅路の嫁入
九段目   雪転しの段/山科閑居の段
大  詰   花水橋引揚の段

配役はこちら

2012年11月23日(金) 10:30am 国立文楽劇場 2列センター/
                 4:30pm 3列上手


「文楽の底力を見せる」とばかりに総力結集した舞台。
どの場面もとても面白く拝見しましたが、特に強く印象に残ったのは、四段目、七段目、九段目。四段目の「塩谷判官切腹の段」は歌舞伎で観てもその厳粛な雰囲気に背筋の伸びる思いがしますが、大夫、三味線ともに音はなく、ただ人形の動きだけで粛々と進む場面は、客席からもコトリという音もせず、ピンと張り詰めた空気が痛いほどでした。
豊竹咲大夫さんの語りと鶴澤燕三さんの三味線がまたすばらしくて。
力弥の「今だ参上仕りませぬ」でもかなりウルウルだったのに、由良助が駆けつけて来た時、隣の人にガン見されるくらい号泣してしまいました。

この由良助が駆けつける場面といえば思い出す2008年 平成中村座の「仮名手本忠臣蔵」
仁左衛門さんの由良之助と勘三郎さんの塩冶判官がこれ以上ないというくらいすばらしく、またいつか、と楽しみにしていましたが、今それは叶わぬ夢となり・・・たらーっ(汗)

物語の面白さはもちろん、舞台装置の美しさも印象的でした。
三段目の「腰元おかる文使いの段」から「殿中刃傷の段」は、幕を引かず観客の眼前で場面転換されるのですが、現れた松の廊下の端正で凛とした美しさに目を見張りました。その前で多くの人の運命を狂わせる事件が起こるに相応しい荘厳で怜悧な襖絵。

七段目は先に幕見していたのですが、もう一度観てもたっぷり楽しむことができました。四段目の「判官切腹」に続いて登場の豊竹咲大夫さん。由良助を語ると声や口調がとても吉右衛門さんに似て聞こえました。
この段は大夫一人一役になっているのですが、平右衛門の英大夫、おかるの呂勢大夫・・・と聴き応えたっぷりでした。
そして、何度観ても簑助さんの遣うおかるちゃんがね~。艶やかで色っぽくもありけなげでもあり、どうしてもあのおかるちゃんに目が吸い寄せられてしまいます。

この場面、幕見の時、鷺坂伴内こと竹本三輪大夫さんが、「文楽の予算とかけて」「庭の手水鉢ととく」 そのこころは~「凍結されてはたまりません」なんてアドリブ言ってましたが、この日は、「先ほど抜いた錆刀とかけて、我らを語る大夫ととく」 そのこころは、「身は真っ赤(三輪、松香)」 とおっしゃってました。日ネタだったのね(笑)。

そして九段目。
戸無瀬・小浪 母娘 vs お石の対決、それに続く本蔵の覚悟と由良助の情がとてもドラマティックで、芳穂大夫 → 嶋大夫 → 呂勢大夫と繋いでいく語りは圧巻。
特に嶋大夫さん。戸無瀬の「でかしゃった でかしゃった」で泣いたの初めてです。あんなに毎回目一杯の熱演で、血管切れるじゃないかと心配になるくらいでした(笑)。
呂勢大夫さんは、竹本千歳大夫さん休演のための代役で、六段目、七段目に続いての登壇。本当にエネルギッシュな語りを聴かせていただきました。
ここ、本蔵の吹く尺八の音色も心にしみたなぁ。

通し狂言だったお陰で、「仮名手本忠臣蔵」の面白さを堪能。
もちろん、忠義の家臣による主君の仇討ち、という本筋はあって、そこに織り込まれる運命に翻弄される人々、心ならずも命を落とす男たち、夫婦や親子、兄妹の情といった人間ドラマが心に迫りました。
それと同時に、大夫、三味線、人形の三業一体という文楽の魅力もたっぷり味わわせていただきました。七段目のように、いつもの文楽とは違った面も楽しむことができて、文楽にまた一歩、心を寄せることができたと感じられた公演でした。


出演者はもとより、観た方も達成感アリアリ のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1026 わーい(嬉しい顔) vs 1030 ふらふら)
posted by スキップ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スキップさん、こんばんは!
通し狂言、お疲れさまでした。
こうして全段のタイトルが並ぶと壮観ですねー。
でも、通しで観るからこその楽しみや見えてくるものがあったようで、
記事を読ませていただいて、わくわくすると同時に、
なんだかとっても羨ましくなっちゃいましたv
魅力に溢れるおかるちゃん、私も観てみたかったです。
というか、いつか観たいです!

「あやつられ文楽鑑賞」も読破されたようでv
文楽に精通されたスキップさんが読んでも、
私のような初心者が読んでも面白いって凄いですよね!
三浦さんにはまた是非文楽の、あるいは歌舞伎や演劇界を舞台にした本を書いて欲しいなあ、と思います。
Posted by 恭穂 at 2012年12月11日 22:25
♪恭穂さま

ありがとうございます。
元々「仮名手本忠臣蔵」好きではあるのですが、
物語そのものも、文楽と歌舞伎の違いなども楽しむことが
できて、本当によかったです。
ちょっと腰にはきましたけどね~(笑)。

蓑助さんのおかるちゃんは、どこが違うのだろう?と思う
のですが、ほんとに可愛くて色っぽくて、とてもすばらしいです。
恭穂さんにもぜひ一度観ていただきたいです。

「あやつられ文楽鑑賞」もお陰さまでとてもおもしろく
読ませていただきました。
いや、文楽には精通してはいませんが(汗)。
三浦しをんさんは、この公演中にも朝日新聞大阪版に
「大変な事態です。見逃す手はない」と大絶賛の記事を
書いてくださったのですよ。
Posted by スキップ at 2012年12月11日 23:39
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