2012年04月09日

平成中村座 三月大歌舞伎 夜の部

IMG_5365.jpg勘三郎さんの雪だるまで機嫌よく打ち出された後は、会場でお目にかかったcocoさんと近くのカフェへ。
なんだかお友達の家のリビングのような、不思議な雰囲気のカフェで、短い時間でしたがほっこり楽しいおしゃべりタイムの後、この日は昼の部のみのcocoさんとお別れして再び中村座へ戻りました。


中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露
平成中村座 三月大歌舞伎 夜の部


2012年3月18日(日) 4:00pm 平成中村座 平場松席10列センター


一、片岡十二集の内 傾城反魂香
土佐将監閑居の場

出演: 片岡仁左衛門  片岡亀蔵  坂東新悟  市川猿弥  中村勘三郎 ほか

師匠である土佐将監(片岡亀蔵)になかなか認めてもらえない絵師 浮世又平(片岡仁左衛門)はその最大の理由が自らの吃音にあることに絶望して、女房おとく(中村勘三郎)とともに死を決意します。最期に魂を込めて石の手水鉢に自画像を描くと、奇跡が起こり・・・。これまでいろんな役者さんで観てきた「吃又」ですが、仁左衛門さんの又平は初めて。しかもこの演目が「片岡十二集」だということも今回初めて知りました。
仁左衛門さんは吃音で不遇の又平にはスマート過ぎるかなぁ、と思っていたのですが、そして実際、見た目はその通り垢抜けていたのですが、不器用な又平の苦しみや弟弟子に追い越される焦燥感、そして自らへの絶望感などの表現がひしひしと伝わってきます。仁左衛門さん又平の話し方は、あえて吃音を強調することもなく、言葉の出だしだけ「どもる」という感じなのですが、それが却ってリアルに感じられました。「ガラスの仮面」で『笑う』という課題の時、他の人たちがお腹をかかえて大笑いする演技を披露する中、北島マヤだけが口元だけでそっと微笑む、というシーンが心に浮かびました。
そして、私にとっての又平の重要ポイント-将監に命じられて見張りをする場面。4年前の浅草歌舞伎で勘太郎くん(当時)の吃又を観た時、花道の入口でまばたきすらしないで見張る又平の懸命さに心打たれたのですが、仁左衛門さんもまばたきしない又平でした。

その又平を見守る女房 おとくの勘三郎さんがすばらしい。
夫の分までカバーしようと必死にしゃべってヒンシュクを買うユーモラスな部分も含めて、全身から又平を包み込む愛情が満ちあふれているよう。「手も二本、指も十本・・・」というくだんの台詞も、又平の両腕をさも愛おしそうに、心から大切なものだというように見つめて言う台詞に思わず落涙たらーっ(汗) 又平が手水鉢に描いた絵に起こった奇跡に驚くあまり筆を握ったまま固まってしまった指を一本一本慈しむようにさする仕草が胸を打ちます。
だから、この二人に起こった奇跡が本当にうれしくて、又平がおとくの肩を抱いて見せる晴れやかな笑顔が目に焼きついて離れません。

最後の幕外の引っ込み。
おとくが又平に「こうやるのよ」と歩き方を教えて、ちょっと照れながら、それでも本当に無邪気な子供ように弾む笑顔を浮かべてやってみせる又平。そんなふうに前を行く又平を、後ろについて見守りながら、こらえきれないといったふうに涙をぬぐうおとくたらーっ(汗) 勘三郎さん演じるこのおとくが大好きです。


二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上

勘九郎さんを中心に、上手に勘三郎さん、我當さん、進之介さん、海老蔵さん、仁左衛門さん。下手側は七之助くん、笹野高史さん、亀蔵さん、扇雀さん。
二月新橋演舞場の口上でも感じましたが、列座する役者さんが皆さんほんとに子どもの頃から勘九郎さんを知っていて、その成長を見守ってきた方たちだから、とても温かい雰囲気に包まれています。しかも勘三郎さんが始めた中村座というホームグラウンド、役者さんの息づかいも聞こえそうな芝居小屋の空間の中で、ほんとにアットホームな口上でした。

歌舞伎以外の役者さんが列座されることは珍しいという笹野高史さん。
「私が小さい頃・・私にも小さい頃はあったんですよ・・初めて知った歌舞伎役者さんの名前が勘九郎。それ以来ずっと親しんできたのにある日突然勘三郎になっちゃった。「勘九郎さんはいなくなっちゃうの?」と聞くと、何言ってんだいというような顔で「あたしはずっとここにいますよ」というツレない返事でした。あれから苦節7年、やっと勘九郎が復活しました。今夜は、新・勘九郎さんに「勘太郎はどうなるの?」と聞きたい」とちゃんとオチまでつけた口上で客席の笑いを誘っていました。

仁左衛門さんは、「夜の部で勘九郎さんが演じる御所五郎蔵は今回私が教えましたが、元々は17代目勘三郎さんに教わったもの。まだまだ自分も勉強中の身ですが、教わったことを勘九郎さんに伝えるのが自分の役目だと思っています。そしていつか今度は孫の千之助に勘九郎さんから教えてもらいたいと思います。」とおっしゃっていました。

勘三郎さんは、「仁左衛門のお兄さんは最初出る予定じゃなかったのに『わしも出るでぇ』とおっしゃってくださって、本当に有り難い。縁の深い松嶋屋さんと、またこちらも縁の深い成田屋さんと、そして縁もゆかりもない笹野高史と・・・」で場内爆笑。私のすぐ後ろの席には某有名芸能人がお二人(別々に)いらしたのですが、お二人とも大ウケでした。

勘九郎さんはとても神妙な面持ちで、一つひとつの言葉を噛みしめるように話す真摯な姿がほんとに「らしく」て、もうずーっと応援したくなります。


三、曽我綉侠御所染 御所五郎蔵
出演: 中村勘九郎  市川海老蔵  中村七之助  笹野高史  中村扇雀  片岡我當 ほか
                

幕間外に出て戻って来たら、仮花道ができていました。しかも私の席のすぐ横の通路に。華やかなな廓街・吉原仲之町。子分に囲まれた男伊達の御所五郎蔵(中村勘九郎)と浪人を引き連れた星影土右衛門(市川海老蔵)の一行がバタリと出会います。これまでのいきさつから互いに恨みつらみを言い合い、一触即発のムード。夫を支えるため今は傾城に身を落とした五郎蔵の妻・皐月(中村扇雀)に横恋慕する土右衛門は皐月を身請けすると言い放ちます・・・。
7年ぶりの再会だ。恨みつらみの数ある二人だけに言いたいことも数え切れず。

序幕「仲之町の場」。
客席通路最後部から五郎蔵、花道から土右衛門が一行を引き連れて登場。夜の部は松席のいちばん後ろだったのですが、ちょうど真横が仮花道の昇り階段で、私のすぐ側で階段を昇る勘九郎さん五郎蔵のふくらはぎをガン見目
両花道にそれぞれの一党が勢揃いする場面は本当に華やか。キリリと粋な五郎蔵に対してどことなく退廃的な雰囲気が漂う土右衛門。二人ともとてもいい男っぷりでどちらを観ていいか困っちゃうくらい。目がが4つほしい~ムード
間に客席を挟んで両花道で対峙し、台詞で渡り合う五郎蔵と土右衛門。間に客席はあるけれど、狭い芝居小屋ならでは二人の間が近く、とても臨場感がありました。

土右衛門に迫られ、偽りの愛想尽かしを言う皐月が哀しい。その皐月の言葉をまんまと信じて、皐月を殺そうとする五郎蔵、そんなボタンのかけ違いが招く悲劇。
「晦日に月の出る廓も闇があるから覚えていろ」という五郎蔵の名台詞を決まっていましたが、そんなにタンジュンでいいのか五郎蔵。
皐月の先輩?にあたる逢州の七之助くんがとてもよかった。艶やかで華やか。こんなに美しくして品格のある傾城なればこそ身分の高いお殿様の愛妾となるのも納得です。しかも台詞はしっかり。二人の男を向こうにまわして有無を言わせない押し出しもあって、見事な立女形でした。そんな逢州だからこそ、五郎蔵の殺しの場面が一層際立ちます。こんな表現はあまり適当でないかもしれませんが、まるで絵のように美しい殺しの場面でした。

笹野高史さんの花形屋吾助が五郎蔵の真似?花道で見得を切ったり六方を踏んだりして引っ込む場面が楽しかったです。


三、元禄花見踊
出演: 中村児太郎  中村虎之介  中村鶴松  中村宜生  中村国生


次代を担う若手・・・というか中村屋さん、成駒屋さんの御曹司たちによる明るくて華やかな舞踊。児太郎くんと虎之介くんが女方でした。中では鶴松くんのきびきびした踊りがひと際目をひきましたが、贔屓目かしら?(笑)


IMG_5369.jpg平場の通し観劇は疲れるかなと思っていたのですが、座席が端っこだったり後ろがあいていたりで比較的自由に姿勢を変えられたことも幸いし、上演時間も少し短めで、何より舞台がどの演目もほんとに楽しいので観ている間は全く疲れも感じず、1日があっという間でした。

こちらの画像は小屋の外から見た平成中村座 with スカイツリー。今ごろは桜も綺麗なんだろうな。


何度も通えるなら桜席でも観てみたかったなぁ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 908 わーい(嬉しい顔) vs 911 ふらふら
posted by スキップ at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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