2012年04月02日

その名はカルリート 「ドン・カルロス」

carlos.jpg宝塚歌劇 雪組公演
グランド・ロマンス 「ドン・カルロス」
~シラー作 「スペインの太子 ドン・カルロス」より~
脚本・演出: 木村信司

グランド・レビュー 「Shining Rhythm!」
作・演出: 中村一徳

出演: 音月桂  舞羽美海  早霧せいな  未涼亜希  
緒月遠麻  愛加あゆ ほか

3月17日(土) 3:00pm 宝塚大劇場 1階6列センター
3月31日(土) 3:00pm 宝塚大劇場 1階8列上手


「ドン・カルロス」
ヴェルディのオペラで有名な物語ですが、宝塚版はそのプロットを借りて別の物語に仕立てられていました。
16世紀後半、無敵艦隊を擁し世界最強と言われたスペインが舞台。国王・フェリペ二世(未涼亜希)の嫡子ドン・カルロス(音月桂)は貴族たちからは少し変わり者と言われていますが、飾らない性格で家臣や民衆たちから慕われています。実の母の死後、父の後妻となったのはかつてドン・カルロスの婚約者であるイサベル王妃(沙月愛奈)ですが、彼が本当に愛しているのは王妃付きの女官で幼なじみのレオノール(舞羽美海)でした。身分違いの二人は互いに寄せ合う想いを心に秘めていました・・・。オペレッタ風のコーラスがふんだんにあって、スペインの騎士の衣装は豪華、物語もおもしろく拝見しましたが、少し詰め込みすぎな印象。
ドン・カルロスには、レオノールとの身分違いの恋、父親との確執、親友だと信じていた友の裏切り、異端者疑惑、元婚約者である母との不倫疑惑・・と問題山積み(笑)。おまけにポーザ侯爵の行動の基となったネーデルランド留学時代のエピソードとか、エボリ公女とのいきさつとか、詰め込み過ぎでしょう。それらを最後に一気にハッピーエンドに持っていくので、何だか物語がご都合主義の薄っぺらいものに見えてしまいます。たとえば、レオノールとの身分違いの恋だって、それまであんなに苦悩していたのに、国王のひと言で解決するなんて、それなら今までもっと本気で父親と向き合えよという感じ。

とはいうものの、憂える王子役がぴったりの音月さん。トップ就任後大劇場3作目でようやく本領発揮という感じです。明るく強く分別もあって頭もいいカルロスはとても魅力的。歌も相変わらずとてもお上手でほんとに気持ちや言葉が伝わってくる歌唱。中でも♪レオノール レオノール と愛する人を想って歌うメロディは耳に残ります。幼い頃と同じように互いを「ノーラ」「カルリート」と呼び合い、心を通じ合わせていたいカルロスに、あくまで「殿下」「殿下」と応じるレオノール。それを見て寂しそうな微笑を浮かべて「そうですね・・・」とまた敬語に戻るカルロスが切なかったです。誰よりもレオノールに「カルリート」と呼んでほしかったのではないかな。
とても印象的だったのはカルロスがマドリードの教会で集まった人々に施しをする場面。舞台一面に階段状に設けられた教会の座席に座った民衆とともに机を打ち鳴らし足踏みをしてハンドダンスをして一気に魅了するカルロスの笑顔がとてもやさしく、また楽しそうに踊る民衆の一糸乱れぬダンスに雪組クオリティを見ました。

舞羽美海のレオノール。かわいいし、芯が強くて聡明な感じもよく出ていました。よく通る声で台詞もとても聞き取りやすいのですが、声の質が少し音月さんに似ていて、二人で会話する時に男役、女役の差があまり感じられないこと、一生懸命声を張って話す時に台詞が一本調子になってしまうことが気になりました。

ポーザ侯爵の早霧せいなさんは前作「仮面の男」でも同じような雰囲気の役で、二番手の宿命とはいえ、もっと別のカラーの役を見たいと思いました。
国王・フェリペ二世の未涼亜希さんは文句なくカッコいい。威厳があって強そうでお髭もお似合いです。

キムシン先生のくせ?「私がいいと言うまで立たないでほしい」というカルロスの台詞をはじめ、「聴いてほしい」とか、いろんな人の台詞にやたら「~してほしい」という語尾が出てくるのが耳に障りました。キムシン先生のくせ?

「Shining Rhythm!」
「光」「影」「ときめき」「喜び」、そして「情熱」「躍動」をテーマに、パワフルかつ幻想的に織り成す、ダンシング・ショー・・・と公式HPの作品解説にありました。
全体としてとても群舞が多いショーという印象。それを雪組のよく揃ったエネルギッシュなダンスで息つく暇もなく見せてくれるので楽しくてあっという間に終わってしまいます(笑)。

中でも印象に残ったのは、第5章「光と影」。未涼亜希さん中心の黒い衣装の影のダンサーのダンスの後、音月桂さん、早霧せいなさんたち、明るい黄色の衣装をまとった光のダンサーたちが歌い踊り、最後にまた影のダンサーも加わって・・という場面。いや~、やっぱり悪の魅力というか、影のダンサー軍団、カッコイイ!振付はKAZUMI-BOYさん。なるほどね~。

この場面で音月さんは「光」、つまり悪に対して善という割り当てで、それはトップスターとして当然なのですが、プロローグや中詰で髪をリーゼント風にしてウィンク飛ばしたりする彼女を観ていると、少年っぽくて端正なビジュアルとは逆に、オラオラ系の男っぽさのある人なのではないのかしら、と思いました。王子キャラばかりではなく、ジゴロとか、冷酷な悪人とか観てみたいです。

もう一つ好きな場面は何と言ってもフィナーレの大階段に黒燕尾の男役が勢揃いするダンス。♪パダン パダンの曲に乗せたクールなダンス、カッコよくて、各組で観てみたいと思いました。

舞羽さんはトップ娘役として要所要所に登場して、衣装も一人だけ金だったり白だったりするのでもちろん目立ってはいるのですが、ここと言って印象に残る場面がありません。それより愛加あゆさんの方がバラエティに富んだ役で歌もダンスもショーでは目立っていた印象です。

ロケットは彩凪翔さんがロケットボーイとして登場してセンターで一緒に脚を上げて踊る珍しいパターン。そしてフィナーレのエトワールは透水さらささん。美声を響かせていて、このところ男役のエトワールが続いていたので、やっぱりエトワールってこうよねぇ~と思いました。

3月17日は某航空会社の貸切公演で、開演前には飛鳥裕組長、終演後には音月桂さんのご挨拶がありました。
この音月さんのご挨拶がとても上手で感心。「私も巡業やプライベートで飛行機に乗ることがありますが、『安心と信頼の翼』という言葉を聞くと・・」に始まり、飛行機で旅することが人の気持ちをワクワクさせるように、自分たちも皆様の心を明るくするような舞台をいつもお見せしたい、とうまく繋げていて、いつもの決まり文句、「これからも〇〇航空様と宝塚歌劇を、特に雪組をよろしくお願いします」の「特に雪組を」の言い方がとてもチャーミングで、客席からも温かい笑いが起こっていました。私がこれまで何度か聞いたトップさんのご挨拶の中でもイチバンでした。


でも2回目に観た時は「ドン・カルロス」終盤で睡魔に襲われ「異端審問」の場面の記憶がありませんあせあせ(飛び散る汗) の地獄度 ふらふら (total 905 わーい(嬉しい顔) vs 908 ふらふら)
posted by スキップ at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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