2011年10月16日

亀治郎さん猿之助襲名前哨戦-「當世流小栗判官」

toseioguri.jpg先ごろ猿之助襲名が発表された市川亀治郎さんが当代猿之助さんの当たり役に初役で挑む「當世流小栗判官」。
澤瀉屋さん総出演のオールスターキャストに愛之助さん、獅童さんという花形を加え、さながら襲名前哨戦といった趣き。

観るまで猿之助さんの「小栗判官」を観たことがある、と思っていたのですが、私がかつて観たのはスーパー歌舞伎「オグリ」の方でした。いや、記憶に残っているのは2年前宝塚歌劇で観た「オグリ!」かしら。

芸術祭十月花形歌舞伎 夜の部
猿之助四十八撰の内
「通し狂言 當世流小栗判官」 
市川亀治郎 市川笑也 天馬にて宙乗り相勤め申し候

出演: 市川亀治郎  市川笑也  市川右近  市川猿弥  市川笑三郎  市川春猿  
    坂東竹三郎  中村獅童  片岡愛之助  市川段四郎 ほか

2011年10月9日(日) 4:30pm 新橋演舞場 1階4列下手


休憩を2回挟んでの3幕構成。
1幕目は物語の発端。
常陸国の領主・横山郡司(市川寿猿)が国を狙う弟・横山大膳(市川段四郎)とその二人の息子(市川猿弥・坂東薪車)によって命を奪われ、娘の照手姫(市川笑也)もさらわれてしまう場面に始まり、大膳の屋敷へ将軍の使者としてやって来た照手姫の婚約者・小栗判官(市川亀治郎)が荒馬の鬼鹿毛(おにかげ)を乗りこなすまで。
第2幕は琵琶湖畔にある漁師浪七の家が舞台。
元小栗判官の家臣である漁師・浪七(市川亀治郎)が、女房のお藤(市川春猿)の兄・鬼瓦の胴八(市川右近)と仲間たちから照手姫を奪い返す奮闘を描きます。
第3幕では将軍家の重宝と照手姫を探しながら流浪する小栗判官(市川亀治郎)が、ひと目惚れされ祝言をあげることになったお駒(市川亀治郎)の屋敷で下女として働く照手姫と再会。かつて姫の乳母であったお駒の母・お槙(市川笑三郎)が忠義大事のためはずみでお駒を手にかけてしまい、お駒の激しい怨念により顔は醜く変わり、足腰も立たなくなる判官。
そして大詰。
照手姫が判官を車に載せて曳き、熊野の峯 遊行上人(片岡愛之助)の霊場で元通りの体に戻してもらい、神馬の絵から抜け出した白馬に乗って空高く駆け上り、常陸国華厳の大滝で見事大膳を討ち果たすのでした。判官と照手姫のピュアラブ?を軸に、数奇な運命を辿る判官のまわりに起こる諸々を、善悪織り交ぜてスペクタクルに描いています。
宙乗り、早替り、アクロバティックな馬の碁盤乗り、怨念あり敵討ちあり、白馬が空を翔けたり大雪が降ったり・・・歌舞伎の楽しさ・見どころ満載の舞台。

2幕は「俊寛」みたい、とか「逆櫓」や「碇知盛」を思い起こさせる場面もあったり、3幕のお駒ちゃんの怨念と連理引きには「かさね」を思い浮かべたし、遊行上人&お坊さんダンサーズの力強い踊りには「達陀」を思い出したり、と歌舞伎のいろんな演目がダイジェスト的に盛り込まれ、猿之助さんの歌舞伎への思い入れや観客へのサービス精神に溢れた演目で、長いですが飽きることなく、最後まで楽しんで気持ちよく打ち出されました。

端正な小栗判官・男気の浪七・可憐なお駒の三役を演じた亀治郎さん。
お駒ちゃんの時は判官との早替りも見せてくれます。台詞や動きのキレのよさはピカ一だし、少し線が細いかなと思った浪七もさすがに最期の場面は見せてくれます。
気負いが見られることはありませんが、それでも澤瀉屋を背負っていくという気迫が感じられる、堂々たる座頭ぶりでした。

鬼瓦の胴八の右近さん。
達者な関西弁を操り、憎らしい胴八でした。右近さんは、先月観た松竹座の「幸助餅」の関取・雷もとてもよくて、元より口跡のよい役者さんですが、時として台詞、所作ともに“プチ猿之助”のように感じることがあったものの、言い方はヘンですが何だか憑き物が落ちた感じ。亀治郎さんの猿之助襲名が正式に発表されて、何だか肩の荷がおりたのかな。

2幕でその胴八にからむ橋蔵の獅童さん。
笑わせていただきました。「これでは役が悪過ぎる」なんて言って、あそこで細マッチョ♪を観られるとは・・・。歌舞伎的にこれでいいのか、と少し思いましたが。
大詰では上杉安房守で凛々しく美しい武将姿も披露してくれています。

亀治郎さんのお駒ちゃんはカワイイし笑也さんの照手姫はお美しいですが、女方さんで印象に残ったのは、笑三郎さん&竹三郎さんの熟女(笑)ペア。
凛とした佇まいで品もあって、実は武士の妻で自らも横山家にも仕えていたという出自を感じさせる笑三郎さんのお槙。
そして、お局の華やかさと横山郡司の非業の最期をすぐに大膳の仕業と見抜く賢明さ。馬上の小栗判官を先導してキリリと前を見て花道を引っ込むカッコよさ。竹三郎さんの藤浪、惚れ直しました~揺れるハート


この後、段四郎さんご体調不良のため休演とか。心配です。 のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 839 わーい(嬉しい顔) vs 840 ふらふら)
posted by スキップ at 23:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
[小栗判官」観ました 猿之助さんのはTVで観たのですがお駒ちゃんはやはり加役って感じで亀治郎さんの方がいじらしく哀れで合っていました
浪七は一生懸命はわかるけど今後伯父さんの四十八撰をやろうとしたら超えなければならない壁です
照手姫との釣り合いがちょっと・・むしろ春猿さんの方が良いかと思いました
Posted by さくらそう at 2011年10月31日 11:05
♪さくらそうさま

亀治郎さんも襲名記者会見の時におっしゃっていましたが、
「女方ができる猿之助」って亀治郎さんらしくていいですね。
お駒ちゃん、可愛らしさの中に情念も感じさせて、とてもよかったです。
浪七のような役もこれからどんどんこなしていただいて、
四代目猿之助版四十八撰を見せていただきたいと期待しています。

照手姫は、私もこの演目を最初に聞いた時、てっきり
春猿さんがおやりになるのだと思っていました(笑)。
Posted by スキップ at 2011年10月31日 20:00
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