2018年07月06日

公正さなんてこんなもの 「ハングマン」


hangmen.jpg開演直前。
聞こえてくるBGMに覚えがあって「シナーマン」だと気づく。

「シナーマン」は宝塚ファンなら誰でも知っている名作ショー「ノバ・ボサ・ノバ」のクライマックスで主人公ソールが歌い上げる曲。
リオのカルナバルを描いたショーに使われた曲をどうしてイングランドが舞台のお芝居に?と考えながら聴いていて、そうか、この曲の原題は"Sinnerman" つまり「罪人」だと思い至りました。

「罪人」ね・・・。


「ハングマン」  HANGMEN
作: マーティン・マクドナー
翻訳: 小川絵梨子
演出: 長塚圭史
美術: 二村周作  照明: 笠原俊幸
出演: 田中哲司  秋山菜津子  大東駿介  宮崎吐夢  大森博史  長塚圭史  
市川しんぺー  谷川昭一朗  村上航  富田望生  三上市朗  羽場裕一

2018年6月16日(土) 1:00pm ロームシアター京都 サウスホール 1階A列上手
(上演時間: 2時間45分/休憩 15分)


アフタートークのレポはこちら


1963年 イングランドの刑務所。
ハングマン(絞首刑執行人)のハリー(田中哲司)は、連続婦女暴行殺人犯 ヘネシー(村上航)の刑を執行しようとしています。ヘネシーは冤罪を訴え激しく抵抗しますが、ハリーは「死刑を決めたのは俺じゃねぇ!裁判所だ!」と聞く耳を持ちません。「せめてピアポイント(三上市朗)を呼べ!」と叫ぶヘネシー。
・・・ピアポイントは実在の絞首刑執行人だそうですが、絞首刑執行人が有名って、日本では考えられないなと思った次第。

舞台は変わって1965年 イングランド北西部の田舎町オールダム。
ハリーは妻アリス(秋山菜津子)とパブを営んでいます。常連客たちがいつもと変わらずビールを飲む中、新聞記者のクレッグ(長塚圭史)は、絞首刑廃止について最後のハングマンであるハリーにインタビューします。そこへ見慣れない若いロンドン訛りの男ムーニー(大東駿介)がやって来て、不思議な存在感と不穏な空気を漂わせます。
翌日、再び店に現れるムーニー。ハリーの娘シャーリー(富田望生)に近づいて一緒に出かける約束をします。夜になっても帰って来ないシャーリーを両親が心配する中、ハリーのかつての助手シド(宮崎吐夢)が店に現れ、「2年前のヘネシーの事件は実は冤罪で、連続婦女殺人犯は他にいる」と訴えます。ハリーはムーニーのことが思い当たり・・・。


1963年にハリーが執行した絞首刑が鍵となっていますが、物語の真骨頂は絞首刑、ひいては死刑制度の廃止の是非そのものより、地域社会の閉鎖性やそのコミュニティで暮らす人々の閉塞感といったものにより重心が置かれているように感じました。
そんな中、 絞首刑廃止後も自身の仕事に誇りを持ち続ける、自信家で尊大な絞首刑執行人ハリーが、一度ならず二度までも無実の人間を“絞首刑”にしてしまうというシニカルでブラックユーモア・・・ユーモアというにはかなり後味が悪かったですが。


続きがあります
posted by スキップ at 23:18| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする